第55話 初めての幽霊退治-5
前回のあらすじ
平賀との戦いが始まりました。シュミレーションを充分に行った事で、勝算はあります。始めは、平賀が圧倒していましたが、徐々に有希の勢いが増してきました。さて、どちらが勝つのでしょうか?
☆☆☆ 南条有希 視点
時間は少し遡る。1時間前、古民家の林付近に到着したところで、有希とラッキーは最終チェックをしていた。
(有希、今回使用する念珠玉は、【吸収】と【放出】、【変換】、【補助】、【回復】の5つ、そして俺自身が【幻惑】の言霊を使う。
【吸収】 平賀からのあらゆる攻撃を念珠玉に吸収する。また、平賀が持つあらゆる技
術を有希の霊力に吸収させる。ただし、急激な吸収は、かなりの負担になる
ので、少しずつ行う。
【変換】 念珠玉の中で、吸収したエネルギーを有希自身の霊力に変換
【放出】 変換した霊力を1点に絞り放つ
【補助】 吸収した技術を扱えるよう、身体と霊力のバランスが崩れないように支える。
【回復】 消耗した体力を少しずつ回復させる。
【幻惑】 平賀からは、致命傷の攻撃は通ったかのように見える。
以上が言霊の機能だ。これを確実に発揮させるためには、有希自身が信じないといけない。大丈夫か?)
信じる心ね。
「問題ないわ。ラッキーを信じているし、自分自身も信じているから。」
(よし、ただ気になるのは念珠玉の予備が5個、これに吸収したエネルギーをストックしていくから注意してね。)
これだけは、本当に注意しないとね。戦いに夢中になってたら、ストックの限界がきて私ごと爆発という未来は避けたいわ。
(最後に【放出】を使うけど、ある程度セーブして欲しい。止めは俺がしたいんだ。)
「どういうこと、何か考えがあるのね?」
(まあね。あの手のタイプは、成仏する時も何かやらかしそうなんだ。一番可能性があるのは舞さんを道連れにして、記憶を持ったまま一緒に転生し、同じ時代を生きるというパターンかな。)
なにそれ、一番最悪な未来ね。でも、あの平賀という男、舞さんへの執着心が凄い。ラッキーのように、記憶を持ったまま転生という可能性もありそうだわ。
「ラッキー、平賀をどうする気なの?」
(平賀自身の存在を魂自体を分解する。あの手の奴は転生しても、ろくな事をしないと思う。それなら分解して、地球の肥料にすればいい。)
「さらっと、とんでもない事を言うのね。前世の罪は、来世に引き継がれるらしいから、放っておいても大丈夫と思うけど。」
(有希、甘いよ。自分の欲望に強い奴は、前世の罪自体も巻き込んで、もっととんでもない事をする可能性がある。だから、この世から永久に消えてもらう。)
ひょっとして、ラッキー凄く怒っているの?犬だから表情が掴めないけど、多分怒ってるのね。フィリカでいる時、やり過ぎないようにしよう。あとが怖いわ。
「わかった、ラッキーに任せるわ。さあ、行きましょう。」
-----平賀との戦いが始まった。最初から全力で対処しているのに、まるで歯が立たない。いきなり、心臓を刺し貫かれた。動きが全然見えなかった。でも、言霊の力を信じる。全力でいきつつ、焦らず技術を吸収していくことに集中しよう。
10分後
少しずつだけどわかってきた。平賀の脚さばき、重心の位置そしてずらし方、効率的な力の使い方、どんどん頭に入ってくる。む、余所見をしている、今だ。
「余所見をしていいのですか?」
腹に全力の一撃を叩き込んだ。
全く、全力でやってるのに、あまり効いてない。でも、少しずつ実力差が縮まってきてる。もう少しだわ。
「少し油断しましたか。まさか、ガキのくせに、ここまでの実力があるとはね。いいだろう、私の本気を見せてやろう。」
え、消えた。気付いた時には、頭を貫かれていた。なに、今の動き!これはそうだわ、以前お父様に見せてもらったことがある。これが、陰陽師最高峰の足技、縮地ね。覚えたわよ、今度はこちらの番よ。
「貴様、なぜその年で縮地を使える!くそ、やはり全ての技術が向上している。」
いけない、念珠玉のストックのうち、3つが満タンになってる。でも、まだイケる。
さらに10分後
あなたの技術を完全に吸収したわよ。観念なさい。
「いきます。」
冷静に縮地を使い、相手の死角を移動し懐に飛び込む。平賀の急所に衝撃破を打ち込んでやる。
「ここですよ、どこを見ているんですか?はあ!」
急所は外れたけど、内部に確実にダメージを与えれたわ。
「貴様などに負けるか。甘くみるなー!」
そこに平賀はいなかった。油断した!
懐に潜り込まてる、避けられない、すぐそこに平賀の抜手があった。そして、首を貫かれた。危ない、これで3回死んだわ。もう、油断しない。
「まさか、子供相手にここまで手こずるとはな。光栄に思うがいい。この術を使うのは、貴様で2人目だ。私を怒らせた事、後悔させてやる。
【地獄の業火よ、奴を滅せよ】、ふははは、消えてなくなれ~。」
なに!この黒い炎、切れないし避けても追跡してくる。く、浄化するしかないわ。念のため、お札も持ってきているし、大丈夫。平賀から技術を吸収した今なら、あの術も使えるはず、自分自身を信じる。
黒炎が私を包み込もうとした瞬間、あの術を唱えた。
【神炎】
炎の外で、平賀が何か言ってるわね。
「おい、ラッキーと言ったか。いいのか、主人が死ぬぞ。は、もう手遅れだが、あのガキは肉体も魂も喰われているだろうがな。」
私が死ぬわけないでしょう。こんな黒炎、吹き飛ばしてやる。
(おい、また余所見をしているな。お前の自慢の術かは知らないが、じゃあなんで、有希は平然とた立っているんだよ。)
黒炎が吹き飛び、私の姿を確認すると平賀は唖然としていた。
(有希、ここまでで3回死んでるぞ。まだまだだな。)
「わかっているわ。悔しいけど、こいつ本当に強いわ。でも、もう大丈夫。奴の全てを吸収出来たから。」
(それでも、その吸収した後、1回死んでるぞ。油断大敵だ。)
「う、わかっているわ。霊力がかなり溜まったから、この一撃で決めるわ。」
「貴様ら、一体何を企んでいる!」
「敵であるあなたに言うはずないでしょ。」
イメージはレーザー、射程距離は20m、平賀の身体みぞおち周辺を狙って風穴が開くように放つ。
「【放出】」
すると、直径20cmの圧縮されたレーザーが物凄いスピードで発射された。気がつくと、平賀の身体には風穴が出来ていた。そして、射線上にあった木々にも大きな風穴が出来ていた。
えー、聞いてないわよ、ラッキー。
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