第5話 ついに耳が聞こえるようになりました、それと犬種判明!(生後21日目)
前回までのあらすじ
タイムトラベルで2016年にやってきました。すいません、嘘です。
転生して始めて、自分が2016年にいることがわかりました。
「」 が日本語 、 『』が犬語 となってます。
☆☆☆
おー、ついに前に耳が聞こえるようになった。これで、すべての感覚が揃ったぞ〜。
ここまで長かった〜〜。
さて、まずは犬語を喋ってみよう。
『あ、あ、ああ、おお!これが犬語か。普通に喋れるな。』
早速、母犬と喋ってみよう。
『ねえ、母さん、やっと耳が聞こえるようになったよ。他のみんなも、もう聞こえてるのかな?』
『あら、良かったわね。ええ、3日前から聞こえてるわよ。』
俺が最後か。てか、3日前から聞こえてたのかよ。
なんか、差が気になるな。まあ、いいか。後で、いろいろ話しあおう。
『ずっと、聞きたいことあったんだけど、俺達の名前、なんていうの?』
『私は主様からアリーて呼ばれてるわ。貴方はラッキーね。あと、どういうわけか私達を見るとパピヨンという言葉が頻繁にでてくるわ。』
おー、この犬種はパピヨンというのか。
『アリーか、いい名前だね。俺はラッキーか。主様達の名前は?』
『女の子が楓ちゃん、その母親が桜様、父親が直哉様よ。』
『そうなんだ。兄妹の名前は?』
『リルとレオよ。でも、新しい飼い主が決まったら変わるかもしれないけど。』
『新しい飼い主か。いつかは離れ離れになるのか。』
その時、話しを聞いていたのか、2匹の兄妹達がやってきた。
『え〜、僕達、離れ離れになるの。嫌だよー。』
『大丈夫。まだ1カ月以上先の話よ。それまでは、しっかりと貴方達を育てるからね。ラッキーはお兄ちゃんなんだから、しかっりしないとだめよ。』
そう言って、兄妹達を宥めていた。
そうか、俺も含めて全部で4匹飼い続けるのは、さすがにきついか。俺達を飼ってくれる人を見つけないとな。そうなると、今、桜さん達が探してくれてるのかもなー。それにしても、お兄ちゃんか。新しい飼い主が見つかるまで、ふふふ、しっかりと教育しておくか。
『そういえば、母さんは人間達の言葉はわかるの?』
『いいえ、殆どわからないわね。理解できるのは、「お座り」「お手」「待て」「散歩」「風呂」くらいね。私がやっているのを見て、覚えたらいいわ。』
うわー、定番中の定番だ。昔と全く変わってないな。
俺は当然、全部わかるんだけど、今は言わないでおこう。
あ、桜さんがこっちに来た。
「アリー、散歩に行きましょうか」
「ワンワン」
訳 『やった、散歩行きましょう。早く早く!あ、貴方達はお留守番よー』
リル・レオ「ワウーン、ワウーン」 訳『え〜、僕達も行きたいよ〜〜』
「ワウ、ワウ」
訳 『今、外に出ちゃうと病気になるから、絶対に駄目!気持ちもわかるんだけど、
我慢してね』
なんだ、この状況は?
桜さんの話す言葉とアリー母さん・レオ・リルが話す言葉、それぞれ異なるものなのに、俺から見たら全部日本語に聞こえる。これって、俺が前世の記憶を持ってるからか?
あ、桜さんと母さんが散歩に出かけて行った。
残ったのは、俺達3匹だけ。
せっかくだし、兄妹達と話し合おう!
ちょうど、2匹ともこっちに来たな。
『『兄ちゃん、兄ちゃん、なんで、いつも僕ら(私達)だけ置いてけぼりなの?』』
うお、2匹ハモってきやがった!
仕方ない、説得しておこう。腹いせに何かやりそうだし。
『お前ら、落ち着け。きちんとした理由があるんだ!』
俺は、目が見えるようになってから、犬のことを本で調べた。勿論、桜さん達がいないときにだ。その日、ちょうど楓ちゃんが犬の本を持ってて、出かけるときにテーブルに置いたんだ。でも、ドアが閉まった拍子に床に落ちたんだ。
いつ帰ってくるかわからないから、急いで調べたんだよ。肉球でページめくるのは苦労したぜ。
『今の俺達が外に行くと、すぐに死ぬ可能性がある。なんでかというと、俺達は生まれたばかりで、身体が弱い。外にはな、弱い奴らを殺す小さな小さな虫がいるんだよ(この場合、ウイルスのことだけど)。しかも、俺達よりも遥かに小さいんだ!今の俺達にそいつらが侵入すると、確実に死ぬ。』
『兄ちゃん、本当なの?えpお母さん、そんなこと言ってなかったよ。』
そりゃ言えないよね。母さんだって、理由知らないんだから。
『それは、俺達を怖がらせないためだよ。必死に駄目だて言ってただろ。』
『そっか。じゃあ、僕達どうなるの?一生、このまま』
『いや、大丈夫だ。あと1カ月ぐらいしたら、外に出れる。それまでは、いっぱい遊んで体力をつけておくんだ。』
『『はーい!』』
あ、あれ言っておかないとな。
『あと、俺達だけ留守番する時は、これからもあると思うんだが、絶対に粗相をしちゃただめだ。特に、カーペットの上に小便や大便はだめだ。必ず、決められたところでやること!俺達が小便しようとした時、楓ちゃんや桜さんが抱き上げて、あるシートの上に乗せたろ。あれは、ここでやるようにて言ってるんだ。』
『お兄ちゃん、もし、粗相しちゃったら、どうなるの?』
『それはな』
俺は、声のトーンを低くして、こう言った。
『山奥に捨てられる。』
『『え〜』』
2匹の顔色が急激に悪くなって、ガタガタ震え出した。
流石に、これ以上はまずいか。
『というのは冗談だ。』
すると、2匹とも怒り出した。
『『(お)兄ちゃん!!!』』
『悪い、悪い。けど、やりすぎると、みんなに嫌われるかもしれないからな。ちゃんと、シートの上でやるんだぞ。』
『『はーい!!!』』
そうこうするうちに、桜さんとアリー母さんが戻ってきた。
今日は、色々と話しできて面白かったな!もっと話をして、兄妹達との絆を深めていこう。あと、情報収集しておきたいしな。
それにしても、外の世界か。あれから28年も経ってるんだから、相当違ってるだろうな。早く見てみたいな〜〜。
ただ、犬だから、当然すべてが巨大に見えるだろうな。
ここで慣れとかないとな。
そうして、暫くの間、俺は飼い主や母犬、兄妹達と遊んだり、犬の常識を学んでいった。
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