あなたの気持ちよりも
まず最初の短編ですね
誤字脱字はすいません
「おはようございます、祐樹くん」
俺が玄関を開けた瞬間に、外で待っているこの女、小柳カナが上品に挨拶してくる。
「あぁ、おはよう」
俺も一応挨拶を返すが…最初に言わせてもらおう、神田祐樹ことこの俺は、この小柳カナのことが大嫌いである。
まずカナとの出会いの話になるが…
簡単な話、カナが俺が小学生になる前くらいに、隣に引っ越してきただけなのである。
1つ普通でなかったといえば、こいつの家は日本の中でもトップクラスのお金待ちであり、となりにあった広い空き地には、大きな豪邸がたったのである。
それからというのも、お隣さんという間からと、同じ年ということでよく遊ぶようになったのだが…
小学生の高学年の頃であっただろうか、カナが俺を束縛し始めたのわ。
どこに行こうが後ろの方を付いてくるカナ。
例えそれがトイレだろうが、男友達と遊ぶ時だろうと、絶対に離さないとばかりに服の端の方を掴んで付いてくるカナ。
さらに言えば、俺が女の子と話をしようとすると、後ろから邪魔してくるし、俺は小学生ながらカナの行動には頭を悩ませていた。
だからある日、カナ本人にはっきりと言ってやったのだ。
お前がいつも側に居るせいで、色々と困ってると。
まぁ、小学生の男女がずっと側にいると、すぐに友達からも、お前ら付き合ってんの?
カナちゃんのことが好きなんだろう、と茶化させることもあり、それも嫌だったので、ここでしっかりと伝えなければと思ってカナに言ったのだが…
「え?なんで?だって祐くんと私は友達だもん、私は別に付き合ってるって勘違いされても困らないし、祐くんは私のこと好きだし、私も祐くんのこと好きだもん。それならずっと一緒に居ても問題にならないし、祐くんの女の子の友達は私1人で充分でしょ?だから困ることなんてないでしょ?」
俺はこの答えを言われた時、小学生ながらカナのことを…この女のことを怖いと感じた。
それからだろう、カナのことを嫌悪しだしたのわ。
そして話は朝に会った頃に戻る。
俺は小学生からカナの事を嫌悪し、避け始めたのであったが、現状いっしょに登校してるので、昔から何も変わっていない状態である。
「もう、祐樹くん何考えてるの?さっきからずっと遠くのほう見て」
「いや、特に。てかまずお前には関係ないことだろう」
「関係ないことはないでしょ?私たち付き合ってるんだから、彼女が彼氏が何考えるのか気になるくらい普通だよ」
「いや…まずお前と付き合ってた事実なんて俺は知らないし、まずお前とは付き合うつもりなんて全くない!」
「またすぐそんなこと言う!もう照れ隠しなんてしなくていいんだよ?周りの人も私達が付き合ってることは知ってるし、それに親だって公認だよ?また否定する必要もないでしょ?」
さっき昔から何も変わらない言ったが、訂正しよう。
昔よりも関係性が悪化してる。
そうなのである、俺たちは付き合ってることになってるらしい。
らしいというのも、まず俺はカナに告白した記憶もなければ、カナから告白された記憶もないのである。
学校の周りの奴がいつのまにか、俺とカナが付き合ってると認識を持ち始めて、さらにカナと俺の両親もカナと俺が付き合ってると思ってるのである。
見事に外堀を埋められた気分だ。
「まぁ、いいよ、祐くんが照れ隠しするのはいつもの事だし、それよりも受験勉強はちゃんとしてる?私たちも中学生3年生の1月なんだし、ちゃんと勉強しないと同じ高校には行けないんだからね」
「俺がいつお前と同じ高校に行くと言った?まぁ、ここら辺の近くにある公立高校なんて一個しかねえし、結果的に一緒の高校になるんだろうがな」
「まぁ、例え祐くんが落ちたとしても、私がお母さんとお父さんに頼んで、なんとかして同じ高校にしてもらうけどね。」
さらっと裏口入学をさせようとしてる話が聞こえてきたが、こいつならやりかねないのが怖いのである。
だが知らない…カナは俺が本当に受験しようとしてる高校を。
俺は実は近くの公立高校でなく、少し遠くにある男子高を受けようと思ってるのである。
これは本当に俺の親と先生しか知らないことである。
理由はもちろん、カナから離れるためである。
親には自分から言うのも嫌だったが、カナとこのままのダラダラと付き合うのも嫌だから、高校だけでも別にしようと思ってると、
カナを理由に自分でもむしずがする様な嘘をついたが、両親をそれを了承して、この事は他の人には伝えないようにとお願いしたのである。
俺この高校に受験して合格したら、これでカナと離れられる.
たとえ家が隣同士でも、小学生からとなりにいたカナとの時間がなくなると思うと、俺は今にでも飛び跳ねそうなほど嬉しいのだ。
さらに言えばこれはカナが俺から離れることでカナが俺以外の男子を見るいい機会にもなる。
俺は新しい高校生活に夢を見ながら、受験する前からもう合格した気持ちで残りの中学生活を送ることになった。
そして時間は流れ、俺が男子高校を受験しに行った次の日…
「はぁ…まさか高校に受験受けにいったら後ろからスクーターに跳ねられるとわ…」
俺は病院のベットの上でため息混じりで独り言をつぶやいた。
男子高校の受験の日、カナがまだ朝の迎えに来ないような時間から家を出て、高校の受験会場に向かったのだが、もう少しで男子高校の受験会場に着くという手前で、後ろから来たスクーターに跳ねられたのだ。
そしてそのまま救急車に乗せられて、病院に行き、結果的に受験が受けられなかったのである。
しかも足の方が折れたみたいで、全治一ヶ月の病院生活を余儀なくされた。
「はぁ…一応滑り止めで私立の共学のところを受けたけど…まぁ、カナのやつは公立の高校を、受験しに行ったわけだし、形はどうであれ、別の高校になったからよしとするか。」
俺がとりあえず結果オーライな結果に納得してると、病室のドアが開いて、カナが入ってきた。
「祐くん大丈夫?足の方が折れたって聞いたけど…」
「あぁ、大丈夫だ、足が折れただけで他に異常はないらしい」
カナはそのまま俺の近くにあるパイプ椅子のところに座った。
こいつ…長くここにいるつもりか?
仕方ないかもしれないが…出来ればすぐにでも帰ってほしいのだが。
「あとさ…なんで私に黙って男子校なんか受験しに行ったの?」
カナが俯きながら俺に尋ねてくる。
なんでこいつ知ってるんだ?と思ったが
まぁ、朝一緒にいこうとして俺が先に居なかったんだ、その時に俺の親が説明したのだろう
「カナ、はっきり言わせてもらうぞ!俺はお前のことが嫌いなんだ、お前は周りには付き合ってるばかり言ってるが、俺はそんなつもりは全くないし、さらに言えばお前はそんな彼氏でもない男に対して執着しすぎてる、はっきり言って迷惑だ。俺はもうお前の束縛から解放されたい。そのために別の高校を受けた、それだけの話だ」
俺は今までのカナに対しての不満をぶちまけた
これでカナが傷ついて嫌われてもいい。
もうこいつの束縛からは解放されたいのである。
俺がはっきりとカナに対して不満をぶつけて、数十秒が経過しているが、カナのやつは
まだ何も答えない。
もしかしてショックを受けてるのかもしれない。
なんとも言えない空気が俺とカナを包んでると、カナが唐突に何かを呟き始めた。
「カ、カナ?何を言ってるんだ?なんて言ってるか全くわかんねえぞ?」
なぜか俺の声が震えてる、自分でも理由はわからないが、何かに今恐怖をしてるのか?
「カナ、とりあえずもう少し大きな声で…」
俺がカナの言ってることを聞き取ろうと、カナに大きな声を出してくれと頼もうとした時、カナが顔を上げて俺の寝てるベットにいきなり詰め寄って、俺の上半身に乗っかってきて、俺の顔をじっと覗き込んできた。
その目は、ただ黒く…奥の方が濁りきったような目をしてた。
「知ってたよ、祐くんが私のこと嫌いって」
「はぁ?ならなんでずっと側に居たんだよ」
「そんなの簡単じゃん、私が祐くんのことが好きで好きで好き好きで好きで好きで…離れたくなかったからじゃない。」
こいつ自分のことを嫌いとわかってるやつの側に好きだからって理由で居たのか?しかも束縛をして、執着して側にいさせたのか?
「覚えてる?祐くんが初めて私にあった時、隣に引っ越した来た時、祐くんは私を気軽に遊びに誘ってくれた。」
「あぁ…一応覚えてるが…それがなんだ?」
「私はそれがとっても嬉しかった。私は一人っ子で周りに遊んでくれる人がいなかった…幼稚園を保育園にも行ってなくて…周りには私と遊んでくれる人なんていなかった。そんな時に祐くんが誘ってくれて…本当に心の底から嬉しかった…」
カナが昔のことを思い出して、懐かしむようにゆっくりと話しかける。
「小学生に入っても…祐くんは私をよく遊びに誘ってくれて、よく怪我して帰ってお母さん達に叱られたりしたけども…それがとっても楽しかった…けど…けど…」
するとカナが寝ている俺の肩を思いっきり掴んできた。
その勢いに爪が肩の肉に食い込むような勢いで、俺は顔を歪めた。
それでもカナの力弱まらなく、カナの声が大きくなってくる。
「小学生の高学年になっていくほど…祐くんとの遊ぶ回数が減っていて…祐くんは男子と遊ぶ回数の方が増えていって…他の女の子と話す回数も増えたきて…わたしには構ってくれなくなった…それが…小さい私にはとっても辛かった、祐くんがドンドン離れていくようで…だから私は祐くんの側に居たかったから、祐くんから離れないようにした。」
俺は言われてから思い出した。
たしかに、小学生の高学年になる頃は男子と遊ぶ機会の方が多くなったし、他の女の子も喋るようになっていたが…
そして、カナの話はまだまだ止まらない。
「中学生になって…私は考えたの、どうやったら祐くんの側にずっと居れるか、そして思いついたの、祐くんの彼女になればいいんだって、そうせれば祐くんは側にいてくれるし、今まで以上に私に構ってくれる。でもその頃には祐くんは私を避けるようになってた」
「そ、それはさっきも言ったが…お前の束縛が嫌だったからで」
「そんなの知らない!!!」
カナが今まで俺に体重をかけないように座ってたのか、俺のお腹にカナの体重がいきなりかかり、俺は胃が少し圧迫されて吐きそうになった。
「それから…私はまず親に話して…周りに話た、祐くんが私と付き合ってるって…そうせれば祐くんは私から離れるわけにいかなくなる。そうせればこれからもずっと側にいれるって…祐くんが私から離れなくなるって」
「お、お前そこまで考えてやってたのか…」
怖い、今俺の上に乗ってる女の子が未知の生物のような理解のできない恐怖を持っている。
「そして昨日…祐くんをいつも通りに迎えに行った時…祐くんが居なくて、祐くんのお母さんから、祐樹なら受験を受けに行ったって聞いた時、同じ高校を受けるはずなのに、先に祐くんだけ受験なんてありえなくて…私は目の前が真っ白になった。もしこのまま他の高校を受けて受かったらって考えたら…だから私はすぐにケータイで今日受験日の近くにある高校を調べたら、1つだけ…今日受験の男子高校を見つけたの、そこから私はすぐ家にいる人達に連絡したの」
「家にいる人って…執事とかそこらへんか?」
こいつの家はさっきも言ったが豪邸で、執事などが何人かいる。
俺が質問したことが嬉しかったのか嬉しそうな顔をするカナ。
しかし肩に食い込んでる爪の力は緩まない。
「うん!そうだよ!それでね、私ね執事の人達にはお願いしたんだ。」
「お、おい…まさかお前あのスクーターの事故って…」
「そうだよ!私が頼んだんだ!祐くんを止めてって、その時怪我しても仕方ないからって、だって仕方ないもん、祐くんも私の心をこんなに傷つけたもんね、それなら祐くんも同じぐらい傷ついても仕方ないよね」
そんな仕方ないように語るカナ
俺はその時本当はその場か抜け出したかった。
地を這ってでもこいつの側から一分一秒離れたかった。
しかし、足も怪我して、上にカナが乗ってる状況で抜け出すことなど不可能だった。
俺の背中に冷や汗が流れ落ちる。
「でもこれで、またおんなじ高校に通えるね。私もこれで公立受けなかったら、そのま祐くんとおんなじ高校に入れるわけだし…
はぁ…幸せだな、、、これでまたずっと一緒に居られるね!もう離れようとしないでね?
次は離れそうとすると今度はもう何するかわかんないよ?だから祐くんはずっと側にいてね!ううん、側にいてねじゃないね、側にいなきゃだね、もう祐くんはカナの物だもんね…だからこれからもよろしくね、ユウクン…モウカナノソバカラハナレヨウトシナイデネ…」
俺はもうこの時に悟った
あぁ…もう俺はこんな嫌いなやつから離れられないと、もう俺の意思なんて関係なくこいつからの愛を受け止めなきゃいけないんだと。
それから数年後
とある新聞に小さな記事が載っていた
とある大きな会社のご令嬢が結婚
お相手は、昔から仲よかった男だと。
まぁ
束縛系なのか依存系なのか微妙なところですけど
実査にこんな人いたら私ならドン引きですね