第18話 撃退作戦(準備段階-1) (生後44日目)
前回のあらすじ
別の誘拐事件に遭遇しました。俺達に救いだせるのかな?
(ラッキーは指示だけ、行動はカラス達です。)
☆☆☆
ふう、とんでもない場面に遭遇したな。あの男共、どうやって退治しようかな。鳥達にも出来て、女の子に被害はなく、男共を悲惨な目に合わせる方法を考えよう。今は、昼前か、ちょっと家の中でも散策して頭を切り替えるか。
『兄ちゃん、どこ行くの?』
『何か面白そうな物がないか家の中を探検してみる。』
『お兄ちゃん、暇だから、私も行く〜。』
『僕も行くよ。』
------- リビング、キッチン、応接間、めぼしい物はないな。ここは洗面所か、人間だった時は髪の毛のセットに時間かけてたな。くせ毛のせいで、上手くセット出来なかったんだ、懐かしいな。うん、まてよ、そうか!!!あの男共を懲らしめる方法を思いついたぞ。でも、これだけじゃ駄目だ。
「みんな、そろそろ戻ってきなさい。私がお昼ご飯食べてから探検してね。」
あー、ケージに戻されてしまった、残念。テレビでも見よう、何か思いつくかもしれない。
☆☆☆
もう夕方か。結局、あれ以降、何も思いつかなかった。うーん、なにか突破口がほしい。まだ向こうも進展がないみたいだし、焦らず考えよう。
「ただいまー。」
あ、楓ちゃんが帰って来たか。
「お母さん、この映画知ってるかな?」
「どれ、あー懐かしいわね。犬達が悪い奴らを懲らしめる映画ね。面白いわよ!」
なに!そんな映画があるのか、是非見たい。
「クーン、クーン」
「どうしたの?ラッキーも一緒に見たいの?」
「ワンワン」
「いいよ。今から一緒に見よう。夕飯までには終わるだろうしね。」
------見終わった。この映画、滅茶苦茶いい、最高!
1)中盤 主人公のセントバーナードが悪役の2人組を懲らしめるシーン
5mのリードが付いたままのセントバーナードがテーブルに座っている2人組に近ずく。リードを椅子に引っ掛け、それを椅子とテーブルにぐるぐるに巻いていく。そして、家族の父親が詐欺の契約書にサインをしようとしたところ、悪役の男がセントバーナードを遠ざけるためにボールを投げた瞬間、セントバーナードは全力で走り出した。リードを付けたままである。当然、椅子に座ったままの2人組は、急なことで椅子から離れられずテーブルとともに犬によって何十mも引きづられる。途中ブッシュが見え、犬が飛び越えたあと、テーブルが引っかかって椅子ごと空中ダイブし、何回転もした結果、綺麗に着地する。そこで終わりかと思いきや、犬はさらに走りだし、2人組は延々と罰を受け続けた。
2)終盤 誘拐された犬達が解放され、犯人達を懲らしめるシーン
犬を誘拐した犯人達は3人いて、1人は獣医だ。こいつは、主人公やその主人を
銃で殺そうとしたんだ。間一髪、誘拐された犬達の1匹、ジャック・ラッセル・テリアが獣医の股間に齧りつき、その後、主人公の家族達によって撃退された。残り2人は、誘拐された犬達(少なくとも5匹以上)に追いかけられ、高さ3m程のフェンスをよじ登り、そのまま逃走と思いきや、3匹のドーベルマンが先回りし、そのまま撃退された。
動物達だけで、これだけの立ち回りが出来るんだな。まあ、映画だからなんだろうけど。しかし、俺には念話がある。動物の言葉がわかる。ふふふ、色々思いついたぞ、映画のようにとはいかないが、犯人達を撃退してやる。さて、鳥達だけで犯人を無力化させる方法は思いついたけど、まだだめだな。犯人達はどんな凶器を持っているのか調べよう。
(カラスさん、聞こえますか。)
(聞こえてるぞ。)
(犯人達は、どんな凶器を持ってますか。例えば、ナイフや拳銃などはどうでしょうか?)
(今のところ、あいつらが持っているのは短いナイフだな。それ以外は見当たらんぞ。)
(そうですか。拳銃を持っている可能性もあるので、もし何かこちらに向けてきたら、直ぐに射線上から離れて下さい。)
(拳銃というのは、こちらに向けて大音量の音を出すやつだろ。あれはやばいからな、気をつける。それと、兄貴とかいう奴が戻ってきた。男共は今3人だ。)
(わかりました。夜に遠方憑依をしますので、それまで待機して下さい。)
☆☆☆
(カラスさん、見張りご苦労さまです。)
え、何なの、この雰囲気?昼前と全然違うぞ。なにかあったのか?この森の中、全部が殺気立ってる気がする。
(何かあったんですか?)
(ああ、ラッキー。君には本当に感謝している。君と出会い、食料や人間の常識を教えてくれただけでなく、私達仲間の仇を見つけてくれたのだから。)
(え、仇?)
(そう。ちょうど2日前、私達の仲間が殺された。しかも、ただ殺されたわけではない。なぶり殺されたもの、羽を毟りとられた挙げく銃で殺されたもの、首の骨を折られたもの、多くの同胞がやられた。私はその時用事があり、そこに居合わせなかった。今日の夕方、仲間と合流後、兄貴と呼ばれる顔を見た仲間が言ったんだよ。
『こいつが仲間を殺した奴だ』てな。)
え〜、なんという偶然!そして、俺は気づいてしまった。よく周りを見ると、そこら中にカラスがいる。一体、何羽いるんだ?
(なるほど、仲間の仇を討つんですね。今、この周辺に何羽いるんですか?)
(そうだな、500羽はいるんじゃないか?)
げ、500!集まりすぎだろ。
(そこまで、集まってくれたんですか。)
(始めは200くらいだったが、仇がいたからな。周りに伝わり、仲間を呼び寄せてくれたんだ。ラッキー、男共、殺していいよな。)
(駄目です!殺してはいけない。)
すると、カラス達が一斉に殺気立った。
(なんだと!あいつらは仲間を殺したんぞ。殺すとあいつらと同じ、とかぬかすんじゃないだろうな。)
(そんな事、言いませんよ。ただ、殺すだけじゃ温いという事です。殺したら、そこであいつらの人生は終わりです。そんなんで、あいつらのした事が許されると思いますか?)
俺はハラワタが煮えたぎっていた。動物達をなんだと思ってやがる!
は、殺す、その程度で終わらせるわけないじゃないか!すると、周りのカラス達が一斉に唾を飲み込んだような気がした。
(どういうことだ?お前はあいつらをどうしたいんだ?)
俺は、思いついた作戦をみんなに話した。
------なんだろう?また、雰囲気が変わった。
(ラッキー、お前はなんて奴だ。確かに、その方が面白い。あいつらが死ぬまで、その苦しみを味わうんだからな。くくく、今から楽しみだ。みんなもそう思うよな!)
周りのカラスが一斉に、
「カーカーカーカー、カーー〜〜〜〜〜!」
訳『ああ、楽しみだ〜!、やってやるぜー〜〜〜〜〜〜〜』
(皆さん、必要な道具を集めましょう!)
カラス達が復讐のため、一斉に動き出した。
わかっている方もおられるかもしれませんが、とある映画を参考にしています。
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