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転生犬は陰陽師となって人間を助けます!  作者: 犬社 護
擬人化(制限付)と悪霊退治
56/57

第56話 初めての幽霊退治-6

前回のあらすじ

有希と平賀の戦いは、有希の勝利に終わりました。念珠玉のストックのことも考えたら、ギリギリの勝利です。さあ、次は俺の番です。


☆☆☆


平賀の身体には、大きな風穴が開いていた。


「そ、そんな馬鹿な、何だ今の攻撃は、見たこともないぞ。」


(有希、お疲れ様。あとは、俺がやるよ。)


本当にお疲れ様。言霊の補助があっても、身体にかなり負荷があったはずだ。


「あとは任せたわ、ラッキー。」


そう言って座り込んだ。

舞さんが心配そうに有希を見ていた。


「有希ちゃん大丈夫?平賀を倒してくれてありがとう。」

「私は、-----まだ戦えるぞ。」


「ヒ、そんな状態で、まだ戦うの?」


往生際の悪い奴だ


(平賀、諦めろ。お前はここで消滅するんだ。舞さんには、もう触れることも出来ないだろう。)


「何だと、クソ犬が、この俺が簡単に成仏するとは思わない事だ。舞を道連れにしてやる。」


(お前の考えそうな事は、こっちは全て把握してるよ。聞いてなかったのか?お前は、ここで消滅する。もう転生すら出来ないんだよ。おかしいとは思わなかったのか?有希が、どうしてここまで強いのか、そして何度も殺したはずなのに、どうして生きているのかを不思議に思わなかったのか?)


こいつは馬鹿なのか、ここまできたら気づけよ。


「ま、まさか、全てはお前が仕組んだ事でも言うのか!たかが、犬の分際で。」


(そうだよ、ここまで、全て俺の計画通りだ。あとは、最後の仕上げだ。)


俺は、言霊で半径20mの【結界】を貼った。これは、あらゆる霊的現象を内側で遮断するものだ。----そして、平賀限定に霊力を圧縮した【威圧】を放った。


「ひ、なんだ、この霊力は!お前はなんなんだ。聞いてないぞ。この地域に、こんな化物がいるなんて!」


ふーん、一応調べてここに来たんだな。俺に出会ったのが運の尽きだ。


「あのラッキー、消滅させると聞こえたんだけど、どうやって?」


舞さんは何も知らないから、疑問に思うのは当然か。


(陰陽師の言う退治というのは、強制的に成仏させること、ここで俺が言う消滅とは魂自体を分解させる事だよ。当然、二度と転生することは出来ない。なんせ、存在自体が無くなるのだから。俺には、魂を一瞬で消滅させる力があるんだよ。)


それを聞いて、舞さんも平賀も唖然としていた。


「え、本当なのラッキー?そんな事が可能なら、どうして会った瞬間にやらなかったの?」


(言ったろ。今回、俺はフォローにまわる----と。有希を成長させたかったんだ。そのため、平賀を利用させてもらった。礼を言うよ、平賀。お前が持つ全ての技術を有希は吸収できたのだから。さあ、お別れの時間だ。)


「ま、待て、待ってくれ。お前の言ってることが全て本当なのはわかった。ならラッキー、お前は何者なんだ?これだけの力をどこで手に入れたんだ?」


しつこい野郎だな。明らかな時間稼ぎだな。


(消滅する奴に教える必要はない。【消滅】)


「な、なんだ、何をしたラッキー。俺の中から、なにかが崩れ出してきたぞ。」


(言ったろ。お前の魂の分解は始まった。持って数分だな。これまでの人生でも振り返ってろ。お前はやり過ぎたんだ。)


「嘘!本当に平賀の霊体が薄くなっていってる。」


「待ってくれ、ラッキー。悪かった、二度と馬鹿なことはしないから解除してくれ。やめてくれ〜、消えたくない、消えたくない〜。」


どんどん薄くなっていき、最終的に絶叫してから消えた。舞さんは、平賀の最後の姿をポカーンと見ていた。


「有希、終わったよ。あとは舞さんを成仏させるだけだ。」

「ラッキー、あなた、本当に容赦ないわね。あれだけ懺悔していたのに無視してたし。」


(何言ってるんだ、信じられる訳ないだろ。悪人が懺悔するのは、こっちのスキを伺って、あわよくば逃げる算段でも立ててたんだろ。悪人この場合なら悪霊・怨霊か、そん奴らに情けなんかかけたら、いつか殺されるぞ。)


「う、同じ言葉をお父さん様に言われたわ。肝に銘じておくわ。」


さて、舞さんを見ると、平賀がいなくなったからか有希同様、座り込んでいた。


「私、やっと平賀から解放されたのね。ありがとう、有希ちゃん、ラッキー。」


舞さん、よほど嬉しいんだな。顔が涙でグチャグチャになってるよ。

さて、成仏は有希にさせてあげたいけど大丈夫かな?

て、あれ、舞さんの身体が薄くなってきてる。そうか、平賀という枷が外れたからか!


(有希、舞さんはもう大丈夫だな。)

「そうね、私達の役目は終わったわね。」


すると、舞さんの後ろに、知らない年配の夫婦が現れた。


「え、2人ともどういうこと?」


「舞さん、後ろ見て下さい。多分、あなたのお知り合いの人達がいます。」


舞さんが後ろを振り向くと、----とても驚いていた。


「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、どうしてここにいるの?」


「舞、すまなかった。早く、お前を助けたかったんだが、平賀の力があまりに強くて近寄ることも出来なかった。それで、この町の知り合いと相談した結果、、陰陽師の中でもトップクラスの南条さんに退治の依頼をしたんだ。私も、遠くから見てたよ。有希ちゃん、ラッキー、君達がここまで強いとは思わなかった。本当にありがとう。」


「舞ちゃん、もう大丈夫。あなたは解放されたのよ。私達と一緒に逝きましょう。有希ちゃん、ラッキー、舞ちゃんを平賀から救ってくれてありがとう。」


3人とも、涙を流しながら抱き合っていた。ああ、もうお別れの時間だ。

最後に舞さんが語り出した。


「2人とも、私は平賀から逃れられない運命だと思っていました。でも、こうしてお2人のおかげで呪縛から解放されました。有希ちゃん、ラッキー、本当にありがとうございました。------さようなら。」


そうして、3人は消えていった。


(ふー、お仕事、お疲れ様。今回は有希が大活躍だったね。)


「何言ってるの!ラッキーのフォローがなかったら、即座に殺されてたわ。それより、【放出】のあの威力はなんなの!射程距離を20mにしたせいで、木々に大穴が開いたんだけど。」


(ええ、俺のせいなの!戦う前に言ったじゃないか。溜め込んだ霊力を1点集中する大技だって、威力も相当なものになるから注意したよね。)


「う、言ってたかしら。戦いに夢中で、完全に忘れてたわ。それより、ラッキー、お祖母様にこちらに来てくれるよう連絡してくれない。身体がガタガタなのよ。さすがに、言霊のフォローがあっても、[縮地]【神炎】は厳しいわ。明日が怖いわね。」


(あー、わかった。ここから早く立ち去らないとまずいね。木々が折れそうだ。まあ、折れても、被害はないだろうけど。)


なんだかんだあったけど、こうして、俺達の初めての幽霊退治は大勝利に終わった。


依頼内容完遂だ。

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