構いたがりな妹
二作目ですね
今回は妹者ですかね?
朝ってのは1日の中で憂鬱になる。
特に学生にとって月曜日の朝なんて、もう憂鬱以外の何者でもない。
しかもそれに加えて俺にはさらり憂鬱になる理由がある。
それは…
「朝だぞ!起きろ!」
行きよく俺の寝てる上に飛び乗ってくる女の子。
髪の毛は日本人らしい黒色、肌は日本人らしい肌色、そして身体つきは高校生1年生にしては発達が良すぎる胸、腰の方は一応くびれてるみたいだ。
こんな感じの可愛い女の子に朝いきなり起こされるなんて幸せ者だと思う人もいるだろうが、俺にとっては微塵も嬉しくない。
そりゃ当たり前だ、だってこいつは…
「起きろ〜!兄ちゃん!」
俺の妹なのだから。
「凛さんよ、もっと優しく起こしてくれんかな?」
「えー、いいじゃん!兄ちゃんとのスキンシップなんだし♪」
あの後、乗っかれた衝撃の所為で完璧に目が覚めた俺は、妹と一緒に朝ごはんを食べている。
両親は…まぁ共働きで朝は揃って早めに仕事に行っていて、基本的に朝は妹と2人でご飯を食べるのが日課となっている。
「あれがスキンシップ?度が過ぎてんだろ、毎朝毎朝乗っかれる俺の身にもなってみろ」
味噌汁を啜りながら俺が言う。
今回の味噌汁は出汁が出てうまいな。
「いいじゃん!細かいことは気にしないの!そもそも朝起こしてるんだから、感謝してくれていいんだよ兄ちゃん!」
「俺は別にケータイのアラームで充分なんだが」
俺自体、朝は弱い方ではあると思うが、アラームをかければ自分一人で起きれる。
しかし、一回だけアラームをかけて起きた時、起こしに来た妹がその場で大泣きした。
妹いわく、「兄ちゃんはもう私なんていらないの?」 だそうだ。
なぜその時妹が泣いたのか今でも謎なのだが、あの時謝りながら、もうアラームをかけないと約束してしまった自分も謎である。
「ひどい!いつも兄ちゃんを起こしにいってるのに、こんな甲斐甲斐しく起こしにいってる妹にそんなこと言うなんて!」
「お前から起こすって言ったのにな、悪徳セールスマンもびっくりだよ。」
あと甲斐甲斐しく起こしに来るなら、もっと優しく起こして欲しいもんだ。
「行って来まーす!」
「ま〜す」
あの後、歯を磨き、制服に着替えて、身支度を済まして家を出た。
妹とは同じ高校ではあるが、一緒に家を出る理由なんてないのだが、妹に
「せっかく同じ高校なんだし、同じ家から出てるんだから、別に一緒に行くくらい普通だよ」と言われて、それ以来いつも一緒に学校に行っている。
「はぁ…月曜日とか憂鬱すぎるわ…今から家に帰って二度寝しようかな…」
別に学校が特別嫌いというわけではない。
ただ、土日に休んでダラけきった体には、月曜日の学校というのが拒否を起こしているだけなのだ。
別に友達がいないとか言うわけではない。いやマジで、本当に!
「ダメだよ兄ちゃん、せっかく2人仲良く登校してるんだから。」
そう言って腕を絡めようとしてくる妹。
俺はその腕を振り払うかのように逃げる。
「凛、何度も言うが腕を絡めようとしてくるな!何が悲しくて妹と腕を組んで登校しないといけない。」
「いいじゃん!別に腕を組むくらい、それとも私の胸が腕に当たって興奮するから嫌なの?」
はぁ、こいつは何を言い出すかと思ったら。
妹の胸?そんなものただの脂肪でしかない。
いくら大きかろうがそこに詰まっているのは、男の夢やロマンではない。
脂肪なのである、それに興奮する?
冗談ではない。兄としてそれが一番ない。
「お前のその運良く腹につかなくて、胸の方に行き渡った脂肪なんかに興奮するか」
「なら腕組んでも問題なんかないね」
そう言って、油断してた俺の腕に飛びつき、離さないようにがっちりと掴んでくる妹。
なんと言うか…もう高校1年にもなるのに、こいつの兄離れはいつになるのだろうか?
確かに昔から両親が共働きだったので、家には妹とよく2人なんて事もあったし、
甘やかしすぎたのかも知れないが、いつまでもべったりでは良くないのだが…
妹のことで頭を悩ませてるのに、隣の妹は嬉しそうな顔で腕を組んでる。
こいつの将来が心配だ…
学校につき、俺は2年なので2年の教室に行き、妹は1年の教室に行く。
最後まで腕を離そうとしなかった妹だが、流石に最後の方は離してくれた。
しかし言うのであれば、もしあのまま俺が離そうとしなければ、妹はいつまで腕を組んでるつもりなのだろうか?
俺が色々と考えると教室の前に着いた。
教室のドアを開け自分の席に向かうと、そこには男2人が雑談をしていた。
「お、シスコンアキトがやっと来たか。今日も妹嫁と仲良く登校でしたな」
このアホそうなことを言うアホな奴が俺の友達のマサキ
「まぁ、兄妹仲よくていいんじゃない?仲悪いよりはマシだと僕は思うよ。」
俺を保護?するようなことを言う優しいそうな言葉使いの奴がフミヤ
あと今更っと出てきたが俺の名前はアキトていう。
こいつらとは小学生からの付き合いである。
「でもぶっちゃけ仲よすぎだよな?実際どこまでいってんのよ?」
「お前はアホか。妹だぞ!妹なんてどこまでもいってねえよ」
妹となんて何も起こらはずがない。
どんなに可愛くて、どんなに胸がデカくても妹は妹である。自分の母親に欲情するようなものである。
「でも僕達小学生から凛ちゃんのことは知ってるけど、昔からの仲の良さがずっと続いてる感じするよね、普通の兄妹なら中学生くらいで仲悪くなるのにね」
「まぁ、確かにそうだよな。あいつのそおいうのが遅いだけなんだろうとしか考えてないけどな」
いつか凛のやつも俺のことを毛嫌いするようになるんだろうけど、その時はその時だろうとしか今の俺には考えらんねえし。
そんな話をしてるとチャイムが鳴った。
はぁ、これから憂鬱な授業が始まるのか。
俺の心とは正反対に、空は雲ひとつない快晴であった。
「ふぅ〜、やっと学校が終わった」
あれから何とか1日の授業を終わらせて、やっと放課後である。
あとは家に帰るだけだが、憂鬱の月曜日が終わると言うことで気持ちが少し楽になっていたので、無性に遊びに行きたくなった。
「おーい、マサキ〜、フミヤ〜、今日の放課後暇か?」
「悪りぃ、今日俺予定入ってんだわ」
「ごめん、僕も予定あるんだ」
「ちぇ、なら仕方ねえや、今日は真っ直ぐ帰るか」
俺は2人が遊べないと分かると早歩きで下駄箱に向かった。
遊ばないなら家に帰ってゲームでもするか。
いつも通り下駄箱を開けるとそこには小さい封筒が入ってた。
「おいおい…まさかこれって…」
俺は誰もいないか確認して、封筒を開けるそこには俺の名前が書いてあった。
間違いない、これはラブレターだ。
俺は家に帰ってやるはずだったゲームをしないで、ベットにダイブし今日下駄箱に入ってたラブレターを読んだ。
「えーと、アキト君のことが好きです、よかったら明日の放課後校舎裏に来てくれませんか?サナよりと…まさかこの俺がラブレターもらう日なんてあるなんてな…しかも相手があのサナちゃんとか、ぶっちゃけこれドッキリじゃねえよな?」
このラブレターをくれたサナちゃんは俺のクラスの人気者である。
明るい性格をしており、誰にでも隔てなく仲良くしていて、男子からも女子からも評判がいい。
こんな子からラブレター貰えるなんて…
あまりにと嬉しさのあまり、飛び跳ねそうだ。
というか、現状ベットの上で飛び跳ねてる。
「これもし本当だったら、絶対オッケーだそう!てか今からでも会ってオッケー言いたいわ!」
俺自身も前からサナちゃんのことは気になってたし、向こうから告白されるなんて正直予想外なラッキーでもう嬉しすぎだ。
俺が飛び跳ね回ってると、隣の部屋から凛がやってきた。
「兄ちゃん、さっきから隣でドンドンうるさいけどなんかあったの?」
俺は凛が入ってきた瞬間に咄嗟にラブレターを隠した。別に悪いことはしてないんだが、何故か体が無意識に隠してしまったのだ。
「いや、特に何もないぞ。ちょっと虫がいてびっくりしただけだ。」
「そうなんだ、まぁいいや。」
そう言って何事なかったように凛は自分の部屋に戻った。
凛が入ってきた事により冷静になり、とりあえず飛び跳ねるのをやめた。
しかしまだ興奮状態の俺は気づいてなかった。
部屋に戻った凛は部屋に戻らないで、俺の部屋の扉を少し開けて覗いてたのを…
その日の深夜、疲れ来て眠ってる兄の部屋の扉が静かに開いた。
そこには妹の凛の姿があった。
凛は机に無造作に置かれた手紙に気づき、それをじっくりと読む。
それを読み終わるとそれを兄にバレないように元の場所に戻す。
凛は兄に近づく、当の本人はぐっすりと夢の中に旅に行ってる模様だ。
そして凛は静かに兄のベットの横に座り、数秒兄の顔を見つめると、静かに兄の唇にキスをした。
「兄ちゃん…兄ちゃんは昔凛の側にずっといるって約束したもんね…そんな兄ちゃんが遠くに行くなんてないよね…絶対ないよね…」
まるで自分に言い聞かせるように言う凛。
しかしその瞳はまるで黒い絵の具を塗り潰したように真っ黒であった。
いつもの憂鬱な朝。
しかし今日は違った、だって今日はあの告白の返事をする日である。
もう放課後が今から待ち遠しい。
「兄ちゃん、今日の放課後暇?買い物に付き合って欲しいんだけど?」
妹から買い物の誘いがきたが…今日は告白の返事をする日だし…そのあともしかしたら出かけるかもしれないから…流石に断っておくか。
「悪いな凛。今日は予定があるんだ、別の日に一緒に行ってやるから今回は勘弁してくれ」
俺は妹に今日は無理だと伝えたが、妹は納得がいかないのか食いついてくる。
「今日じゃなきゃダメなの!絶対今日!今日付き合って欲しいの!」
食いついてくる妹の目には涙が溜まっている。
これは俺が折れないと妹が泣くパターンだ。
妹が大泣きすると中々止まらなので、この時だけは俺が諦めるしかない。
「わかった。なら放課後正門の方で待ってろ」
妹は一緒に行けるとわかったことが嬉しかったのだろうか、俺に抱きついてきた。
首の後ろに手を回し、離さないと言わんばかりに引っ付いてくる
「ありがとう兄ちゃん!大好き!」
「はいはい、俺も好きですよ」
俺はいつもの何気に朝を終え、いつも通り学校に向かった。
そして授業が終わり放課後。
俺は校舎裏にダッシュできた。
これがもしドッキリだった場合、赤っ恥をかくが、その時はその時である。
俺がドキドキして待ってると、サナちゃんがやっと来てくれた。
「ア、アキト君…ここに来てくれたってことは。手紙ちゃんと読んでくれたんだね。」
顔を真っ赤にして喋り出すサナちゃん
もう既にその姿が可愛くて抱きしめたくなる。
「お、おう!それで手紙の返事なんだけど…こんな俺でよければお付き合いお願いし…」
俺が告白の返事を返そうとすると、後ろから誰かに引っ張られた。
「兄ちゃん!いつまで待たせるの!ほら、早く行くよ!早く!」
「り、凛?なんでここにいるんだ?正門で待ってろって言ったろうが」
正門で待たせてるはずの凛が、何故校舎裏の反対方向にいるのかわからない。
しかも俺は用事があるとは行ったが、場所まではどこでどんな用事なんて伝えてないはず。
なぜこの場所に凛が来ている?
「そんなの言いから早く行くよ!ほら!」
そうして引っ張られていく俺。
告白の返事を聞くはずだった女の子は1人ポカーンと口を開けてその光景を眺めるしかできなかった。
「おい!凛いい加減にしろ!結局家に帰ってんじゃねえか!」
あの後引っ張られてついたのは自分たちの家であった。
「ごめん兄ちゃん、用事やっぱり別の日になった。」
謝りながらもこっちを振り向かない凛、しかし手はしっかりと握ってて離れる気配がない。
そのままリビングの中に入る俺たち。
「そうか、それなら俺は学校に戻るぞ。」
俺が戻ろうとしても手を離さない凛。
こいつ一体何を考えてんだ?
「ねぇ…兄ちゃん、さっき告白されてたの?」
妹がこっちを向かずに質問してくる
「まぁ…そうだな。告白されたんで返事しようとしてたところだ。」
「もしかして…オッケーとか言おうとしてたの?」
またこっちを向かずに質問をしてくる
「ま、まぁな…これで俺にもやっと彼女ができるんだよ。そうだ!この機会に凛もいっそのこと彼氏つくったらいい。俺が言うのもなんだがお前は可愛いし、男の1人くらいなら…」
俺が喋ってると凛は手を離し俺をおもいっきり押してきた。
俺は押された勢いで体制を崩して後ろに仰け反った。
「痛!何すんだ凛!」
俺がイラっとして顔を上げると…
「なんで?…なんでなんで」
そこには目に大粒の涙を浮かべた妹の姿があった。
そして妹が吠える
「なんでなんでなんでなんで!なんで兄ちゃんが誰かと付き合ったりするの?意味わかんないよ!なんで自分から私の遠くに行こうとするの!昔言ってくれたじゃん!1人じゃ危ないから俺の側にいろって!私が迷わないように手をつないでやるって!遠くに行ったら手も繋げないじゃん!なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」
俺は今、目の前にいる妹がまるで別人のように見える。
いつも可愛らしい笑顔で兄ちゃんと呼んでくれる妹ではなく、真っ暗な瞳で叫び続ける妹のような者になっている。
正直怖い…いつも俺に甘えてくる妹の姿など微塵もなかった。
一通り叫び終えると妹は、倒れた俺の方に近づきゆっくりと抱きついてくる。
俺は恐怖のせいで体がピクリとも動かない。
「兄ちゃん…ダメだよ…私は兄ちゃんがいないともうダメなんだよ…ほら見てかこれ…」
妹が制服の袖を拭うと、そこには無数の切り傷があった。
「昨日ね…兄ちゃんが寝た後…部屋に入ってさ…手紙見たんだ。そしたらさ、兄ちゃんが遠くに行っちゃう、どうしようってなって…昔さ、私が転んで怪我した時、兄ちゃん私のこと心配してずっと面倒見てくれたよね?それ思い出してね、カッターナイフで腕を切りつけたの、最初はすっごく痛かったんだけど…これで兄ちゃんが心配して側にいてくれるって考えたら…嬉しくなってきて、いっぱい傷つければその分長く兄ちゃんが面倒見てくれるって考えたらいっぱい傷つけちゃって…でも傷つけて正解だったみたいだね、今兄ちゃんが私を見てくれてるし、だから兄ちゃん、これからも私のことずっと見てて、他の女の子なんて見なくていいから、そうしないと私…また自分を傷つけちゃいそうになるから、だから兄ちゃん…ずっとそばにイテネ…」
そう言うと、ニッコリとしたいつも以上の笑顔で俺を見てくる妹。
俺はこれからも妹の面倒を見続けなければならない。
そうこれから一生ずっと…
二作品は伏線を置いたつもりが使えなかったことですかね
妹が兄に抱きついたところ。
あそこで首に腕を回しって使ったのは
あの場面で実は襟のところに盗聴器兼発信機を仕掛けたつもりにしたかったんですけど…流れ的に無理でした笑笑
そこだけがなんか微妙なところです