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レッドと3人の仲間達 ブルー編

今回は少しだけ続く感じのやつです

「お願いします!もう限界なんです!」

俺は頭を下げて辞職願いを上司であるタナカさんに提出する。

タナカさんは俺が提出した辞書願いを見ると、少し口から空気が抜ける。

「ケント君…これは何度目の辞職願いになると思うかね?」

「5回目だと思います!」

俺の記憶が正しければ5回目のはず。

「ケント君、残念8回目だ」

8回目だったらしい、3回分は多分タナカさんと飲みに行った時に言ったのだろう。

「まぁ…とりあえずこの辞職願いなのだが…」

これで一応書類上にまとめて出した書類は計5回。

5回も書類に出して提出したんだ、タナカさんも俺の気持ちを汲んでくれるだろう。

俺はゆっくりと顔を上げてタナカさんの顔を見る。

「残念ながら受け取れない。まだここで頑張りたまえ」

「チクショオォォォォ!」

俺は上司の前で涙を流し、膝から崩れて地面に伏せた

それをみてるタナカさんの目が同情してるような目をしてて、さらに涙が出てきた。


「まぁ君は頑張ってるよ、それは君の上司である私がよく分かってるから」

場所は変わって居酒屋さんの中。

俺は今上司であるタナカさんと一緒に飲みに来てる。

「でもねケント君、私達がしてる仕事…地球防衛省特殊部ヒーロー係は人手が少ないから仕方ない事をわかって欲しいんだ」

俺がしてる仕事は簡単に言うと、宇宙からくる宇宙人や、地球に存在する未知の知的生命体から人々を守るお仕事である。もっと簡単に言うと特撮ヒーローみたいなことを現実でもやってる感じだ。

「でもタナカさん…ヒーロー係は最近人気が出てきて新入社員が多く入って来てるって話を聞きますが?」

俺はビールと枝豆を交互に飲み食べしながら質問する。

ヒーロー係は死亡ケースも少なくはない。

当たり前である。未知の知的生命体との戦いだって少ない。

その戦いの中で死んでしまう事だってある。

しかし、それはこのヒーロー係がヒーロー係と名前が変わる前である。

前は迎撃係という名前であった、その頃は武器などは銃火器などの武器であったが、宇宙人などの生き物に対しての効果が少なく、そのせいで死ぬケースもあったわけだ。

しかし、化学の発展により銃火器ではなく肉体強化アーマー…簡単に言うと戦隊モノのヒーローの変身後の姿の様な格好になるような物が出来てから死亡ケースも激減、さらに言えばヒーローのような姿になれるという理由で男心を刺激された者たちが入社を希望して、人気も出てきている。

なので人手不足などはあり得ないのだが…

タナカさんは目の前にあったビールを飲み干してげっぷをした。

そして悟ったような目でこちらを見ている。

「あぁ…確かにヒーロー係になってから人手不足は解消されている。しかし本当の事を言うと…君の隊は…なんとういうかね…うん、君じゃないと扱いきれないというか…」

タナカさんがしどろもどろに答えてくれる。

わかっている。わかっているとも、タナカさんが言いたいことも、しかしそんな理由でもう納得出来るほど俺にも余裕はない。

俺はお酒の力も借りてここではっきりと物申してやろうと思った。

そう思って俺がタナカさんに物申そうとした時、俺のケータイが鳴った。

俺はケータイを見てみるとそこには俺の隊の隊員からの連絡が画像付きできていた。

「ケント君…もしかして隊の子からの連絡かな?」

タナカさんは俺にきた連絡が隊の子からの連絡とわかったようだ。

いや、まぁ大体俺のケータイがなる時は99%の確率で隊の子からの連絡なんだが…

「はい…すいません、今回はとりあえず帰らせてもらいます。自分が辞めるという話はもう一度検してください。ではお疲れ様でした」

俺はそう言って早足で自分の分の会計分のお金をタナカに預けて店の外に出る。

「ケント君じゃないと…あの子達は扱えないから君が辞めれることはこの先ないと思うけど…これからも頑張ってくれよ」

店を出る前にタナカさんが何か言っていたが俺の耳には届かなかった。


俺はとある一軒家の前にやっと着いた。

俺がその家のブザーを鳴らすと中から青い髪の女が出てきた。

「あ、ケン君!やっときてくれた!待ってたんだよ!」

そう言って俺に抱きついてくる女。

しかし俺はそれどころではない。

「いいからアオイ、腕を見せてみろ!」

俺がアオイの袖口をめくるとそこにはカッターで切ったような跡がある。

俺はため息が漏れる。

「アオイ…いつも言うけど自分を傷つけるようなことをするなよ…」

するとアオイは小首を傾げた。

「なんで?ケン君が心配してきてくれる為ならこのくらい全然平気だよ!そんな事より早く家の中に入って!ご飯も出来てるんだよ!」

そう言って俺の手を引っ張って家の中に入れる。

俺は今日何度目かのため息が漏れる。


アオイとは…いわゆる幼馴染というやつだ。

家も隣同士であって親同士も仲良く、そのせいもあってアオイとは小さい時から面識はあった。

小さい頃のアオイはいつも俺の後ろを歩くような内気な女の子だった。

俺も別に気にする事はなかったが…

中学生あたりからアオイが鬱陶しいと思い始めた。

思春期という時期もあったのもあったが、アオイの所為で男友達と遊びに行けなかった事が沢山あったからだ。

中学生になってもアオイは俺の後ろをずっと付いてきてた。

そのせいで男友達も遠慮して誘ってもらえなかったのだ。

でも正直俺もアオイは俺から離れるべきだとも考えていたし、この際ちょうどいいなと思った。

俺はその日、アオイに正直に話した。

もう俺の後ろをついてくるなと。

その話をした時はアオイの顔はまるでこの世の終わりみたいな顔をしていたが、アオイは基本的に俺のお願いは聞いてくれる。

なのでアオイは泣きそうな顔で俺のお願いを聞き入れてその時はその場でお互い別れた。

それから数日後、アオイは交通事故にあった。

あれから俺の後ろをついてこなくなったアオイはいつもボーとしていた。

俺も自分で言っといてなんだが、アオイがボーとしているのを見るたび心配していたが、アオイが居ないおかげで男友達と遊びに行ける機会も増えてて楽しかったのだ。

俺はアオイが事故にあったと聞いた時、自分でも初めてなくらい焦った。

鬱陶しいと思っていたが、小さい頃からの幼馴染が交通事故にあった聞けばそりゃ取り乱すものだ。

俺はアオイが事故にあって入院している病院に向かった。

俺が病室に入ると、最初は何気なくこちらを向いたアオイであったが、俺とわかるとアオイはものすごい笑顔になった。

わかりやすく言うと、花瓶に挿してあった蕾の花が開花したくらいだ。

その後アオイと何気ない話をしたあと帰った。

帰り際に毎日来てくれる?と聞かれ、アオイが事故にあった原因は俺にも少しあるのかと思ってしまい、毎日来ると約束をしてしまった。

もしこの時に戻れるなら俺はこの約束を絶対しなかったろう。てかしようとしてたらその場でぶん殴ってるくらいして阻止してたろう。

それから毎日アオイが退院するまで病室に通い、退院してからは昔みたいにアオイは俺の後ろに付いて来るようになった。

しかし、前にみたいに事故に遭ったら嫌だなと思い俺はこれを渋々了承した。

でもここでアオイに悪い癖がついてしまった。

それは自分を傷つければ俺が心配してくれる、側にいてくれるという考えを持ってしまったのだ。

それからというのも、このような有様である。


俺は家の中に入るとそこにはハンバーグとポテトサラダさらに味噌汁にホカホカのご飯。

晩御飯としては完璧であるが、これは俺が来なかったらどうしてたのだろう?と思ってしまう。

目の前にはニコニコして座っているアオイがいる。

とりあえず俺はアオイが作った料理を食べながら話しかける。

「なぁ…アオイさ…別に無理してご飯とか作る必要ないぞ?アオイも大変だろうし…」

俺が遠回しに断りを伝えるがアオイはわかっていないようで顔を赤くしてモジモジしてる。

「そ、そんな事ないよ!私とケン君は幼馴染なんだからさ、遠慮なんてしなくていいんだよ!そんな事より喉乾いてない?お水持ってくるよ」

そう言って台所にパタパタと歩いて行くアオイ。

しかし、ここで警戒していることがある。

俺は予め買っといたお茶をテーブルにわざとらしく置く。

すると台所の奥から水の入ったコップだけ持ってきたアオイが俺の前にそのコップを置いた。

俺はとりあえず用意してたお茶を飲もうとするとアオイが俺の腕を掴む。

「ねぇ?ケン君、なんでお茶飲もうとしてるの?せっかく私が用意したお水があるんだよ?そっちから飲んでよ?」

アオイの顔を見ると目に光がない。

でもこの水は飲みたくない。何故なら…

「ならアオイ、質問させてくれ、これは本当にただの水なんだよな?」

そう質問するとアオイは左手で自分の髪を弄り始めた。

アオイは何か誤魔化したい時、髪の毛を触る癖がある。

いま髪を触ったということはそれが確信に変わった。

「なぁ…アオイ、自分の体を飲ませようとするなよ」

そういうとアオイはガバッと立ち上がり、涙目で俺を見て言った。

「いいじゃない!ケン君に私を飲んでもらっても!」


実を言うとアオイは俺の隊の四人のうちの一人なのであるが…

さっきも言った肉体強化アーマー、そのアーマーには1つだけ特殊能力がある。

それは着るアーマーの色のイメージと同じ力が使えるのだ。

俺の場合はレッド。つまり赤色であり、俺が使える力は火を自在に操れるのだ。

そしてアオイは青色、青色の力は水を操れる。

そしてアオイは周囲の空気から水を生成することもできる。もう1つが自分の体を水のように変えられる事である。

その力を使ってなんと自分の体を水に変えてそれを俺に飲ませようとしてくる。

一度だけ知らずに飲んだことがあるのだが、なんというかアオイの体からできた水は驚くほど美味しいのだ。

しかし、アオイの体の一部からできたものと聞いた後に吐いたが。

しかしあれからアオイは俺に体からできた水を飲ませようとしてくる。

本人曰く、喜んでくれたのがたまらなく嬉しかったそうだ。

とりあえず今目の前にある水は飲まない。

俺の意思を尊重してくれるアオイはわかってくれたらしく、飲んでもらうのを諦めたらしい。

俺はとりあえずお茶を飲んで、またアオイが作った味噌汁を飲む。

何度目かのアオイの味噌汁はやはり美味しかった。


いま私の目の前には愛する男の人が私を飲んでくれてる。

あぁ…それをみてるだけで濡れてきそうだ。

ケン君は…私の昔から愛する人。

でも一時期、私を置いて行って何処かに行ってしまいそうになった時期もあった。

あの時は世界から色がなくなったようだった。

そのせいか信号の色に気が付かないで車に跳ねられてしまったんだったかな?

でも私は車に跳ねられたことを幸せに感じてる。

だってそのおかげでケン君が私に会いに来てくれたからだ。

そして怪我した私を心配してくれてるような優しい目。

いま、ケン君の目には私しか入ってないと、ケン君は今私の事しか考えてないと、そう思えるほどだった。

そして私は気づいたのだった、私が傷つけばケン君は私だけを見て、私だけを考えてくれる。

それに気づいてたからというもの、私はケン君に見てもらえるようにワザと手首を切って画像付きで送った。

するとやっぱりケン君はすぐ来てくれた。

アァ…ヤッパリアイサレテルナ…

やっぱり仕事と追いかけてきてよかった。

ケン君とおんなじ仕事をする為についてきて、一緒には住めなかったけど…

それでもケン君を近くで見られて毎日が幸せと思えるんだような日々だ。

でもやっぱりケン君の周りには他の女もいる。

他に2人、おんなじ隊員の子達がいる。

あの子達もケン君の事が好きみたいだけど負ける気がしない。

こっちはもう何十年の付き合いだし、今更出てきた女なんかに負ける気がしない。

でも…やっぱり不安になっちゃうのは仕方ないよね?

その時は今日みたいに傷つけばきてくれるし…ダイジョウカナ。

でも何度してもこのケン君が私を飲んでくれる瞬間はたまらない。

ケン君はお水は飲まなかったけど…

ケン君、料理する時ってどのくらいその料理に水が入ってるか知ってる?って聞きたくなっちゃうよね。

味噌汁だって私の体からできた水だし、米だって私の体の水で炊いた米。

ハンバーグやポテトサラダにも入ってるんだよ?

それを知らずに美味しそうに食べてくれるケン君

あぁ…たまらない。もうケン君は私の味を知ってるんだよ?

だからもう結婚するしかないんだよ?

それでも…ケン君が結婚してくれないなら…その時は腕じゃなくて私の1番深くにある場所をケン君に傷つけてもらおう。

そうすればケン君は責任とって私と結婚するしかなくなるんだよ?

その時に生まれる赤ちゃんのことまで考えると…

アァ…シアワセダナ。


美味しそうに味噌汁を飲むケントをアオイはずっと眺めていたのであった。


自己満足に付き合っていただきありがとうございました。

感想などお待ちしております。

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