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過保護の勇者

1週間ぶりです

今、俺の目の前に広がる光景にはそこら中に魔物の死体が転がっている。

別にそれはいい。いや、少し気持ち悪いがこの際そこはどうでもいい。

しかし、何より問題なのは…

「テメェら…魔物如きがウチの勇者に傷を負わじてんじゃねえぞ…」

逃げ惑う魔物…一応ゴブリンなのだが、その逃げ惑うゴブリンを次々と殺してる女戦士。

そして…

「あぁ…勇者様、このような傷、私が直ぐに治しますからね!でも先に消毒をしますね」

と言いながら俺のかすり傷をひたすら舐める女僧侶。

俺はこんな光景を見るたびにいつも思う。

俺のパーティーは可笑しいと。


俺は王国で本来なら王様の護衛…いわゆる近衛兵として働いていた。

しかしある日、王様から魔王討伐の任務を任された。

魔王討伐となると命を落とす危険性が十分に高い。

だが俺も王国の為に働いてた身。

王国のためなら命を捧げても良いと思っていたので、勇者の任務を快く行き受けた。

そして勇者として魔王討伐のために旅に出た。

そして旅の途中で女剣士や女僧侶と知り合ったのだが…

「なんだろう…俺が思ってた旅と違う」

「ん?どうしたんだよ勇者、独り言か?」

「どうしたんですか勇者様?何かお困りでもあるのですか?」

俺が独り言を呟くと女剣士と女魔法使いが反応してきたので、俺はそれとなく誤魔化す。

「いや、何にもねえよ。それよりも女剣士さ…ありゃやり過ぎじゃなかったか?」

「あぁ?あのゴブリンのことか?おいおい、勇者であるアンタが魔物に同情してどうすんだよ」

確かに女剣士が言うことは間違いない。

相手は魔物。情けをかける必要などないのだが…

「いや…女剣士さ…死んだゴブリンを剣で滅多刺しにしてたろ?」

女剣士はゴブリンが死んだ後も、剣を何回も何回も突き刺していた。

「あぁ、あのクソゴブリン共…勇者に傷を負わせたからな。そのせいでイライラしてたんだよ。だから気にすんなや」

そう言って笑いながら俺の肩を叩く女剣士。

いやそれでもやりすぎでわ…

なんて思ってしまったが今回は胸の奥にしまっとこう。

「あとさ…女僧侶いつも思うんだけど…なんで傷を舐めるの?」

次は女僧侶質問をする。

正直、いつも消毒なんて言われて舐められるけど…確か回復魔法には殺菌効果もあったはずだったんだけど…

「はい、殺菌のためですよ、バイ菌が入ったら大変ですからね」

「いや…回復魔法には殺菌効果も…」

「殺菌のためです」

「いや…だから回復魔法には…」

「殺菌のためです」

「そ、そうなんだ、いつもありがとうな…」

俺はもう女僧侶の勢いに負けて取り敢えずお礼を言う。

そうすると女僧侶は笑顔で返してくれた。

しかしその笑顔がどこか、恐ろしく見えてしまう俺は疲れているのだろうか?


どうこうしてるうちに取り敢えずの目的地であって街まで来れた。

夜の野宿はやはりモンスターに襲われる危険性が高まるため、出来るだけ街に行き宿を借りている。

俺たちは町に入ってすぐの宿屋に入った。

しかし毎度のことながらここでも問題が発生する。

俺が宿屋の主人から部屋を借りようとする。

「部屋を2つ借りれるか?1つは俺一人用、もう1つは女二人入れる程度でいいから」

「はいよ、ちょっと待っててな」

そう言って店の奥に消えて行く宿屋の主人。

俺は取り敢えずその場で待っとこうと振り向くと、そこには女剣士と僧侶笑顔でこちらを向いていた。

「なぁ…勇者さ、なんで2部屋借りたんだよ?」

「いや、そりゃお前一応俺男だしさ…」

「だから何度も言うが…ウチも女僧侶も勇者と同じ部屋なのは全然いいからさ、とりあえずタダでさえ金がねえんだ、そんな2部屋も借りて勿体無い金払う必要なねえよ、なぁあ女僧侶!?」

「えぇ、私達は何も気にしませんので、お金も勿体ないことですし、勇者様がいいなら1部屋で少し広めの方が安く済みますし!」

笑顔で答える女剣士と女僧侶。

しかしその声色には有無を言わせないような迫力がある。

そうすると奥の方から宿屋の主人が戻ってきた。

「はい、部屋2つ分の鍵ね」

俺は宿屋の主人の声を聞いて振り返る。

「すいません、やっぱり1部屋分で」

宿屋の主人はめんどくさそうにまた奥の方に消えていった。


あれから荷物を持って部屋に向かった。

3人部屋なので部屋自体は広めでとても過ごしやすそうだ。

そして色々と済ませて、寝る時になってまた問題が発生した。

「なぁ…今回俺は床で寝るわ。それじゃおやすみ」

そう言って床で寝ようとすると女剣士に肩を掴まれた。割と強めで痛い

「あ?なんでだよベットは3つあんだろ?普通に寝ればいいじゃねえか」

「いや、3つ並んでるけど全部繋がってるじゃん」

俺も最初はベットで寝ようと考えてたが、ベットが3つとも繋がってるので、流石に男女同じ部屋なだけで問題なのに、ベットまで繋がってるとなると流石に問題が多すぎだ。

「別に気にしないでくださいよ、勇者様も今回歩いてお疲れでしょうし、床で寝たら疲れなんて取れません。ベットの方でゆっくりと寝てください。」

女僧侶も俺をベットで寝させようとしてる。

なんというか…俺は本当にこの2人から男として見られてないと認識する。

今朝の事もそうだが、俺が傷つけられて怒る女剣士、俺の傷を心配して一応舐める女僧侶。

なんかもう過保護な親のような感じがする。

たまに笑顔が怖いが…それは別として完璧に俺を子供として見てるんだなと思うんだよな。

女剣士と女僧侶の好意を無下には出来ないしな…

俺は諦めてベットに入る。

すると俺がベットに入って安心したのか、女剣士と女僧侶もベットに入ってくる。

そうして俺は夢の中に旅立った。



勇者が寝てから二時間くらい経った深夜。

勇者の横顔をずっと眺める二人の女。

その顔は恋する女の顔をしていた。

「勇者のやつ…本当にドジだよな。あんな雑魚魔物くらいに傷をつけられやがって…」

そうして今朝ゴブリンに傷をつけられた場所を撫でる女剣士

「でもそのおかげで…勇者様の顔を舐めることが出来ましたし、私的には良かったんですけどね」

そう言って今朝のことを思い出して、唇を舐める女僧侶。

「いいよな、女僧侶は治療行為とか言って勇者の顔舐めれるんだからさ」

羨ましがる女剣士。

「女剣士さんだって…たまにふざけて抱きついたりして…お互い様じゃないですか…」

羨ましいがる女僧侶。

この2人はお互いに勇者のことが異性として大好きなのである。

女剣士はガサツな自分のところをしっかりと女性として見てくれる勇者の優しさ。

女僧侶はいつも1人でいた自分の側に居てくれる勇者の優しさ。

そんな二人が勇者に恋するのはすぐであった。

しかし、お互い勇者のことが好きと分かった時、2人は勇者を二人だけのものにしようと決めた。

もともと同じパーティーである2人は、少なからず相手のことは嫌いではない。

そしてこれ以上勇者に近づく女が出ないようにと、2人は勇者を共有する事を決めたのである。

「なぁ…勇者、ウチは勇者の事をこれからもずっとずっと守ってやるからな。このまま魔王の城まで行って魔王討伐する時、その時すら勇者は何もしなくてもいいからな…大丈夫、ウチには勇者さえ居ればいいから…勇者がそこに立っているだけでいいから、そうせれば私は強くなれるからさ…だから側にいてくれな…ズット…」

「勇者様…私にとって勇者様は光なんです…その光がなくなるなんて私には考えられないんです。もし勇者様が死ぬ時があっても大丈夫ですよ…私が蘇生させてあげますから…大丈夫たとえ寿命で死のうが私が…何度も…何度も何度も蘇生しますからね…寿命で死んだ者を生き返らせるのは蘇生魔法の禁忌なんですが…勇者様を蘇生させる為なら私は禁忌を犯す程度何も気にしませんから…なので安心シテクダサイネ」

そういって二人は勇者の手を繋ぐ。

気持ちよさそうに寝てる勇者の顔を、光が宿ってない濁りきった目で見ながら。


どうでしたか?

今回はもう一つ書いてるやつの影響で勇者?物にしました。


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