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転生犬は陰陽師となって人間を助けます!  作者: 犬社 護
擬人化(制限付)と悪霊退治
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第47話 もう1人のラッキー (生後74日目)

前回のあらすじ

首輪に付属された機能が擬人化である事が判明しました。説明を聞き、俺は女の子になりました。ただ、聞いてた話と違います。自分で言うのもあれだが、髪が銀髪で可愛いのだ。この姿で外に出たら、目立ちまくります。先行きが不安になってきました。


☆☆☆


裸のままだとまずいから、とにかく服を着よう。それにしても、改めて見ても目立つ。胸も気持ち膨らんでいるし、下の感覚もないから変な感じだ。ふー、落ち着け。これから少なくとも2年間は、犬と人間(仮)の姿を併用していくんだから慣れないとな。


う、これってスカートだよな。はあ〜、履こう。女の子の姿になったのはいいけど、外に出たら確実に目立つな。まだ、子供の姿で良かった。


それにしても、犬に転生した時、当初は戸惑ったが、持ち前の前向きさでカバーし慣れた頃に、今度は擬人化で女の子か。複雑な生を送ってるな、俺。


前世の記憶はともかく、昔の動物達もこんな感じだったのか?

逆に目立って主人を危険に晒さないか?



この界隈に銀髪の女の子を見た事がないから、外に出る時は変装しよう。

さて、居間に戻って、皆んなに見て貰おうか。


居間に戻ると、真っ先に依澄が駆け寄ってきた。短い付き合いだけど、このメンバーの中で、賢く冷静だけど、一番子供っぽい事がわかった。


「ラッキー、凄く可愛いよ。これなら、外に出ても全然問題ないよ。」


「ラッキー、服の方はどうかしら?」


「丁度いいよ。有希ちゃん、ありがとう。ただ、下がスースーする。」


今後、この感覚に慣れないといけないのか。


「まあ、それは慣れるしかないわね。」


あー、これからは犬のラッキー、人のラッキーで生活しないといけないのか。

しかも女の子だ。


「皆んな、落ち着いたかしら。」


「はい、俺は大丈夫です。スカートは慣れませんけど。」

「はい、お祖母様。私も十分堪能しました。」



「ラッキーが女の子になったところで、次はいよいよ名前を付けてあげましょうか。有希・和葉・依澄、何かいい名前、思い浮かんだ?」


え、名前?そうか、この姿でラッキーは無理があるか。

3人とも必死に考えてくれてるな。


「うーん、名前。何がいいかな、可愛い名前だったら、なんでも合いそうな気がする。今のラッキー、ファンタジー小説のお姫様て感じだもんね。」



「依澄さん、フィリカというのはどうですか?ラッキーを見た瞬間、思い付いたのですが。」


「いい、しっくりくるね!」


「有希、いい名前だと思うわ。」

依澄・和葉も気に入ってくれたか。



「じゃあ、決まりね。ラッキー、擬人化している時の名前は、フィリカよ。」


明希さんの発言で、擬人化時はフィリカという名前に決まった。

いいんじゃないかな。


「はい、いい名前だと思います。有希ちゃん、ありがとう。」


「う、その笑顔は反則よ。フィリカ、これからも宜しくね。手始めに、言葉使いを治さないとね。」


「さすがに急には無理----かな。」


でも、一定時間、人の姿でいられるのは有難いな。


「明希さん、この姿は成長していくんですか。」



「勿論、普通の人間と同じ様に成長していきます。あと、左手首に付けられてるブレスレットは、首輪が変化したものよ。擬人化の時間は4時間だけど、時間切れ30分前になると、ブレスレットに付いている宝石が光る様になっているわ。」


「それは、有難いですね。人前で犬に戻りたくないから。これで、有希ちゃんと一緒に遊びに行けるのか。」


「フィリカ、まだ駄目よ。外出は、ワクチン接種3回目が終わってからね。」


おっと、有希ちゃんに注意されてしまった。


「そうだった。この姿で言われると変な感じだな。」


「でも、本当に可愛いわ。数ヶ月後には、この町のアイドルになってたりして。」

「依澄、それありうるわね。この可愛さだから。」


「2人とも大袈裟だな。そこまでいくはずないだろう。」


目立ちたくないから、帽子でも被って外出する事にしよう。


「フィリカ、これだけは覚えておいて。擬人化をするにあたって、最も危険なのが人間に恋をする事よ。過去の文献を見ても、何例かあるのよ。あなたの場合、前世の記憶がある分ややこしいけど、注意しておきなさい。」


う、明希さんの言う事は最もだ。前世の記憶、メリットでもあるしデメリットでもあるよ。


「はい、わかりました。」


これからは、擬人化して外に出歩く可能性がある以上、もっと気を引き締めないといけない!


「さて、それじゃあ、お勉強の始まりよ、フィリカ」

「え、有希ちゃん、なんの勉強をするの?」


「勿論、女の子の勉強よ。」


嘘だろ!いきなり、そこからかよ。


☆☆☆


1時間後、俺は精魂尽き果てていた。なんて濃厚な1時間だったんだ。女の子というものを嫌でも知ってしまった。


「うー、精神的に疲れた。」


俺とは逆に、有希・和葉・依澄は教えきったからか爽快な表情をしていた。

教えていくうちに、有希ちゃんの事も、呼び捨てで言うことになった。これからは、フィリカでも会うんだから、その方が良いかもな。


来月になったら、ここに引っ越すから、本格的にフィリカでも動く事になるのか。


「明希さん、お、私も、陰陽師の仕事の手伝っていきたいです。駄目でしょうか?」



「勿論、今後は仕事もこなしていってもらうわよ。この2年間で、陰陽師の事を色々知って貰わないといけませんからね。ただ、フィリカの場合、言霊を使えるのは3回だけだから緊急手段として残しておくわ。仕事に関しては、主にラッキーの遠方憑依が活躍するでしょう。」


「その方が有難いですね。言霊を自由に扱えますから。」


でも、1日の大半はラッキーの姿なんだよな。生身で言霊を使うと確実に死ぬらしいから、そこをなんとかしたいな。そういえば、擬人化の機能は首輪に付いている玉に付加されてるんだよな。ということは、水晶の様な宝石かビー玉とかに俺の言霊を付加出来るんじゃないか。よし、相談してみるか。


「明希さん、思いついた事があるんです。首輪に付いている玉と似た様な物はありますか?」


「ええ、霊具としてあるわよ。首輪に付いているのは水晶玉。精霊がこの玉に擬人化の術を付加させているのよ。他にも、お札や木剣などが霊具としてあるわね。悪霊や怨霊と遭遇した時は、この霊具に術を付加させて戦って退治するか、あるいは浄化させて話し合いを行い、成仏させるかのどちらかになるわね。」


「なら、お、私の言霊を付加させることはできませんか?それが出来れば、フィリカでもラッキーでも、ある程度なら悪霊達と対峙できます。それに、有希・和葉・依澄にも渡せて身を護れると思うんですが。」


その言葉を聞いた瞬間、不思議な雰囲気になった。初めに言葉を発したのは明希さんだ。


「それは可能ね。それが出来れば、陰陽師達は昔の様な立場になれる。だからこそ、許可出来ません。もし言霊が他人に知られれば、その言霊使いを探し、自分達のものにしようとするものが世界各国で現れるでしょう。それだけ、あなたは世界バランスを崩す存在、いわばイレギュラーなんでしょうね。」


俺の言霊は、そこまで影響を及ぼすのか!俺自身は自分の霊力でどこまで出来るか把握してるけど、言霊を知ってしまった周りは、そんなことわかるわけないか。俺は、本当にイレギュラーな存在だな。俺が落ち込んだと思ったのか、明希さんがフォローを入れてくれた。


「ただし、ラッキーと有希の分なら構わないわ。今後、貴方達は、主人と眷属者になるかもしれない。だから、有希も言霊の力を自分で発動することで、その力の一端を知っておいた方がいいわ。」


やった!俺と有希の分ならいいのか!


「ありがとうございます、明希さん。有希、早速色々と創っていこう。て、3人ともどうしたんだ?依澄、何か言ってよ。」


なんか、言葉使いが女の子みたいになってる気がする。

有希・和葉・依澄の3人は、うっとりとした顔で俺を見ていた。なんだよ、その顔は?


「フィリカ、気づいてないんだ。さっきから、表情が悲しんだり喜んだりしてて、可愛いのよ!」


え、そんな顔にでてたか。


「依澄の言う通りよ。ラッキーの時は気づかなかったけど、フィリカは顔に出やすいのね。」


「フィリカ、ありがとう。一緒に付加する術を考えていきましょう。」


和葉と依澄は、俺を褒めてるのか、貶してるのか?

まあ、いいや。これからは、有希と協力して、術を水晶玉に付加していこう。


ただ、擬人化は制限時間の事もあるから、あくまで緊急手段として考えておこう。


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