第42話 もう1つの掘り出し物 (生後59日目)
前話で第1章終了予定でしたが、もう1つ掘り出し物があったので、オマケ話として作成しました。
前回のあらすじ
両親と最後の別れを終え、有希ちゃんは成長しました。俺も強くならないといけませんね。
☆☆☆
あれから5日経ち、南条隆之・茜さんの葬式も無事終了した。楓ちゃん達家族は揃って参加したが、俺も行きたいと訴えたところ、当然却下された。仕方なく、精神体で参加しようとしたが、征次郎さんから待ったがかかった。弔問客には、陰陽師が多数いるので、感づかれる可能性が高いとのこと。結局、俺は参加できなかったため、アリー母さん・レオ・リルに日本語や人間の常識、算数を教えたりして、気を紛らわした。
気になっていた北条家についてなんだが、大気が不安定だったため、ダウンバーストが発生したことが発端となって、火事などが多発し、大勢の人々が亡くなったということになった。ちなみに、これは全て精霊が行ったことだ。征次郎さんに聞くと、南条家やほかの陰陽師達がいち早く動いて、国に報告し、即時に動いたようだ。北条家本家の敷地もかなり大きかったため、その内容で、世間は納得した、いや納得させられた。まあ、俺はもう関係ないから、記憶の隅にでも置いておこう
そして、今、もう1つの掘り出し物を調べるため、有希ちゃん・和葉・依澄・征次郎さん・明希さんの5人と俺は、あの時の旅館にやって来た。
依澄 「---どうか、ただの鉄くずでありますように。」
(え、依澄は財宝を掘り出したいんじゃないの?)
依澄
「取材されるのが、凄い大変なのが嫌でもわかった。しかも誘拐→放火→遺体発見→財宝発見?とかになったら、さらに目立つ。もういい。」
あー、よっぽど嫌なんだな。最後、凄くトーンが下がったぞ。
和葉 「私も、ちょっと勘弁してほしい。今日、学校に行って、散々質問されたから。」
有希
「私もです。皆、さすがに少し遠慮してましたが、もう1つ掘り出し物を見つけたのと言った途端、質問攻めにあいました。」
征次郎
「ここまで来たのだから、覚悟を決めなさい。なに、テレビのようにはいかんさ。」
明希
「そうよ、財宝なんて早々見つかるわけないわ。」
和葉 「だといいんですけど。」
旅館に到着し、部屋で一時くつろいだ後、箱が置いてある倉庫に向かった。いよいよだな。女将により、箱がテーブルの上に置かれた。こうやってみると、この箱、比較的新しいな。200、300年前てことはないな。
女将 「終わりましたら、付近にいる仲居に声をおかけ下さい。」
征次郎 「お気遣い、ありがとう。」
そう言うと、女将は倉庫から出て行った。
女将も、箱の中身が気になるだろうに、さすがプロだな、全く顔に出てなかった。
征次郎
「ふむ、比較的、新しい物だな。まあ、100年は経っていまい。もしかすると、戦時中のものかもしれん。」
明希
「この辺りは、疎開場所でもあったはず。もしかしたら、その時の物が入っているかもしれないわね。」
気になるな。ちょっと覗いてみよう。術名は、中を評価するてことで【鑑定】だな。
(征次郎さん、一応、中を開ける前に術で確認してみます。危険なものもあるかもしれないので。)
和葉 「え、そんなこと出来るの?」
依澄 「なんか、ドキドキ感が薄れていく。」
有希 「もうなんでもありね、ラッキー。」
征次郎 「ふむ、そうだな。ラッキー頼む。」
俺は、【鑑定】と言った。
これは、---------なるほど、今でいうタイムカプセルか。色んな小道具や手紙らしき物があるな。ただ、1つ1つが悪意てことはないが、思念が取り巻いてる感じがある。
これは、開けるとまずいな!先に浄化しよう。
(中には、戦時中の小物や手紙が入っています。ただ、1つ1つに妙な思念が取り巻いていますね。開ける前に浄化をお薦めします。)
依澄 「良かった。戦時中の小道具とか手紙なら大丈夫だよね。」
和葉 「出来れば、元の持ち主に返してあげたいところね。」
征次郎
「ふむ、妙な思念か。おそらく、戦時中であったため、皆、複雑な胸中で埋めたのだろう。」
明希 「ラッキー、浄化をお願いしていいかしら。」
(わかりました。【浄化】)
その瞬間、箱の中の全ての物に取り巻かれている思念が浄化された。
征次郎 「よし。ラッキー、箱に鍵が掛かっているから解錠してもらえないか。」
(はい、【解錠】)
有希 「言霊はなんでも出来るのね。ラッキー、悪用しないでね。」
(しないよ!そんな目で見ないでくれ。)
明希
「さて、中を調査出来るわ。さあ、開けて見ましょう。」
☆☆☆
俺は皆に土下座して謝っています(ただし、犬であるため、周りからは伏せをしているだけに見える)。術は成功したんだけど、中身の保存状態がとても約70年近く経過しているものではなかった。つまり、埋める直前の物みたいに新しいのだ。
なんでだ?
(すいません。思念の浄化だけのつもりが、箱の中全体を綺麗にしてしまいました。)
和葉・依澄・有希ちゃんを見ると、顔が引きつっている。
和葉 「どうして、箱の中、全てが綺麗になったのかしら?」
なぜかな?どこを間違えたんだろう。
依澄
「-----多分、思いが原因だと思う。言霊は、ラッキー自身が術の効果・範囲・威力を決める。さっきの【浄化】は、ラッキー自身が綺麗にして相手に返したいという潜在的な思いが術に働いたんじゃないかな。」
(う、確かに、そう出来ればいいなと思ったね。)
征次郎
「おそらく、依澄の言う通りだろう。ふむ、仕方あるまい。適当な言い訳を考えておくよ。幸い、綺麗になったのは中身だけ。これなら大丈夫だろう。」
(本当ですか、良かった。)
有希 「ラッキー、言霊をきちんと制御する練習をしないと駄目ね。」
和葉、的確な意見を言った依澄をじっと見ていた。
(和葉、どうしたの?)
和葉
「依澄、やっぱり、あの誘拐事件というか、ラッキーやジェフ、カイ達と出会ってから変わったわね。」
(変わった?)
和葉
「そう。事件前まで、どこか臆病で言いたいことがあっても、口を閉じていたわ。今は、誘拐事件の時もそうだったけど、冷静に物事を深く見てる。私だと、そこまで的確に考えられないし。」
依澄を見ると、恥ずかしいのか、顔を背けている。
依澄
「姉さん。急に変な事、言わないでよ。ただ、思ったのよ。誘拐事件前までは、話す事が怖かったのよ。自分が言った事で、相手が不愉快になるんじゃないかとか、自分の意見なんか言わなくても、皆んなわかっているんじゃないかとか、とにかく不安でいっぱいだった。」
和葉 「4年前の事、まだ気にしてたの?」
依澄も、昔、何かあったのか?
依澄
「気にするなて言う方が無理だよ。私が言った何気ない一言が原因で、親友だった子達が大喧嘩したのよ。皆んなは許してくれたけど、それ以来、どうしても深く踏み込めなくなった。」
そんな事があったのか。
依澄
「誘拐事件の時、こんな理不尽で殺されるのなら、もっと自分を出したかったと後悔したわ。あのまま殺されてたら、悪霊になってたでしょうね。ラッキーやジェフ達に褒められてから、もう何も恐れずに立ち向かおうと思ったの。間違えた事をしたら、それを教訓に次に活かせばいいと思ったのよ。
成る程ね、自分の中で答えを出したのか。それが正解だよ。
征次郎
「誘拐事件がきっかけで、依澄は強くなった。有希も見習わないといけないな。」
有希 「はい、私も見習って、自分を変えていこうと思います。」
明希
「さて、ラッキー、これから言霊を使う時は、内容を正確に私達に言いなさい。」
う、急に話が俺の事になった。
(はい、わかりました。)
依澄
「中身は、戦時中の小道具やら手紙だから、ある意味、読みやすくなっていいよね。」
ま、まあ結果的にいい事をしたな。
-------その後、箱の中身は、テレビ局・記者・町の人達と協力して、当時の人達を探し出し、品物を譲渡することになった。結局、また、3人とも目立つことになったが、当の本人達は、戦時中の事を勉強出来たおかげか喜んでいた。
これで、第1章終了です。
現在、第2章を作成しており、ストックがある程度出来たら、順次投稿していきます。
少々お待ち下さい。
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