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転生犬は陰陽師となって人間を助けます!  作者: 犬社 護
犬に転生、新たな飼い主との出会い
24/57

第24話 誘拐事件後の後日談 (生後45日目)

5/31/16 ストーリーを加筆修正しました。

前回のあらすじ

和葉ちゃん、依澄ちゃん、ジェフと別れ、カイ・タロウ・ランドと町内を散策中です。早く、旅を再開したいところです。


☆☆☆


商店街を離れた後、レストランや定食屋を探した。何軒かあったので、ここでの常識、ゴミの中にある食べ物を無闇に食い散らかすのではなく、食べる場所を1ヶ所に止め、散らかり具合を最小限に抑えることを教えた。ちょうどいい具合に食べ物があったから、3頭に実践してもらった。


カイはその工夫に感心していた。


(なるほど、この方法なら人間達の怒りを最小限に抑えれるのか。)


(仮に、そこで人間と出会っても、その人の性格次第では食事を与えてくれるかもしれないし、逆に追い払われるかもしれません。絶対に焦らず、初めは様子を見てください。)


カイとランドは真剣に聞いてくれてるんだけど、タロウは名残惜しそうにゴミ箱を見ていた。


(特にタロウは要注意です。)

(え、俺、なんで?)


(さっきから、食べ物ばかり見てるからだよ。タロウの場合、夢中になって食べてる時に人間が出てきて、焦って道路に飛び出し、そのまま車に轢かれて亡くなる可能性が大きい。)


(う!)

ランドが笑い出した。


(ははは、まさにその通りだ。1週間前に同じことが起こったよ。あの時は本気でやばかったからな。)


(わかった、気をつけるよ。でも、ここの食べ物、凄く美味しいんだよな。)


(あとは、君達3頭に任せるよ。それじゃあ、遠方憑依を切るね。明日にでも、和葉ちゃんに連絡を入れてみるよ。)


この3頭のリーダーは完全にカイだな。冷静に物事をよく見てる。カイで大丈夫そうだ。


(ラッキー、改めてお礼を言わせてもらう。今後は楽しく暮らせていけそうだ、ありがとう。)


((ありがとう、ラッキー))


(喜んで貰えて良かった。和葉ちゃん達の状況に進展があったら、明日にでも連絡するよ。)


☆☆☆


夕方17時、楓ちゃんが帰ってきて、テレビをつけたところ、殆どのチャンネルで誘拐事件の事を取り上げていた。そして、それが解決したことに楓ちゃんは驚いていた。


「えー、もう解決したの!警察、凄いね。」


「それがそうでもないのよ。朝、誘拐事件の速報流れたでしょ。どうも原因は、警察。の人が間違って記者に言ったらしいの。しかも、犯人を確保して人質を助けたのは、なんとカラスよ。」


ほう、そのまま俺達が解決したことになったのか。警察がその発表内容を納得するわけないから、裏で圧力かけたんだろうな。なんたって、財閥だもんな!


「えー、本当にカラスが解決したの?」


「本当よ。今、どのテレビ局も、そればっかりやってるわ。さっき見たんだけど、犯人達が悲惨なことになってるわよ。楓も観てみたら。」


「うん、早速、観てみる。」


ちょうど、誘拐事件関連のニュースが始まったみたいだ。


「今回の誘拐事件、動物を怒らせるとどうなるのか、犯人達は身をもって知ることができましたね。」


「えー、特に主犯の天堂容疑者は、2日前のカラス殺傷事件の犯人で手配されてましたからね。まさかそのカラスの仲間から復讐されるとは。」


「林容疑者、東容疑者は、全治2ヶ月程度、天堂容疑者だけが執拗にやられており、全治半年、そして非常に言いづらいのですが男として大切なものを奪われました。また、3人とも共通して、髪の毛を毛根ごと毟り取られており、カラスに相当恨まれていることがわかります。」


「ただ、今回の事件、腑に落ちないことがあります。1つが犯人襲撃のタイミングです。警察の失態で全国ネットに流された直後、カラスが動いています。まるで、テレビのニュースを聞き、今後どういう事態に発展するのかを考えて、突入したかのように感じます。もう1つが犯人の撃退方法です。3人は、共通して髪の毛、手首、足首、股間をやられており、反撃できない状態にしています。なにか作為的なものを感じます。」


「まさか、たまたまでしょう。いくらカラスが頭がいいといってもね。」


--------30分程観たけど、殆どが真実だ。正確に情報が伝わってる。特に、警察のお粗末な失態をやたら強調してるぞ。これは、財閥の圧力が相当掛かってるんだろう。


「楓、動物に悪さしては駄目よ。あの犯人達のようになるから。」


「絶対にしないよ!!!髪の毛を毟り取られたくないもん!」


安心して、楓ちゃん。俺は絶対にそんなことしないから。とにかく、今日は精神的に疲れたな。明日は、和葉ちゃん達に連絡して、カイ達のことを聞かないといけないし、忙しくなりそうだ。


☆☆☆山路和葉 視点


長い事情聴取が終わり、やっと家に戻ってきた。早く、お風呂に入りたい。自室に入ろうとしたところで、メイドの明美さんに呼び止められた。


「和葉お嬢様、お風呂の準備が整っています。依澄お嬢様には、もうお伝えしておりますので、一緒に入ってはいかがかと。」


いつも思うんだけど、ナイスタイミング!


「ありがとう、助かるわ。今から入りに行きます。依澄には、私から言います。」


「かしこまりました。」


ドアを閉め、自分の部屋を見て、ようやく帰ってきた実感が湧いてきた。昨日、今日、とんでもない経験をした。でも、大切な人、じゃなくて犬に出会えた。ラッキーに会ってみたい。ラッキーには悪いけど、お父様とお母様には霊能力のことを伝えないとね。今後、私が財閥を継ぐ時、ラッキーの力は絶対に必要になる。小型犬の寿命は普通なら約15年、でも奥の手がある。陰陽師なら、南条家の力を借りれば、きっと----。おっと、今はお風呂に入らないとね。


☆☆☆山路依澄 視点


自室に入った瞬間、力が抜けた。


「う、うう、帰ってこれた。帰って来れたよ〜〜。」


私は泣いた。こんなに泣いたのは久しぶりだ。誘拐された当初は、完全に諦めていた。私は手足が縛られている状態だったため、何も出来なかった。だから、これまでの事を考えた。私が原因で、親友達が大喧嘩をし、一時期疎遠になっていた。その後、クラスの皆んなが助けてくれたおかげで、元の親友同士に戻って、私の事も許してくれた。でも、私はそこ以降、深く話すのが怖くなった。そう、全てが怖くなった。私の何気ない行動・意見で、人が私を罵倒するんじゃないかと思い始めた。


でも、誘拐事件が起こってから思った。こんな理不尽で殺されるなら、もっと友達と話したかった。変に怖がらず、おかしいと思われてもいいから、自分の意見をもっと言うべきだった。そう思った瞬間、自分の中の何かが氷解した。昨日、ラッキーが現れた時、色々と言ってしまった。始めは疑ったけど、話を聞いていくうちに、この鳥?なら信頼出来ると思った。私は安堵した。でも、今日の朝、犯人のボスが急に怒り、しばらくしてから私達に死の宣告をした。何かのミスで、事件がマスコミに漏れ、昼には殺すと言われた時、私は絶望した。でも、どうしてかな、どこかでラッキーが助けてくれるかもしれないと思ってた。そして、実際にラッキー、カイ、ランド、タロウやカラス達が犯人達を倒してくれて、私達を助けてくれた。ラッキーやジェフは、こんな私を褒めてくれた。これからは、色々な人達と話し合って楽しもう。怒られるかもしれないけど、怖がらず頑張ろう。


そうそう、1つ心残りがある。ラッキー自身には会ってないのよね。あー、ラッキーに会ってみたいな。-----コンコン-----


「依澄、一緒にお風呂入らない?」


姉さんだ。そうだった、明美さんが準備してくれてたんだった。


「うん、準備出来てるよ、入ろう。」


-----------身体を洗い終わり、やっと湯船の中に入れた。


「姉さん、帰ってきたんだね、私達。」


「ええ、一時はどうなるかと思ったけど、お互い大した怪我もなく、帰ってこれて本当に良かった。あとで、お父様やお母様に経緯を話しておかないとね。」


「でも、信じてくれるかな?」


「それなら大丈夫よ。2人とも、霊能力のことを知っているし、知り合いには陰陽師もいるからね。」


陰陽師?


「ええ〜〜!それ初耳だよ!なんで、教えてくれなかったの?」


「だって、依澄、幽霊苦手でしょ?霊能力、陰陽師となると、幽霊が絶対関わってくるんだけど。」


「ゆ、幽霊!絶対駄目、怖いのは苦手だよ。」


「だから、言うに言えなかったの。今だから言うけど、時々会っていた南条家の人達が陰陽師なんだよ。」


「えー、そうだったの!じゃあ、有希ちゃんも陰陽師!全然、知らなかった。なんで教えて、あ、そうか自動的に幽霊の話になるからか。でも、もう大丈夫。ある意味、幽霊と遭う以上の経験をしたから。」


誘拐事件という理不尽な経験をしたんだから、幽霊なんてへっちゃらよ、多分。


「ふふ、わかったわ。私が知ってる限りのこと、教えてあげるわ。ただ、ラッキーのやったことは、絶対にお父様やお母様以外の人に話しては駄目よ。ラッキーは自覚してるのかわからないけど、念話や索敵、特に遠方憑依は陰陽師でも知られていない術なの。周りに知られたら、確実に利用される。」


「うん、わかった。有希ちゃんにも相談した方がいいよね。」


「ええ、明日にでも連絡するつもりよ。それにしても、誘拐事件に遭遇したのに、こんなに笑い合ってるのもなんか不思議ね。----ラッキーに会ってみたいわね。」


「そうだね、ラッキーだけ、声だけで姿を見てないもんね。」


「多分、カイ・ランド・タロウのことで、明日には連絡くると思うから、その時に住んでいる場所を聞いておきましょう。」


「姉さん、ラッキーも飼いたいんだけど、どうかな?」


「依澄、------」

「姉さん、どうしたの?」


「ううん、なんでもない。ラッキーに、新しい飼い主が決まってなかったら言ってみましょう。」



風呂から上がり、夕食後、家族全員が揃ってから経緯を話した。姉さんが話した内容の中で、足らない部分を私が追加して話したら、父や母が驚いていた。普段、あまり喋ってないからだろう。やはり、誘拐事件の中で話題になったのは、ラッキーだろう。皆、これほどの事をしたラッキーとは何者なのか、興味津々だった。明日には連絡が来ることを姉さんが伝えると、必ず今いる居場所がどこか、飼い主が決定したのかを聞いておくように念を押された。


ラッキー、あなたに早く会いたいよ。

明日が楽しみ!


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