第22話 撃退作戦終了 (生後45日目)
5/31/16 依澄の発言内容を若干変更しました。
前回のあらすじ
撃退作戦がはじまりました。まずは、子分Aとデブを撃破です。次はボスの番です。
☆☆☆ボス視点
予定は狂ったが、身代金はなんとかなりそうだ。まさか、1日でマスコミに漏れるとはな。日程に狂いは生じたが、予定通り人質を始末してから身代金を受け取りに行くか。うん、今、下から音がしたな。
「兄貴、今、音が聞こえませんでしか?」
「ああ、確かに聞こえたな。おい、2人で見てこい。」
「「はい!」」
警察の奴らが感づいたのか、は、まさかな。
「お前ら、その目、まだ諦めてないだろ。今更、助けが来るとは思わないことだ。お前らを殺すのは昼頃、警察があと数時間でここを突き止めるのは、まず不可能だ。まあ、神にでも祈っておけばいいさ。」
その時、下から叫び声が聞こえた。ち、何かあったか?
「お前らは、もう少しで絶望を感じていろ。」
目隠しをしておくか。暗い方が、より絶望を感じるからな、ククク。
「うわ〜〜〜、やめろ、やめてくれ〜〜〜。」
なんだ!この声は東か。下を覗いてみるか。なんだよ、なんなんだよ、この黒い塊は!!!東も林も黒い塊、いやカラスに襲われてる。
「くそ、どうなってやがる。おい、待ってろ、今からそっちに行く。」
急いで階段を駆け下りたが、途中で奇妙な音が聞こえた。ここは3階か、ち、仕方ない。音はどこからだ、あのフロアか。
「おい、誰かいるのか、出てきやがれ!」
くそ、なんだ、なにかいるぞ。妙な威圧感がある。おかしい、なぜ暗いんだ。もう朝の9時だぞ。-------急に後頭部から激痛を感じ、周りがなにも見えなくなった。
「ぐわーーー、なんだ、何が起こった?」
「カーカーカカー」 訳『復讐の時が来たぞ〜!みんなやれ〜〜!』
(さあ、みんな復讐の始まりだー〜〜〜!)
復讐?あの時のカラス共の仲間か。うん、ちょっと待て、なんでカラスが日本語喋れるんだ?
「ぐあー、痛えー!」
くそ、何匹いやがる。こいつら、俺の手首や髪の毛ばかり噛んできやがる。前が全く見えん。激痛で銃やナイフが取れない。く、落ち着け、カラスの攻撃が緩む一瞬を待つんだ。左前方の攻撃が緩い、この程度なら突破できる。は、所詮はカラスか、一旦、この場から逃げさせてもらう。
「うおー、どけや、カラス共!」
よし、突き抜けたぞ。て、え、下を見ると床が無かった。やばい、ここは3階だ!
「うわーーー、ガハ!」
くそ、誘導されたのか。動けねー、骨が何本か折れたぞ。あいつら、本当にカラスなのか、人間みたいな戦略とりやがる。
「うがーーーーー、今度はなんだ。なんで土佐犬がここにいるんだよ!」
土佐犬の野郎、俺の股間に齧りついてやがる。痛え〜〜!は、上を見ると、さっきのカラス共が急降下してきやがった。うわー、なんだ、こいつら、まるで軍隊だ。人間の急所を理解してやがる。
「やめてくれー、そこは勘弁してくれ〜〜。」
俺は、カラス共に懇願した。すると、幻聴なのか、声が聞こえた。
(お前は俺達の仲間を殺した。懇願しているにも関わらずだ!なら、俺達がお前の懇願を聞き入れるわけないだろ。これは復讐なんだよ。観念しろ!お前にとって、最も大切な2つの物を今から奪い取ってやる。そして反省するんだな、やられたらやり返すのが常識だ。何十倍に返してやるよ。)
確かに、俺はカラス共を殺した。これはその報いということなのか。その時、ブチと音がして、あまりの激痛に意識が途絶えた。
☆☆☆ラッキー視点
復讐は完了した。ここまで、上手くいくとは思わなかった。特に、あの子供騙しの罠、見事に嵌ってくれたな。絶対、失敗すると思ったよ。まあ、作戦が順調に進んだし、いいか。さて、公衆電話に行かないとな。
(ジェフ、公衆電話があるところまで飛べるかな。)
(ああ、ちょいと疲れてるが、まだ大丈夫だ。)
------思いの外、公衆電話を見つけるのに苦労した。昔は結構な頻度であったんだけど、多分、スマホのせいだな。さて、これから和葉ちゃんと依澄ちゃんを救い出さないとね。犯人達の方は仲間にお願いしてあるし、ナイフも抜き取ってあるからまず大丈夫だろ。さあ、行きますか。
☆☆☆山路和葉 視点
どうなったんだろう?あの3人の悲鳴が途絶えてから、かなりの時間が経過したよね。あの人?からの声もまだ聞こえない。早く聞きたい、お願い、早くあなたの声を聞かせて。
(待たせたね。作戦が終了したよ。直に警察もここに来るだろう。)
(終了!犯人達を殺したの!)
(大丈夫、当初の予定通り、殺していない。その代わり、大切な物を奪ったけどね。今は、動けない状態になっているから大丈夫だ。おっと、それより君達の目隠しと猿ぐつわを外さないとね。)
突然、猿ぐつわと目隠しが外れた。う、眩しい。久しぶりの視界だ。誰が私達を助けてくれたのかな。目が慣れた頃、その姿が何なのかを理解した。
「カラス!!!カラスが助けてくれたの。」
「やはり、カラスですか。」
「え、依澄はわかってたの!」
「なんとなくね。犯人達を追跡して、撃退するだけの力があるのは、この辺だとカラスぐらいかなと思ってた。」
凄いわね。あの状況で、きちんと考えてたんだ。
「姉さん、私達、助かったんだよね。」
え、そうか、助かったんだ。
「うん、そうだね、助かったんだ。」
2人で喜びを分かち合っている時、別の声が聞こえた。
(ちょっと待て、お前ら。お前達を助けたのはラッキーだ。犬のパピヨンのラッキーだ。)
(あ、言うの忘れたけど、俺達と話す時は心の中で言ってね。俺は日本語わかるけど、他のカラス達はわからないからね。ちなみに、さっきの声はここら一帯を支配しているボスのジェフだよ。そして、今回君達の救出に関わったのは、俺、カイ、ランド、タロウの犬4頭とカラス約500羽だ。)
え、どういうことなの?犬?パピヨン?
(姉さん、大丈夫?あの、それだけの動物が関わってくれたんですね。みんな、ありがとう。あと、この場にパピヨンなんて犬、いないんですけど?)
(依澄、ちょっと、混乱してるけど大丈夫。あのみなさん、助けて頂いてありがとうございます。あの差し支えなければ、説明してくれませんか。)
(そりゃ混乱するよね。じゃあ、どうして俺達が君達を助けたか、俺ラッキーが何者かをきちんと説明するよ。)
--------一通り説明を聞いたけど、信じられない、霊能力?、念話?遠方憑依?。でも、この状況が真実を物語っているよね。依澄を見て、お互い頷いた後、私達はまず御礼を言った。
「「ラッキー、カラスさん達、私達を救って頂き本当にありがとうございました。」」
(まあ、まだ完全に救ったとは言えないけどね。さすがに手足の手錠は外せないんだ。警察が来るまで我慢してね。もう、しばらくかかると思うから。)
そうか、この手錠は頑丈だもん。さすがに、カラスや犬の力では無理だよね。遠くから、パトカーのサイレンが聞こえる。良かった。警察が来てくれたんだ。
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