お友達から
翔の素直な言葉に心を打たれた聖恵は、素直に嬉しかった。他の人の告白では感じなかった心のざわめきもあり、胸がドキドキする。そして、前にも同じように告白されたような気がして、より一層ドキドキしていると一瞬頭の中に影芝の顔がよぎるも、心のドキドキと共に心の奥底に沈んでいった。
「えっと、その、私·····」
ドキドキしているので、上手く言葉が出ない。
「向井くんは私の事知ってるみたいだけど、私にとって貴方は初対面なの。それに私昔の事とか全然思い出せなくて、その昔の事とか教えてもらいながらまずは、お友達からじゃ·····ダメかな?」
聖恵は自分の思いを伝え、翔の顔を見る。お友達からと言われたからなのか、少し顔の表情がフリーズした後口を開く。
「そっか、そうだよな!全然いいよ!まずは友達からで。ってか一緒に帰ってるんだからもう友達ではあると、俺は勝手に思ってたけどw」
明るい笑顔で笑う翔を見て、聖恵はホッと安心する。
「上手く口説けるといいわね、向井くん。聖恵は手強いわよw」
ことの成り行きを見届けたノノ花が2人の会話に入ってくる。
「大丈夫だよ、絶対好きにさせてみせるよ」
親指を上に上げて、どや顔をする翔を見て、ノノ花は笑った。
「よく本人の前でそんな事が言えるわね。その自信はどっからくるのよw」
「「「ハハハハっ」」」
3人で笑いながら日が沈むまでその後は話して解散した。途中家まで送ると言い続ける翔を説得するのに聖恵は苦労したが、翔も最初だからと渋々納得して帰っていった。
そんな3人の会話を遠くの方から仁王立ちで眺めていた、影芝の元に1枚の紅葉の葉が飛んでくると影芝の横でピタッと止まる。
「見守るって言っても覗き見はよくないんじゃないの?」
紅葉の葉から向井紅葉の声が発声られる。
「お前が翔に話すとは思ってたけど、まさか翔が転校までしてくるとはな。」
「私も驚いたわよ。けど、昔からあの子はこうと決めたら曲げないからね。」
「相変わらず素直なやつなんだな。」
影芝は少し昔を思い出しているのか、表情が優しくなる。
「近くに居るなら声ぐらい掛けて上げればいいのに。あんたのことも話しといたわよ。」
「いや、いいよ。アイツは俺の存在に気づいてるみたいだったし、用があるなら向こうからくるだろ。」
「そう。けど、あの子はきっとあなたと違って昔の事を愛奈に話しちゃうわよ。」
「それは別にいいさ。それが愛奈の幸せに繋がるなら俺は見守るだけさ。」
「ふふっ、これから大変そうね。」
「大変にした張本人がよく言うよ」
影芝の横を風が吹き抜けると、紅葉の葉は再び風に煽られて飛んでいってしまった。




