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転生犬は陰陽師となって人間を助けます!  作者: 犬社 護
擬人化(制限付)と悪霊退治
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第44話 ワクチン接種2回目―2 (生後70日目)

前回のあらすじ

久しぶりにカーくんとお話をしました。絶賛、日常生活満喫中です。そして、いよいよ2回目のワクチン接種がやってきました。黒部先生が、あの病院に就職出来たみたいで嬉しいです。果たして、俺達は黒部先生に診てもらえるのでしょうか?


☆☆☆


この病院に来るのは、4週間ぶりくらいか。今、俺はケージの中だ。レオ・リルは隣のケージに入っている。今回は桜さん1人だから、抱っこてわけにはいかないからな。それにしても、前と雰囲気が違うな。今は黒部先生だけでなく、ベテランの先生もいるから大丈夫だろ。動物達に評判を聞いてみよう。あ、あのミニチュアダックスフンド、ライムさんじゃないかな。挨拶しておこう。


『ライムさん、お久しぶりです。ラッキーです。』


レオ・リル 『『こんにちは』』


『君達は、あの時のパピヨン達か、久しぶりだね。』


『この病院、最近の評判はどうなってますか?』


『黒部先生が断然良いよ。僕達の気持ちをわかってくれるから、今抱えてる不満を言ったら、飼い主にそれとなく言ってくれるんだ。ここにいる皆んなは、殆どが黒部先生のファンだよ。』


そこまで、人気があるのか!この3週間近くで、かなり診察力と霊力を鍛えたんだな、凄いな。


『えー、みんなそうなの?兄ちゃん、今日、診てもらえるかな?』

『私も診てもらいたいよ。』


レオ、リル、それは皆んなが思ってる事だ。ライムさんは困った顔で続きを話してくれた。


『今日も忙しいだろうから、正直無理かもしれない。ベテランの先生もいるけど、腕は良いんだけど、僕達の気持ちをわかってくれないんだよな。患者が多くて黒部先生に負担がかかっている時は、迷惑かけたくないから、見た目の症状が軽い動物達は渋々だけど、ベテランの先生に診てもらってるよ。』


普通、ベテランの先生が症状の重い動物達を診るんだけど、なんか逆になってるぞ。しかも、動物達が気を使ってるし。



『そこまでですか!今日、大丈夫かな?』


『どうだろう?僕の飼い主は黒部先生のこと気に入ってるから大丈夫だけど、君達は何とも言えない。』


そう聞いた瞬間、レオ・リルが桜さんに吠え出した。


「レオ・リル、どうしたの、怖いの?大丈夫よ。今日は黒部先生に診てもらうようお願いしてあるから。」


前もって、電話で言ってくれてたんだ。


『レオ・リル大丈夫だ。黒部先生が診てくれるみたいだ。』


『やった!ありがとう。』

『お兄ちゃん、黒部先生とお話し出来るよ!』


『ライムさん、黒部先生に診てもらえそうです。今から行ってきますね。』


『うん、いっぱいお話ししてきたらいいよ。』


☆☆☆


ライムさんと別れ、病院内に入ると、犬や猫だけでなくフェレットもいた。前よりも、雰囲気が凄く良くなってる。怖がってる子もいるけど、和気藹々とした感じだ。ライムさん以外、知り合いはいないな。苦しそうな表情をしてる子もいるな。俺の言霊で治せないのだろうか?全員とは言えないけど、何匹かは出来ると思う。だが---------


事件が解決してから、俺には悩んでいたことがあった。それは自分の身体のことだ。普通に考えて、生後2ヶ月程度の犬が、【浄炎】【断空カマイタチ】【真空表壁】といった新術を使える霊力があるとは思えない。水精霊は、征次郎さんに話してあるて言ってたな。俺は、呼び出されたこともあって、思い切って征次郎さんに相談した。


相談した結果、俺の魂に問題があるそうだ。本来、転生すると記憶はリセットされる。だが、なんらかの理由で、エラーが起こった。このエラーが原因で、魂自体に通常では考えられない量の霊力が刻み込まれたらしい。俺は普通だと思っていたが、征次郎さんから見れば、陰陽師の数倍はあるらしい。


そして、水精霊同様、警告された。


「絶対に生身の身体で、念話や索敵、憑依以外の言霊は使うな!」と。


現在、生後2ヶ月、そんな未熟な身体で術を行使したら、崩壊して死ぬとまで言われた。成犬になっても、極力使うなと。言霊は、術の効力が大きければ大きい程、霊力も消費するし、身体にも負担がかかる。例え成犬でも、ある一定のレベルを超えると死ぬそうだ。危なかった。明希さんや水精霊から言われたこともあって、生身の身体で、大きな術は使っていない。今までは、ずっと精神体で使っていた。精神体が崩壊しないのは、魂と直結しているからだ。それだけ、俺の魂が強固ということだ。生身の身体では絶対使わないようにしよう。そして精神体でも、使用する時は細心の注意を払おう。


征次郎さんが

----------

「ラッキー、精神体になっても、言霊は無闇に使ってはいけない。今の霊力では、そう大きな事には使えないだろうが、君の言霊は多くの人々の運命を改変させる力がある。世間に知られると、大混乱となるだろう。昔は、言霊使いが暴走を起こさないよう、常に精霊が見張っていた。だが、今現在、言霊の力をどう扱うかは、ラッキー次第となっている。どうか、私達を失望させないでほしい。」

----------

と忠告してくれたしね。



もう1つ分かったことがある。俺の霊力は高いが、言霊で消費する霊力も高い。現状、燃費が悪いのだ。


色々と実験した結果、理由がわかった。言霊は、術のイメージ構築・効果・対象の指定をしないといけない。その中で最も霊力の負担がかかるのが効果だ。この効果、内容が精密であればあるほど、消費霊力が高くなるのがわかった。


【念話・索敵・遠方憑依】は術自体がシンプルのため、消費霊力も少ない。


思念集合体に使った【浄炎】、効果は思念を浄化し成仏させるという内容のためシンプルではあるが、対象が多過ぎた。このため、霊力のほぼ全てを使用した。


ちなみに【浄化】は、軽い思念を浄化し成仏させるという内容だ。【浄炎】は浄化の強化版だな。



水精霊と戦い終わった後、霊力の残量を確認したら20%程だった。【浄炎】【断空カマイタチ】【真空表壁】【引】と使ったが、精霊が単体だったため良かったが、複数で現れたら死んでたな。この新術の中で、消費霊力が高かったのは、やはり【断空カマイタチ】だ。暴風を圧縮する過程が大きいな。対象を殺した後は、カマイタチが解除されるだけにしておいて良かった。範囲を設定していたら、より精密になって戦いの途中で力尽きてたな。本当、ギリギリの戦いだった。



そして、言霊を扱う上で忘れていけないのが、雑念を入れないことだ。掘り出し物に使った【浄化】は、雑念が原因で予想外の効果が出てしまった。ちょっと綺麗になればなと思っただけなんだよな。それだけで、効果として現れるとはね。



まあ、今回有希ちゃんと勉強した事もあって、自分がどの程度の力量かを把握出来た。1つ言えるのは、言霊も万能ではないということだ。自分の霊力を超える力は、使用不可ということもわかった。今後、術を使う際はイメージ構築の時に消費霊力のことも考えておこう。


今後も勉強を重ねて、言霊をうまく制御しないといけないね。

そして、征次郎さんから言われたアドバイスは、必ず覚えておこう。


☆☆☆


「さあ、順番が来たみたいね。みんなで入りましょう。」


おっと、もう俺達の番か。さあ、黒部先生との再会だ。アリー母さん・レオ・リル・俺、全員が診察室に入った。ちなみに、アリー母さんは外、俺達はケージの中にいる。邪魔になるからね。


「黒部先生、こんにちは。この子達のワクチン接種をお願いします。」


「高梨さん、こんにちは。その後、レオ・リル・ラッキーの調子はいかがですか?」



「順調ですよ。ワクチン接種した最初の日は、3匹とも元気がなかったんですが、翌日からはいつも通りでしたね。でも、4匹入れたんですが、邪魔になりませんか?」



「この子達は大人しいですから、大丈夫です。じゃあ、レオから始めようか。」


まずはレオからか。レオがケージから出され、診察台に移動された。


(先生、こんにちは!あれ、聞こえてるのかな?)

(大丈夫だ、レオ。聞こえてるよ。うん、悪いところはなさそうだね。)



(本当、よかった。先生、僕とリルの新しい飼い主さんが決まったんだ。リルも一緒に飼ってくれることになったんだ。)



(リルも一緒か。それは良かったね。ということは、ラッキーとは離れることになるのかい?)


(兄ちゃんは別の人だけど、家が近いから偶になら会えるんだ。)

(今後も、この病院に来れるんだね、良かったじゃないか。)


-------その後、レオ・リル・アリー母さんの順に診てもらえた。ちなみに、アリー母さんは成犬なので、フィラリア予防注射をやってもらった。そして、俺の番になった。



「先生、一旦、この子達を車に入れて来ていいでしょうか?さすがに疲れてきて。」



「ええ、構いませんよ。ラッキーの診察は、10分程で終わりますので。」


(ええ、もうお別れ。もっとお話ししたかったな。)

(私も、会える時間が短い。)


(すまないな。他の患者もいるから、あまり長く話せないんだ。次に会うのは。1ヶ月ぐらい先かな。)


(こればかりは仕方ないよ。)



レオ・リル ((先生、今日はありがとう。さようなら)

アリー母さん (今日は、ありがとうございました。また、よろしくお願いします。)



桜さん達が診察室から出て行った。10分か、色々と話そう。


(黒部先生、お久しぶりです。霊力が凄く安定してるし、前より上がってますね。)


(あれから毎日、制御訓練をしているからね。ところで、さっきの念話には驚いたよ。他にも色々と出来るのかい?)


(あはは、それは企業秘密てことで、お願いします。)


(そうか、言いたくない事もあるからね。身体はどこも異常なしだ。-------よし、ワクチン接種終了だ。)


(前と全然違いますね。もう立派な獣医師て感じがします。)


(ラッキーのおかげだよ。ラッキーが叱ってくれて、念話のことを教えてもらったお陰で自信が付いた。これからも、この力に驕らず、頑張っていくよ。そうだ、言い忘れてたことがあった。ラッキーは、南条明希さんの家で飼われる事になったのかい?)


げ、なぜ知ってる?そうか、明希さんが調べてくれたんだ。


(はい、明希さんと会ったんですか?)


(このまえ、ちょっとね。力に溺れるなと忠告されたよ。後、霊力や念話を悪用しないようにとね。)


(そうなんです。俺も怒られました。他人、例え霊力に目覚めている人間であっても、念話の事を不用意に言ってはいけないと。)


(そうだね、この力は悪用されやすい。お互い気をつけよう。さて、ラッキーの診察はこれで終了だ。また、1ヶ月後に会おう。)


(うん、じゃあね、黒部先生。)


桜さんも戻って来て、俺は車のケージに入れられた。これで、2回目のワクチン接種終了だ。3日程したら、いよいよお散歩デビューだ。その後、有希ちゃんの家に行ける。でも、有希ちゃん・和葉・依澄の3人が、首輪のことで、何かを隠しているのは間違いない。


よし、行った時に問い詰めてやる!


まずは、3日後の土曜日、お散歩デビューだ、待ち遠しい。


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