直球転校生
校外学習から数日後
キーンコーンカーンコーン
始業を知らせるチャイムが鳴ると、先生が入ってきた。しかし今日はいつもと違い、先生の後ろに1人の生徒が歩いて来ている。
「今日転校生を紹介するぞ。ほら自己紹介しろ。」
教卓に着いた先生は早々に後ろの生徒に自己紹介を促す。
「えっと、鹿嶋高校から転校して来ました、向井翔です。よろしくお願いします。」
「はい、よろしく。みんな仲良くしてやってくれ。向井は田中の横に座れ。」
パチパチパチパチ
クラスの拍手に煽られながら、向井が席に着こうとするとチラッと聖恵を見て、目が合うとニコッと笑った。
その顔を見た聖恵は、心の中に懐かしさと、向井翔という名前を聞き、紅葉のことを思い出していた。
休み時間になると男女問わずクラスメートに囲まれている向井を遠目に聖恵は見る。
「なに?あんた気になるの?」
面白そうにノノ花が聖恵の前の席に座る。
「確かにイケメンではあるわよね」
「そんなんじゃないってば~。なんか向井くんって昔会ったことある気がするんだよね」
「なら本人に聞いてみようよ。」
次の昼休み
聖恵の記憶がないことはノノ花以外は知らないので、向井が1人になった所を2人で突撃した。
「ねぇ向井くん。この子と昔会ったことある?」
単刀直入にノノ花が切り込む。突然の質問に驚きながらも笑顔を見せる。
「桜井さんは俺を知らないの?」
「なんか会ったことあるような気がするんだけど、ごめん」
「本当に記憶を無くしてるんだな···」
「なんでそれを···」
急に向井は聖恵に抱きしめた。
「何?急にどうしたの?向井くん?」
「愛奈、会いたかった。やっと会えた。」
向井の腕の中で訳がわからず、もがく聖恵であるが少し懐かしさも感じていた。
ノノ花はまさかのラブシーンに固まっていた。
そして、廊下で堂々と抱き合う姿を見た他の生徒たちにより、聖恵と向井は付き合ってるという噂が高速で流れたのであった。
放課後、向井の方から聖恵に一緒に帰ろうと声をかけてきた。クラス中からニヤニヤされていたが一緒に帰ることに。けどいきなり2人怖いので強引にノノ花を連れてきた。
「向井くんはなんで私の記憶がないこと知ってたの?」
「姉ちゃんに聞いたんだよ。会っただろ?紅葉姉ちゃんに。」
「あっ、そっかそっか」
「それで、いてもたっても居られなくて、愛奈に会いにきたんだよ。」
「まさかあなた、それで転校してきたの?」
「ああ」
3人は街が一望できる高台に知らず知らずの内に歩いてきていた。
街を一望しながら一行は足を止めらると、向井は聖恵の肩を掴み2人は向き合う。
「記憶を無くしてても愛奈は愛奈だ。いや、今は桜井聖恵か。聖恵、俺は君が好きだ。俺と付き合ってくれ」
「きゃ~直球過ぎでしょ~。」
まっすぐ自分の思いを告げた向井を空気を読んで、数歩下がって見ていたノノ花は、素直に思いを告げるところには、羨ましさを感じた。




