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真照  作者: 知吉
2/5

プロローグ2 親父

 笑いとちょっとの戦闘回です。

 家族回でもあるかな?私にも妹はいますが、こんなアホではないです。念のために。

 こんなん現実に居たらびっくりするわ。

プロローグ2 親父



「ただいまー」


 翌日の朝、ラミティエに一晩中痛めつけられた体を引きずりながら帰りつく。

 居間を見ると親父がお茶を飲んでいた。父の前に座る。


「おはよう、親父」

「おう、カーレッジ。

 昨日帰らなかったのはラミティエと何かあったの………って違うみたいだな。いつものケンカか?」

「ああ、あいつ訓練じゃそこまで強くないのに、昨日はいつもより倍の迫力と狂気で襲い掛かって来やがった」


 これが俺の父、クルだ。

 見た目はそんなに筋肉質ではないのだが、性格はちょっと厳格で、実力はまぁ……息子の俺が言うのもなんだけど、やっぱりバケモノだ。


「おはようカーレッジ。今朝御飯作ってるからもうちょっと待ってね」

「おはよう母さん。……一晩中動いてたから腹減ったよ。飯はいつもより多めでお願い」

「ふふっ……はいはい」


 苦笑しながら台所で調理しているのは母のスール。

 いつも家族を支えてくれている、優しい母だ。


「おあよー……」

「おはようルニー」

「おはよう、いつも通り寝ぼけてんな」

「おはよう、ほらもう少しで朝御飯出来るから。顔でも洗って来なさいな」

「むい……」


 寝ぼけながら来たのは妹のルニー。

 回れ右して洗顔に行ったみたいだけど大丈夫か?



《ゴン》


 あ、いい音したな。


「いっったー!!!!」

「………大丈夫か?」


 居間を出てすぐの所にうずくまっているルニーに声を掛けるが。


「大丈夫じゃないよ!思いっきりおでこぶつけちゃったし痛い!

 ってかお兄ちゃん居たなら井戸まで連れてってくれてもよかったじゃん!!」

「朝飯前に寝ぼけてるお前が悪い。いい加減一人で起きれるようになれよ」

「ぐぅ……そうだけど。たまには優しくしてくれてもいいじゃんか……」

「たまにならな。お前一人で起きる日の方が少ないだろ」

「そ……そんなこと………ないよ?」

「嘘つけ、先週何回俺が起こして―――

「おい、漫才やってないで早く顔洗って来い。ゆっくりしてるとお前らの飯、隣に御裾分けで持ってくぞ」

「い……今すぐ行きますっ!!」


 朝食抜き回避の為、ルニーが必死に走っていく、が。


《ガン!!》


……またぶつかったな。気持ちはわかるけどもうちょっと落ち着かないだろうか。


「親父、そのうち家が壊れそうな気がするんだけど」

「壊したら自分で修理させるさ」

「悪化しそうな気しかしないな………今朝の様子といい、段々ラミティエに似てきた気がするんだけど。家族が破壊者になるのはやだなぁ」

「たまに二人で出かけたりしているみたいだからな。その影響だろう」

「………嘘だろ?」


 俺にとってアレが増えるのは悪夢でしか無いのだが。

 外には鬼神、家には般若なんて故郷は嫌だぞ。なんて考えていると。


「本当よ!!この前出掛けた時、『もうちょっとしたら皆と一緒に狩り行こうね』って言ってくれたんだから!」


 あのやろう何て約束してやがんだ。俺の負担が増えるだけじゃねーか……

 愕然とした気持ちで妹の方を見ると、居間の入り口で自慢げに仁王立ちしていた。



 ……全身から水を滴らせて。


「一応聞いてやるよ、何やってんの?」

「に……仁王立ち」

「そっちじゃねーよ、何でびしょ濡れになってんの?」

「その……水汲もうと思ったら、ドジって……落ちちゃった」

「……で?家の中濡らしながら徘徊してたのか、タオルは?」

「……持って行き忘れちゃって。取りに行ってる途中で話が聞こえたから。

 ……その……兄さんに話したくて」

「はぁー………廊下はやっとくから着替えて体拭いてこい。朝飯無くなるぞ」

「……うん!」


 バタバタと走る音を聞きながら廊下に行こうと腰を上げると。


「甘やかすなよカーレッジ」


 親父が注意してくれるが……


「放っとくと後で俺にシワ寄せが来るんだよ……」


 言いつつ廊下に出ると、床は思っていたよりも濡れていた。

 ……手で掃除するのは面倒だな。術でいいか。


 イメージは熱風、足元から玄関までの廊下を通り、水を吹き飛ばし乾かすように。


「奔れ、風」


 つぶやくと、足元を風が通り抜ける。一応玄関まで行き、乾き残しが無いか確認してから居間に戻る。


「……術に頼りすぎるなよ?いつだったか小火起こしたやつもいたからな」

「わかってるけど今回は勘弁してよ。今、拭き掃除する気力が残って無い」

「わかってるならいい」


 ちなみに小火を起こしたことがあるのはラミティエだったりする。

 たき火で焼き芋を作ろうとしたらしいが、術の火力を間違えて近くの小屋が焦げたのだ。

 あれからあいつも成長してるだろうと思うが……ルニーが真似しそうで恐いな。


 などと考えていると、母が朝食を運んで来てくれた。

 今日は食パン・ベーコン・サラダ・コーンスープか。


「ルニー、早く来ないと無くなるぞー」


 廊下に向けて呼び掛けてやると。


「待ってー!!」


 返事が返ってきてようやくルニーが辿り着く。


「セーフ?」

「いいから座れ、食べるぞ」

「はい……って、あー兄さんのパン一つ多い!!あたしももうちょっと食べたい!」

「……太んぞ」

「ぐっ……た、食べたいけど……あきらめる………」


 ようやくルニーも大人しくなり、全員が席に着く。


「「「「いただきます」」」」


 我が家の食事時は静かだ、いつぞや騒いだルニーが親父に大目玉をくらって以降、食べている間は大人しくなったので自然とそうなっている。

 いつもは安らぐ時間なのだが今日は食事後、家を出ると伝えるため、緊張してしまう。



 食べ終わり、お茶飲んで一息ついてから、切り出す。


「親父」

「……何だ?」

「俺、島の外を見に行きたい」


 親父は少しの間目を瞑り、それから真直ぐに俺を見据える。

 ここで目を逸らせば次は無いだろうと、想いを込めた目で見返す。


「……昼食後、庭に来い」

「解った」


 答えると親父は居間を出ていく。


「兄さん、島を出るってどういう事!?」


 ルニーが騒ぎ出す、が。


「疲れてるから後でな、昼まで寝るから起こすなよ。

 母さん昼飯作る前に起こしてくれる?」

「はいはい」


 今すぐでなく、昼食後を指定されたのだ。訓練か、木刀での打合いでの勝利を条件にされるかもしれない。

 打合いだと勝機はほぼ無い、だけど無様は見せられないから休んで体調を戻しておこう。

 騒ぐ妹を放置して、俺は自室に向かった。





「術は使うな、他に縛りは無い。用意が出来たらかかって来い」

「……はい」


 庭に出て交わした言葉はそれだけ。

 親父は木刀を正眼に構え、俺の動きを待っている。が、眼光と威圧感で手足が竦む……

 俺の手に握るのは愛用の短剣。だが、いくら強く握ろうと掌に帰る感覚は頼りない。

 どう打ち込もうが流され、打ち返される未来しか思いつかない………が、負けるとしても動かなければ状況は変わらない。

 深呼吸をし、震える両足に活を入れ、前に出る!


 狙うは右足。身を屈め、的を小さくし、すり抜け様に踏み込む右足に切り付け―――


「っ!」


 浮き上がり、踏み込むと見せかけた右足が顔めがけて飛んでくる!!読まれた!?

 短剣での迎撃は間に合わない!!避けようと左に体を倒すが右肩を蹴り込まれ飛ばされる。


「がっ……」


 なんとか武器は離さなかったが、蹴られた箇所が鈍く痛む。体勢を立て直し、


「目線は隠せ、いくら素早く動こうが狙いがバレると対応される」


 ぐっ………答え合わせは有難いが、一瞬見ただけなのに意図を理解して迎撃するとか、どこまでバケモンだよこの親父!!

 武器の差で、リーチと一撃の重さが違いすぎる。こちらは今のように間合いを詰めるしか無いのだが。


「終わりか?」


 考え込んで動かない俺に、諦めたか?というように問われる。

 そうだ、止まっている場合じゃない。

 正面から挑んで敵わないのは解りきっているから、足で、素早さでかき回せ。


 短剣を右手に持ち、親父を軸に右回りに走る。

 緩急つけて走るなんて芸当、出来はしない。やれないことはないが技術不足だ、親父の前で不用意に速度を落とせは待っているのは、盛大に木刀を打ち込まれる未来だろう。

 次の狙いは左腕だ。親父の左側、死角を出て方向転換。振り上げた左手の振り落としに合わせ、左手に持ち替えた短剣で切り付け背後に抜け―――左手が落ちてこない!?


《ズトン!》

「がはっ!」


 左脇腹に木刀の衝撃を受け、吹き飛ばされた。

 昼食を戻しそうになるのをこらえつつ、なんとか立ち上がる。が、足にまるで力が入らない。何が起きた?木刀は振り上げてたんじゃ無かったのか?


「速さで間合いを詰め、手を切り付けるのは悪くない。だが、視野が狭すぎる。

 今のは左足を前に半身で構え、右手と木刀を隠し、左手を振り上げてお前の視線を留め、

迎撃のために浮き上った胴体を木刀で薙ぎ払っただけ。

 振り下ろされる手にタイミングを合わせ、攻撃するために注視するのは解る。だが相手の全身を見て判断しろ。今のも左右の足に意識を割いていれば避けられた攻撃だ」


 丁寧に説明してもらっておいてアレだが。

 こんのクソ親父がっ!!こちとら乾坤一擲のつもりで仕掛けてんだぞ。後出し余裕で対応したり、片腕の腕力だけで人一人吹き飛ばせるようなチート持ちと一緒にすんな!!


 理不尽への怒りを力に奮い立とうとするが、手足には力が入らない。

 短剣は吹き飛ばされた俺と、打ち合いが始まってから動いていない親父との間に転がっている。

 親父は未だ構えを解かず、正眼に構えてくれている。が、………勝てる気どころか一撃入れられる気もしない。



 交差したのは二回のみ、それでこちらは満身創痍。

 実行した策は破られ、手痛く返された。

 受けたダメージで足は潰された。

 ここまでなのか?今はまだ弱いから鍛えて力とつけろと?それとも島を出ず、親父の下に居ろと――――



「おーう、やってんなぁ」


 思考の渦から、聞きなれた友人の声に引き起こされた。


「……ジョワ?」


振り向くと、通りからこちらに向けて歩いて来るいつもの仲間と妹が見えた。


「親父さんにボコられる姿、見に来てやったぞー」

「……ジョワ、せめて雄姿って言ってやりなよ」

「いやーワタシにはそうは見えなかったけど、さっきの空飛んでる姿は雄姿って言ってあげるけど」

「ラミティエ、そこでドキッてする言葉とか『がんばってー』とか言えないからモテないんだよ」

「えっ?嘘?モテ期逃した?……ってアンテ、誰がモテないって?ああん!?」


 騒がしい仲間達(+般若)と心配するような、泣きそうな顔の妹。


「な…んで?」


「妹ちゃんがワタシのとこに泣きながら相談しに来たから事情聴いて、面白そうだったから皆呼んで見学しに来てやったぞ、感謝しろ!」


 慎ましやかな胸を張りながら、脳筋みたいなこと言ってやがる。

 ……やっぱ猛獣か。


「おっさんの弱点とか見つかるまで負けんじゃねーぞ。

 この前のリベンジとか次怒られたとき逃げ出す為の参考にすっから」


 好き勝手言ってくれんなこの野郎!このまま俺の次にボコられやがれ。


「……骨は拾うから精一杯やってきて」


 ……そうだ、勝てないなんてわかりきってる。


「力も知恵も体力も、敵わないのわかってんだろ?根性くらいしか見せらんねぇんだから気張れよ、親友」


 ……ああ、そうだな。ボロボロでみっともないけれど、今出来る精一杯を。



 親父を見ると、闖入者に苦笑しながら待ってくれている。

 唯一の武器は落ちていて、拾ったとしても満足に振れるかはわからない。

 足は未だに力が入らず震えていて、少しでも気を抜けば膝をつきそうだ。

 蹴られた肩、打たれた脇腹は痛み、動きを鈍くしてくれる。



 けれど、乱れる呼吸を精一杯落ち着けて。

 竦む手足を抑え、鋭く見据える親父を笑って見返し。

 動き出しはゆっくりと、けれど近付く程に力強く踏み出し。


「オオオオオオオオ!!!」


 想いよ届けと叫びながら拳を突き出す寸前に、俺の意識は落ちていった。





「あ、起きた?」

「………悪夢か」


 目を覚ますと痛む体と………俺を見下ろす見慣れた猛獣の顔があった。


「オイコラ、ワタシは気絶したアンタを労ってあげようと、優しく膝枕してあげてたんだけど?イマノコトバハ、ドンナイミカナ?」


 ………ヤバイ、寝ぼけて地雷を踏んじまった。

 片言のバーサークモードに入りつつ背後霊の鬼神が二人だと!?

 何とかこの場から脱出を――――


《ガッ》


 マズイ!!逃げられないように両手で俺の頭を固定しやがった!!ここで回答を間違えたら死ぬ!!


《ミシッ》


 って違う!!こいつすでに殺る気だ!!万力のようにじわじわと力を込められて頭蓋骨にイヤな音がし始めている!!

 突破口は無いかと視線を動かすが、視界には青い空と猛獣の顔、こちらを覗き込む三人に増えた鬼神しか見えない、これ以上考え込むのはマズイと親友[イケニエ]達に助けを求めようと―――――


《ドン》


 音と供に、ジョワ[イケニエ]が視界の端を先程の俺と同じように飛んでいく。

 これぞ好機!!!


「ラミティエ、親父に結果聞かないといけないから話してくれないかな?」


 できるだけ優しく、囁くように言うのがポイントだ。

 ここで喚いたり、暴言を吐こうものなら俺の頭は無くなってしまう。


「チッ………仕方ないわね。アトニマワシテアゲルワ」


恐ろしい、開放されたが奴はまだ鬼神を背負っている。

イケニエ[親友達]はどこだ?素早く視線を巡らし、……いた。

庭の生垣に頭から突っ込んでいるが、見えている服装からすると恐らく悪夢の原因[アンテ]だろう。

仕返し[お礼]をしなければなるまい。


「ラミティエ、殺気[さっき]の膝枕、アンテの発案だろ?あいつも気絶してるみたいだしやってあげなよ。してもらいたいから言い出したんだろうし」

「……なんか釈然としないけど、いいわ。そういうことならあいつにもしてあげようかな」


 ……怖え、発言の裏にある不穏さを嗅ぎ分けたのかこの猛獣。

 まぁ、標的は逃れたし今のうちに親父と話をしよう。




「親父、島を出る話は―――

「今日、晩酌に付き合え。訓練は欠かすな。……後は好きに生きろ」


少し俯きながら聞いた俺に、親父はそう告げてくれた。

バッ顔を上げるが、親父は後ろを向き、そのまま家に入っていった。


「ありがとう、親父……」


 誰に告げるでもなくぽつりと呟き、体の痛みからか、親父への感謝故か、俺は一筋の涙を流しながら、後ろの悲鳴を聴いていた。


 初の戦闘シーン。イメージは小さい時にやった剣道で、竹刀を離してだいぶ時間がたっているので細かく突っ込まず、ノリと勢いで読んでいただければ幸いです。

 で、途中に出てきた術について、説明はもうちょっと待ってください。長々と説明文描くのは好きじゃないので(私が眠くなる)冒険開始後、適当なとこでキャラの理解と一緒に多分ネタを挟みながら出します。

 それと話の描き方について。本編は主人公視点のみで進めます。批判とかが多ければ変更しますが、他メンバー視点は主に裏話で描きます。

 ご都合主義まで出す気は無いですが、裏話は色々ハッチャケていくので本編のイメージを大切にされたい方は閲覧注意です。

 本編は自由気ままに描きますが、裏話は要望が多ければそのキャラ・シチュエーションで描こうかなーとは思っています。(希望的観測)

 長くなりましたがこれでプロローグは終わり、次話から冒険開始の予定です。


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