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転生犬は陰陽師となって人間を助けます!  作者: 犬社 護
犬に転生、新たな飼い主との出会い
31/57

第31話 出発 (生後51日目)

前回のあらすじ

放火事件でカイ・ランド・タロウは商店街の英雄になりました。今は、和葉ちゃんと依澄ちゃんが新しい飼い主として、3頭を飼ってくれています。


☆☆☆


今日は、連休初日、有希ちゃんとお出かけの日だ。といっても、俺の身体は高梨家にずっといるけどね。本当は、旅行の数日間ずっと遠方憑依したいところだけど、さすがに楓ちゃん達が心配するだろうから、遊び疲れて寝た時だけ、有希ちゃんに憑依することになった。そして、今はお昼寝時間だ。有希ちゃんに遠方憑依すると、バスの中だった。


(有希ちゃんに遠方憑依するのは初めてだな。今日から宜しくね。明希さんも宜しくお願いします。)


有希

(こちらこそ、宜しくね。ところで、ラッキー、またやらかしたわね。放火事件のニュース見たわよ。子供の救出と放火犯の捕獲、3頭とも凄いことをしたわね。多分、もう少ししたら、警察で表彰されるわよ。取材途中で、依澄さんが来てくれて良かった。記者達の大半が依澄さんに向かったから。)


(放火事件自体は、カイ達が解決したんだよ。俺はカイに念話と索敵を教えただけなんだけど、間接的に関わってるよね。)


(あら、認めるのね。)

(依澄ちゃんに色々と言われたよ。もっと自覚した方がいいて。)


(そっか、もう注意されたのね。なら、私から言うことはないわ。)


明希

(ラッキーが間接的に関わったおかげで、2人の子供達の命が救われた。この事実は、しっかりと受け止めておきなさい。あなたには、それだけの力を持っているのだから。)


(はい、わかりました。ところで、あとどのくらいで目的地に到着するんですか?)


明希 (あと2時間くらいかしら。)


2時間か。よし、まだ余裕がある。行方不明の捜査状況を聞いておこう。


(明希さん、今の捜査状況を聞いてもいいですか?)


(ええ、もちろん。といっても、進展はないわ。スマホの電波が最後に受信された場所が土砂崩れ現場だから、巻き込まれたのは間違いないのだけど。土砂を完全に取り除いても、結局車は発見できなかった。地元の人達は神隠しにでも遭ったんじゃないかてうわさされてるわ。)


なんだそれ!他人事だと思って軽くいってくれるな。有希ちゃんを見ると、悲しそうな表情をしていた。


(お祖母様、覚悟は出来ています。せめて、遺体だけでも見つけて上げたいです。)

(そうね。こんな時に、陰陽道の術が使用できればと常々思うわ。)


(実際のところ、土砂崩れの現場まで行けるんですか?)


(いいえ、まだよ。警察は明日にでも捜査打ち切りに切り替えて、本格的な復旧作業に移るみたいね。私達は、特別に許可をもらっているから大丈夫よ。)


そうか打ち切りか、残念だ。警察も、いつまでも続けるわけにはいかないもんな。でも、俺は諦めないぞ。絶対に見つけてやる。そのためにも、まずは土砂崩れ現場に行って現状を把握しよう。今の時点で出来るのは、スマホでK山を見るくらいか。


(有希ちゃん、スマホ持ってるよね。)

(ええ、当然あるわよ。)


(スマホで、K山の全体画像を見れないかな。見れたら、土砂崩れ場所を拡大して欲しいんだけど、どう?)


(ええ、それくらいなら可能よ。今は、日本全国どこでも上空からの画像を見れるのよ。ちょっと待ってね。)


ええ!出来るのかよ。約30年経過しているから、それくらいなら出来るんじゃないかと思ったんだが言ってみるもんだな。スマホて、一体どこまでのことが出来るんだろうか?


(これがK山の頂上を中心とした航空写真よ。)

(うお、絵じゃない、本物の写真だ、スゲー!)


(そっか、ラッキーはスマホ自体、操作したことがないんだ。)

(ない、ない。俺が生きてた頃は、スマホ自体なかった。)


明希

(そうね、1980年代だと、携帯電話でも一般用はまだ殆ど普及されてなかったわね。)


(じゃあ、俺が死んでから、技術が急速に発達したんですね。有希ちゃんの家に引っ越してからでいいんですけど、パソコンを使っても良いですか?)


有希

(ラッキー、パソコン使えるの?)


(桜さんがブログの更新とかいうので使ってるんだ。後ろで、ちょこちょこ見させてもらったから、基本的な操作はわかってるよ。)


明希

(そうね、いいわよ。ただし、征次郎さん、私と有希以外の誰かがいた場合は、絶対に使ってはだめよ。)


(はい、わかりました。それにしても、K山を真上から見たらこうなるのか。人形を供養する寺はどこにあるの?)


有希

(ああ、それはここよ。そして、ここが土砂崩れ現場よ。)


うお!ここまで拡大出来るのか。凄いな、スマホ。なるほど、土砂崩れ場所は寺から2、3km程離れてるのか。近くに川もある。夏は、この川で水遊びしたいところだ。


(土砂崩れ自体は、大規模だったんだよね?有希ちゃんの両親以外に、被害に遭った人はいないの?)


(いないわね。早く見つけたい……。)


切実な表情をしてるな。それにしても捜査を始めて、約1ヶ月と少し、土砂も粗方除去できている。にも関わらず、遺体はともかく車も見つかっていない----か。


(明希さん、有希ちゃんの両親の霊は見かけないんですか?亡くなっていれば、真っ先に有希ちゃんに知らせると思うんですけど。)


(それは状況にもよるわね。おそらく、まだ自分達が死んだことを理解出来ていないんでしょう。ラッキーなら、一度死んでいるしわかるんじゃない。)


俺の場合、アリー母さんの中にいる時に、前世の記憶が蘇ったんだ。しばらく考え込んで、自分が事故に遭って死んだことに気づいた。じゃあ、有希ちゃんの両親の場合はどうか?急な土砂崩れ、土砂に覆われて亡くなったはずだ。霊になっても、土砂の中だから、周りは暗闇、自分の状況を理解できないということか。


(ええ、わかります。暗闇で自分達の状況が理解できないということですか。)


(ええ、そう。私達がその場所を特定し掘り起こせば、状況を理解してこちらに来れるはず。ただ、あまり猶予はないわね。このままだと、2人とも悪霊になってしまう。)


(え、悪霊!陰陽師でも、悪霊になってしまうんですか。)


(陰陽道の修行をしているから、ある程度の耐性はあるわ。それでも、限界がある。悪霊になるまでの期間は、状況によってまちまちなのよ。今回は、最悪のケースではないけれど、もう1ヶ月以上経過している。)


なるほど、暗闇の中、1ヶ月以上経過しているということか。俺なら正気を保てそうにないな。しかし、一体どこにいるんだ?現状、車さえ見つかっていない。地元の人達が【神隠しにあった】と言うのもわかるな。スマホで見た限り、大規模ではあるけど、見つけやすい地形に見えるんだけどな。なんにしても、まずは土砂崩れ現場に行って、それから考えていこう。


「お父様、お母様、必ず見つけ出します。待っていて下さい。」


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