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はじまりのハジマリ

前作見てた人には申し訳ないです。

ですが気持ちをあらたに頑張らしていただきます。

ガコン、そんな何かの機械を起動したかのような音が聞こえてくる。俺にとっては終わりが近づくことを知らせる音。周りの奴らにとってはきっと、そう、祭りが始まる音と同じなのだろう。なんせ、終わると同時に祝杯を上げさせるのだから。

なぜ知っているのか?そんな事簡単だ。俺も何度も経験した事があるからだ。もちろん、祭りを経験した側だが。

「 やられたものの気持ちは己がやられてからでないとわかる事はないであろう」と、かつて相対したものが言っていた。その当時の俺は何を当たり前の事をと、考えていたものだがなるほど納得だ。その当たり前だと思っていた事ですら本当はわかっていなかった。いや、わかる事は出来ないんだったか。言葉や、想いなどそんなものだ。死ぬ直前に知れる事もあるものだ。確実に俺は周りのもの達よりも賢い。そう確信できる。そう思うとこの憎しみも紛れる。・・・と、思っていても全然そんな事はないな。薄れる事なんてない。でも、その逆もまたない。これはきっともう、諦めてしまっているからだろうな。周りの人を見るたびに復讐の心は大きくなったり小さくなったりせわしない。

前者はきっと過去を想って。後者はきっと現在を思って。絡み合う。そして、蝕んでいく。

あそこのおばちゃんは、果物屋をしている。彼女の息子を戦場で救ったという事で沢山の果物を前を通るたびに渡してもらった。その時の顔はとても優しげに微笑んでいて、あたたかい気持ちになった。それが、今はどうだろう。確実に近づいている、俺の死を泣いて喜んでいる。喜んでいると分かるほど狂喜している。それが俺の心をつめたくする。

あそこのおっさんなんて、ち・・・王の口上が終わった途端酒を煽り始めている。もう、祭り気分だ。俺の視界に映るのはこんなもの達ばかり。行動は違えど一貫している気持ちは俺が死ぬ事を悲しんでいないという事。それだけ。それだけ変わればもう、いい。

ああ、本当に何だったんだろうこの人生。繋がっていたと信じていたもの達は家族であれ、知人であれ、そして他人なんて尚更、裏返してみればこんなもので。俺が培ったもの育んだもの、全て壊されて。憎い。憎い。憎いけれど、そう思うほど心は痛くなる。


ガコン。これで3回目だ。この音が4回目になった時、罪人は死ぬ。何でそんな事をするのか?と聞いたら答えは、過去の風習だからと聞いた時は笑ったものだ。だが、実際される側からすればたまったものではないと実感できる。周りの熱狂を保つこともでき、罪人に色々と考えさせる事もできる。きっと、その時の百面相を楽しんでいたりしたんではないだろうか、と考えてしまうほどだ。


そして、4回目の音がなる。鐘が聞こえる。周りの熱狂が最高潮に高まる。ヒュッという風を切り裂く音が聞こえる。どんな表情をしようかな?もう、あと一瞬ののちに死ぬのに最後はそんな事を考えていた。

決めた。最高のワライ顔を与えよう。


その考えとともに俺はこの人生に幕を閉じた。







「 勿体無いね。君、僕と契約を結ばない?」


はずだった。

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