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転生犬は陰陽師となって人間を助けます!  作者: 犬社 護
犬に転生、新たな飼い主との出会い
7/57

第7話 幽霊に遭いました-2 (生後1ヶ月)

前回のあらすじ

 幽霊と遭遇しました。俺には、霊力と呼ばれる力があるそうです。でも、肝心なことがわかりません。霊力てなんですか?


☆☆☆


 -----あれ、もう16時か。時間が経つの早いな。あれから、起きている間、ずっと訓練したおかげか、霊力が大分馴染んできたな。けど、身体全体に行き渡るまで、結構時間かかるんだよなー。それに疲れる。もっと、スムーズにできないものか。


 そういえば、人間の身体の一つ一つは、細胞で構成されていて、その細胞が集まって組織、組織が集まって腎臓や胃、肝臓などができていると、昔授業で習ったな。よし、血液循環だけでは不完全だな。もっと、細胞レベルまで行き渡るようにイメージしよう。


「ただいま〜〜」


あ、楓ちゃんが学校から帰ってきたか。


「お母さん、有希ちゃんと琴美ちゃんにアリーの子供達を見せたいんだけど、明日連れて来ていいかな、お泊りで?」


「そうね、いいわよ。生後1ヶ月になったし、もう大丈夫だと思うわ。ただし、あまり無茶しちゃだめよ。」


「やった!ありがとう。明日は土曜日だし、学校終わったら連れて来てもいい?」


「いいけど、友達の親御さんの許可をもらっておくのよ。」


「はーい!あとで、アリー達を私の部屋に連れて行くね。」


「うーん、まあいいわよ。この子達、賢いから粗相はしないでしょ。

おー、楓ちゃんの部屋に行けるのか。

是非、見てみたいな。

トイレを先にしておくように、みんなに言っておこう。


『リル、レオ、アリー母さん。楓ちゃんが、俺達を自分の部屋に連れて行くってさ。』


リル、レオ 『『えー、本当!!!。やったー、楽しみだな〜〜。』』


『ただし、部屋の中では絶対に粗相をしないようにだってさ。』


リル、レオ 『『はーい』』


『ラッキーは、賢いわね。ふふ、すっかり、2匹のお兄ちゃんて感じよ。』


ラッキーか、この名前、まだ慣れないな。


『はは、そうかな。アリー母さんは行ったことあるの?』


『あるわよ。ただ、ここ最近は、お腹に貴方達がいたから行ってないわね。』


あ、楓ちゃんが戻ってきた。


「みんなー、行くよ。1匹ずつだよ、危ないからね。あれ、みんなどうしたの?」


すると、アリー母さん、レオ・リルそして俺は一斉にシートの上に行き、順番にトイレを済ませた。


「えー、お母さん、今の見た?」

「何かあったの?」


残念、桜さんは台所だから、ここから死角なので気づいてなかったみたいだ。

「私がみんなを部屋に連れて行くて言ったら、一斉にシートに行って、トイレを済ませたんだよ。しかも、順番にやっていったんだよ。賢い!」


「えー、嘘でしょ!カメラで撮っておくべきだったわ。うちの子達は、みんな賢いわね。いつか動画を撮影して投稿したいわ。」


「これからは、スマホを常に持っておくよ。どこにシャッターチャンスがあるかわからないから。お母さんも、手元に置いといてね。」


「わかったわ。是非、投稿しましょう。そして賞金をGETだわ。」


なんか、2人して凄く話し合ってるな。今では、素人が動画をテレビ局に投稿できるのか。それにしては、ビデオカメラがないんだけど。あと、スマホて何だ?


☆☆☆


おー、ここがそうか。

壁が薄いピンクになっていて、カーテンとの色合いが凄いマッチしているな。犬や猫、熊といったヌイグルミも多い。まさに、女の子の部屋て感じだな!


ははは、みんなもはしゃいでるな。て、おい、アリー母さんは何度も来てるだろ。

何か面白いものないかな。お、本棚があるぞ。

マンガ発見!楓ちゃんにお願いしてみよう。


俺は、楓ちゃんの足をつつき、右足を本棚の方へ向けた。


「ラッキー、もしかして本棚のマンガ見たいの?」

「ワン」


「ラッキーは、新聞も好きだよね。変なの。マンガ出してあげるけど、絶対に破いちゃダメだからね。」

「ワン」


よっしゃ〜〜。やっとマンガを読めるぞ!

流石に人前で、読むわけにはいかないから、ちらちらとだけ見よう。


「うわー、器用だね。肉球でページ捲れるんだ。凄〜い!」


えー、マンガを押さえ付けて、肉球で捲るだけでも、こんなに騒がれるの?

どうしようか?


まあ、いい。ここまできたら、作業続行だ。


へー、このマンガ、絵が綺麗だな。ここでは、自分の中にある力を魔力ていう言葉にしてるのか。お、魔力を手に集中して、放ってるぞ。俺にも霊力があるんだから、手は無理でも、口から発射できないかな。もっとコントロール出来るようになったら、試してみよう。


よし、もういいな。これ以上見てると、怪しまれるし。


「ワンワン」

「もういいの?この中じゃあ、やっぱり一番変わってるね。」


やっぱ、変と思われてるか。とりあえず首を傾げて、意味がわからないような素振りを見せておこう。


「わあ、でも、一番、可愛いよー。」


俺は抱き上げられて、頬をスリスリされた。まあ、いいか。


『兄ちゃんばっか、ずるいよ〜。』

『代わってよー』


ありゃ、レオやリルに嫉妬されたか。ハハハ。

犬の生活にも、大分慣れてきたな。



明日は、友達が来るんだよな。どんな子達が来るのかな?楽しみだ。


☆☆☆


その日の夜、みんなが寝静まった頃、あの気配を感じた。


(もう、感づいたのか。早いの〜)


音もなく、明利さんが現れた。幽霊だから当然か。

けど、なんだ?俺の方を見た途端、驚愕な表情をしてるぞ。

しかも、眉と目がピクピクしてるし、何かあったのか?



(れ、練習しとるようだな。ふむ、もう身体全体まで霊力を包めるようになったか。--------普通、そこまで至るのに1ヶ月はかかるのに、なんという奴じゃ。本当に犬なのか。)


後半なんて言ったんだ?聞き取れなかったぞ。

あれ、こうやって明利さんを見てると、なんだろう?

身体の中央から、なにか感じるぞ。これが霊力なのかな。


(明利さん、俺はラッキーと言います。早く念話を教えて下さい。)


あれ、なんだ今の?


(ふぇ、お前さん、なんで念話使えるんじゃ!)


明利さんが、大口を開けたままになった。


(え、これが念話なの?身体の中央から、何か感じたから、それに合わせて、つい話したんだけど。)


(なんという奴じゃ。まさか、自力で修得するとは!お主、本当に、犬か?)


うーん、教えたら、不気味に思うんじゃないかな。でも、なにより前世の記憶が、どうして今世に引き継がれているかの情報が欲しい。明利さんは幽霊だし、霊力の事を教えてくれた。なら、こちらの情報を教えて、引き継ぎの理由を聞いてみよう。今の時点で、明利さんに怪しまれている。場合によっては怒らせて、ここから追い出される可能性もある。それは避けたい。


(今から言うことは真実です。聞いてもらえますか?)

(む、なにか隠しているのかい?いいよ、言ってみな。力になれるかもしれんからの。)


(はい、俺の前世は人間なんです。交通事故で死んで、気がついたら犬になってました。しかも、前世の記憶を完全に引き継いでいます。)


(何じゃと!前世の記憶を引き継いでいるのか。そんな馬鹿な!)

(えー、ばっちり完璧に持ってますね)


そこから俺は、これまでの経緯を話した。。


どうやら、前世の全ての記憶を持って転生することは、まずありえないらしい。転生前の浄化で全て消されるらしいが、稀に一部だけ浄化しきれないこともあるそうだ。じゃあ、なんで俺は全ての記憶を持つことが出来たんだ?明利さん曰く、異例中の異例だそうだ。


(ふむ、この霊力の強さと順応性も、それと関係しているのかもしれんな。)

(ずっと聞きたかったんですけど、霊力て何ですか?)


(すまんな。言うてなかったか。霊力というのは、人間の魂に宿っている潜在的な力のことじゃ。)

(魂に宿る潜在的な力)


(そう、普通の人間はまず気づかない。じゃが、一般人でも稀に気づく者もいる。ほれ、テレビとかでも霊能者ていうのがおるじゃろ。)


(ああ、いますね。あれ、一般人て、その言い方、まるで霊力を自在に操る特殊な人がいるんですか?)


(おるよ。世間一般で言うと、陰陽師じゃな。)

(陰陽師!本当にいるの?小説の世界じゃなくて。)


(おるとも。明日、楓の友達が来るそうじゃな。その中にもおるよ。)

(えー、そんなみじかにいるのか?)


びっくりだな。いや、陰陽師てことは剣やお札を使って、怪物や悪霊と戦うのだろうか?


(お主が思っとるような戦いは稀じゃ。)

(え、しないの!ていうか、心を読めるの?)


(お前さん、顔に出ておるよ。悪霊は確かにいるが、きちんとした話し合いが普通じゃ。)

(えー、話し合い、悪霊なんだから話し通じないんじゃ。)


(今は技術が発展しておるからな。相応の道具を使って、邪魔な気を排除してから話し合いじゃ。念話があるから動物霊とも話せるしな。場合によっては戦うこともあるがな。)


知らんかった。俺がのほほんと暮らしてた日常の裏に、そんな非日常があったとは!


(それにしても驚いたの。たった1日で、霊力循環と念話を出来る奴は、普通いないぞ。余程、感知能力が優れているんじゃな。あと、これは忠告じゃ。念話は、人間にやってはいかん。特に、霊力が目覚めていない普通の人間は絶対駄目じゃ。)


そうか。念話できる犬なんていたら、騒がれるよな。さっきも、順番にトイレ行っただけなのに動画を撮って投稿しようて話になってたな。うー、楓ちゃんとお話ししたかった。


(わかりました、気をつけます。)


(まあ、お前さんがもう念話を使えるようなら、彼女のことをお願いできるからいいんじゃが。)


(彼女て、誰のことですか?)


(一つお願いしたいことがある。)

(どうしたの?改まって。)


(楓の友達に南条有希という女の子がいる。その子と友達になって欲しい。)


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