第30話 カイ・ランド・タロウ商店街の英雄になる-3 (生後48日目)
前回のあらすじ
カイ・ランド・タロウが祭り上げられている理由がわかりました。ああ、この先、どうなるのか。------困った時は、和葉ちゃんと依澄ちゃんです。
☆☆☆ 山路依澄 視点
「依澄、体調大丈夫なの?」
あ、メグが心配してくれてる。そうだよね、誘拐されてたんだからね。
「大丈夫だよ。数日ゆっくりしたおかげで、リラックス出来たしね。心配してくれありがと。誘拐された当初は怖かったけど、犬やカラス達が助けてくれたせいか、そこまで傷ついてないから安心して。」
「そうみたいだね。前より明るくなったよ。今の方が断然いいわ。」
メグと話している時、周りが騒がしくなった。どうしたのかな?由理が、慌ててこっちに走ってきた。
「ねえ、ねえ、依澄、依澄、助けてくれた犬なんだけど、3頭で、土佐・ハスキー・柴 なんだよね。」
「うん、そうだけど、どうしたの、そんなに慌てて?」
「これ見て!」
由理が持ってるスマホのテレビを見ると、あの3頭が映っていた。え、なんで、どういうこと!!!
「え、なんで、この3頭が映ってるの?」
「昨日、商店街近くの空き家で放火があって、中に子供が2人いたんだって。炎の中、その子達を助け出して、おまけに放火犯を捕まえたのが、この犬達らしいよ。今、商店街で取材の真最中みたいだね。」
えー、カイ・ランド・タロウ、あなた達凄いじゃない。
メグ 「依澄、犬達が見つかってよかったね。」
「え、あ、そうね、探してたのよ。まさか、犬達がテレビに映るなんてね。」
そうだった、みんなには探してることになってたんだ。うん、ちょっと待って!
「あれ、ひょっとして、私も行かないとだめ?」
メグ
「何言ってるの?当たり前じゃない。早く行かないと逃げちゃうよ。それに誰かが引き取るかもしれないわ。」
え、うそ、ただでさえ誘拐事件で目立ってるのに。
「メグ、由理、お」
「「お断りします。」」
「私、まだ何も言ってないよ!!!」
由理 「何を言いたいのかわかるわ。さすがに無理。」
メグ「ごめん、こればっかりは聞けないよ。行けるのは和葉さんしかいないわ。」
「う、そうだよね。商店街に行って、私達が引き取りますて言ったら、どうなるかな?」
由理 「そりゃ、取材されまくりだろうね。」
メグ 「諦めなさい、行くしかないわ。」
「うう、わかった。姉さんに連絡して一緒に行くよ。」
-------みんなと別れ、今は校門で姉さんからの返事待ちだ。あ、メールがきた。返信のメール内容を見ると、
[ごめん、生徒会の仕事が立て込んでて、商店街には行けない。悪いけど、依澄1人で引き取りに行ってね。]
は〜、最悪だ。私1人で対応しないといけないの!気分が重くなった時、ラッキーの声が聞こえた。やった、ラッキーとなら乗り越えられる。
(依澄ちゃん、助けて欲しい。ちょっと困ったことが起きたんだ。)
(商店街の件でしょ。)
(え!知ってるの。そうなんだ、カイに遠方憑依したら、すでに高齢者に囲まれてて英雄みたいになってるんだよ。大事になる前に連絡しようと思ったんだけど、とき既に遅かった。今、記者に囲まれてるんだ。)
(全国ネットで映ってたよ。今から、そっちに行くから、ちょっと待っててね。あと、誘拐事件といい、今回のことといい、ラッキー目立ちまくってるよ。)
(火事の件は、俺、一切関わってないよ!)
(何言ってるの!カイに念話、索敵を教えたのはラッキーでしょ。間接的に関わってます。まあ、そのお陰で2人の子供達を救出できたからいいけど。ラッキーが色々な人や動物と関わったことで、みんなの運命が大きく良い方向に変化していること、自覚した方がいいよ。)
(う、そうなのかなー。自分では、深く考えたことなかったよ。)
(ふふ、やっぱりね。商店街まで、約15分かかると思うわ。今も、記者達いるのかな?)
(いるよ。救出された子供達とカイ達で写真撮ってる。ワイドショー関係の人もいるね。)
(ということは、私も取材されるよね。緊張してきたー。)
(あはは、何事も慣れだよ。依澄ちゃんの場合、これからテレビと関わってくる可能性もあるし、練習と思って気軽にいけばいいんじゃないかな。)
(もー、他人事だと思って。)
仕方ない、覚悟を決めよう。
☆☆☆ ラッキー視点
よかった、依澄ちゃんと連絡できて。カイに伝えよう。
(カイ、依澄ちゃんと連絡とれたよ。あと15分程で、ここに来るみたいだ。)
(助かる。皆、喜んでくれるのはいいが、こうも人間が多いと、動き辛い。ランド、タロウ、もう暫くの辛抱だ。時期に新たな主人である依澄様が来られる。)
依澄様て、カイは本当に忠実な犬だな。けど、俺達が犬で良かった。記者達は、皆救出された子供達や親に取材しているみたいだし、俺達は見てるだけだからな。
(そう言えば、救出している時、子供達に念話で話をしたて言ってたよね。その後、子供達の様子はどう?)
(ああ、それなら大丈夫だ。記者達のお陰で、追い詰められて幻聴を聞いたんだろうということに落ち着いた。あれ以降、念話は使っていないからな。)
(子供達には悪いけど、仕方ないね。)
カイ達と話をしていたら、15分程経過したのか、依澄ちゃんが到着した。目ざとく、記者達は気づいて、依澄ちゃんの方へ向かった。さあ、俺達も合流しよう。
--------合流してから30分程経過し、やっと俺達は解放された。今は、徒歩で依澄ちゃんの家に向かっている。
(依澄ちゃん、お疲れ様。あそこまで、取材されるとは思わなかったね。)
(はあ〜、本当に疲れたわ。誘拐事件や放火事件が、いくら人的被害ほぼゼロだからって、みんな好き放題に質問するんだもん。)
(今は、特に目立つニュースがないからね。誘拐事件や今回のこと、共通してカイ達動物が絡んでるから、どうしても注目を浴びるんだろう。でも、依澄ちゃん、取材の受けごたえ、凄く上手だったよ。)
(そう、上手く答えれたか心配だったけど、良かった。カイ達も行儀よく、子供達と遊んでたから、周りの評判もいいし、カイ達の首輪やリードまで貰っちゃった。みんな、動きにくいだろうけど、家に到着するまで待ってね。)
カイ (いえ、私は大丈夫です。依澄様のお手間を取らせてしまい申し訳ありません。)
ランド (依澄様、俺も大丈夫。気楽に行こうよ。)
タロウ (そうそう、リラックスリラックス)
(ううう、みんなに気を使われてるよ。でも、コミニュケーションがとれてる。嬉しい〜、これで他の犬達とも話せる!)
その時、後方から和葉ちゃんの声が聞こえた。
「依澄〜〜、ごめんね。」
「姉さん、遅いわ。もう、取材終わって、今から帰るところ。」
「あはは、やっぱり終わってたか。依澄がどんな取材を受けてたのか見たかったな〜。あ、ランドとタロウのリード持つわ。」
「もう、凄い緊張したんだから。」
(和葉ちゃん、生徒会の仕事、お疲れ様。)
(ラッキー、ありがとう。カイ・ランド・タロウ、お手柄じゃない!燃え盛る家の中に突っ込んで、子供2人を救出、おまけに犯人を捕獲、凄い!飼い主として、鼻が高いわ。)
カイ
(和葉様、ありがとうございます。今回はタロウが活躍しましたね。タロウがいなかったら、子供達とともに死んでいたかもしれません。)
(タロウ、凄いじゃない。カイにここまで言わせるなんて。)
(たまたま運が良かったんですよ。もう、経験したくないですね。)
あれ、もう屋敷に到着したのか、話してると早いな。
和葉
(ふふ、それじゃあ、改めて、カイ・ランド・タロウ、私、山路和葉と妹の依澄があなた達の新しい飼い主となります。これから宜しくね。)
依澄
(みんな、宜しくね。)
カイ・ランド・タロウ
(はい、こちらこそ宜しくお願いします。)
こうして、誘拐事件と放火事件を通じて、カイ・ランド・タロウは山路家に迎い入れられた。
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