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転生犬は陰陽師となって人間を助けます!  作者: 犬社 護
犬に転生、新たな飼い主との出会い
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第11話 力の開眼 (生後32日目)

前回のあらすじ

南条有希ちゃんと友達になりました。前世の事を話しましたが、有希ちゃんは普通に接してくれました。出来れば、俺を飼ってほしいですね。


☆☆☆


「さあ、今日は何して遊ぼうか?」


翌日の朝食後、楓ちゃんが開口一番に言った。すると、有希ちゃんが怖い顔をして、


「楓ちゃん、何を言ってるの?明日、算数と国語のテストがあるんだから、勉強しないとね。」


「うーん、やっぱりやるの?」


「「当たり前です」」


おー、琴美ちゃんと有希ちゃんが2人してハモったよ。楓ちゃんは、観念して勉強を始めたようだ。あー、俺も人だったら、あそこに入れたんだけど。そういえば、幽霊には憑依ていうのがあったよな。俺には霊力があるんだから、似たようなことできないかな?確か、テレビで鳥にカメラを付けて、鳥視線での映像を見たな。憑依が完全にできなくとも、動物と会話して許可がもらえたら、その子の上に自分の意識の一部を置けないだろうか?普通なら無理だろうけど、俺は非日常の世界を知ってしまった。発想をもっと柔軟にして考えろ。意識を置いている間、自分の身体は、多分眠ってるに近い状態になるはずだ。それが出来たら、有希ちゃんの両親を捜しに行くことが出来るぞ。ただ、段階を踏んでいかないと、焦ってやると死ぬ可能性もあるかもしれない。まず、やるべき事を整理しよう。


第1段階 憑依の修得 憑依する動物の許可を得て、意識を載せる。


第2段階 索敵の修得 遠くにいる人や動物の正確な場所を把握する。


第3段階 マーキングの修得

遠くにいる人や動物に自分の霊力を付けて、いつでも念話で連絡可能にする。

第4段階 遠方憑依の修得

離れたところからでも、マーキングした相手に憑依を可能にする。


こんなところか。今、思うと物凄く無理そうな予感がするが、やるだけやってみよう。


(有希ちゃん、お願いがあるんだけどいいかな?)

(どうしたの、突然。)


(ちょっと確かめたいことがあるんだけど、その間、俺の身体がどうなっているか見ててほしいんだ。)

(何か危ないことをするんじゃないでしょうね。)


(しないしない) 自分の身体はしないよ。

(わかったわ。)

(じゃあ、宜しくね。)


さて許可も貰えたし、早速やってみるか。ちょうど良く、電線にカラスが止まってるな。

動物なら、念話しても問題ないな。せっかくだし、人間の常識とかも教えて上げよう。


よし、やるぞ!。


---------結論から言おう。念話、憑依は成功した。ただ、こんな簡単に成功していいのか?カラスも、俺が話しかけたら驚いていたな。ただ、憑依のことを話したら、完全に俺を馬鹿にしてたな。やれるものならやってみろて言って、いざ憑依に成功したら、始めは驚愕して、その後なんか気に入られた。このカラスさん、根はいい人じゃなく、いいカラスだった。


(カラスさん、実は俺、助けたい人間がいるんだ。唐突だけど、協力してくれませんか。)


(いいぜ、面白そうだから、手伝ってやるよ。)

(え、即答!まだ、内容言ってないんだけど。)

(ははは、久しぶりに面白い奴に会ったんだ。お前は悪い奴じゃなさそうだしな。)

(ありがとう。)


俺はカラスさんに事情を説明した。有希ちゃんの両親を探し出したいこと、俺がまだ生後1ヶ月で外に出れないこと、念話・憑依で俺が指示をだし、憑依した動物に手伝ってもらうことをだ。


(お前もお人好しだな。人間にそこまで肩入れするなんて。)


(はは、どうしても放っておけなくてね。そうそう、カラスさんの報酬だけど、カラスさんは生ゴミを主食としているんだよね。)


(ああ、そうだよ。それがどうした。)


(実は、美味しい生ゴミがある場所を知っているんだ。レストラン、喫茶店、定食屋ていう店がある。そこの裏手にあるゴミ箱の中は余った食材の宝庫だよ。ただ、行くのは夜中をお勧めするよ。そういう場所は人間が多すぎるから、見つかったら駆逐されると思う。)


(なんだと、本当か。カラスの噂で聞いたことはあるが、みんな帰って来なかった。)


(人間にもルールがあるからね。ゴミ箱を荒らされたら、そりゃ駆逐されるよ。だけど、無闇に荒らすのではなく、食い荒らす場所を狭い1カ所だけにすれば、多分大丈夫だよ。)


(なるほど、そうか、ありがとう。早速、場所を教えてくれ。)


場所を教えて、これから毎日憑依の練習に付き合って欲しいとお願いすると、即答で許可を貰えた。その後、カラスさんにお礼を言い憑依と念話を切った。


憑依は不思議な感じだった。完全に目線がカラスだ。俺は見てるだけ。それでも、空を飛んでるのは気持ちよかった。偶に、食料を見つけて急降下するのは、凄い怖かったな。カラスにとっては生きるか死ぬか、自分の命が関わってくるんだから鋭敏になるか。ただ、カラスが見てるのは、人間の捨てる生ゴミなんだよ。ハンターかのように、どこに生ゴミが捨てられるか知ってるんだよ。こいつら、無駄に頭が良い。まあ、取り敢えず、第1段階は成功だ。よし、これなら俺の考えた策を実行できるかもしれない。


(ねえ、ラッキー、何を喜んでいるの?貴方、何かした?眠ってるようにしか見えなかったんだけど。)


(有希ちゃん、見ててくれたんだね。ありがとう!そうか、眠ってるように見えたんだ。良し、予想通りだ。)


(また、何かやらかすんじゃないでしょうね。)

(だ、大丈夫。目立つようなことはしないから。)


危ない危ない。今は、有希ちゃんには内緒だ。変に気にかけるからな、彼女。さあ、次は第2段階だ。現時点での憑依は、相手が見えないと駄目なんだよな。理想は、何m、何km離れてても、相手と連絡をとれるようにしたい。霊力による感知だと限界があるからな。でも、どうやって実行する?方法が思いつかん。こんな時は有希ちゃんに相談だ。


(有希ちゃん、どんなに遠くに離れてても連絡できる手段て、今はあるのかな。)

(スマホのこと。スマホなら、相手がどこにいようと、すぐに連絡できるわよ。それにメールもあるし。)


(え、スマホ?、メール?て何?)


この後、スマホやメールのことを聞いたけど、どんだけ発展してんだよ。元々は、黒電話だったのが、今では片手に持てるまで小型化してて、おまけにカメラも搭載されてるし。しかも、有線じゃなく無線で連絡できるのかよ。でも、思いついたぜ。第2段階を突破する方法がな。


1)スマホの電波を認識し、波長を合わせる。

2)色々な人や動物が持つ波長の違いを認識し、霊力があるかを判別する。


こんなところか。よし、まず、スマホに集中して、電波を見つけないとな。

-------見つけた!


後は、俺の波長をスマホの電波に合わせて------、あぶねー、一瞬意識が飛んだぞ!波長が完全にあった瞬間、意識が引き千切られるところだった。電波が世界中にあちこちに飛んでるからだな。制御しないと、本当に死ぬぞ、気をつけないとな。これは、要練習だな。あとは、楓ちゃん、琴美ちゃん、有希ちゃんの波長の違いを完全に把握しておかないとな。よし、練習あるのみだ。


(また、嬉しそうな顔をしてるわよ。)

(あはは、霊力をコントロールできてるから嬉しいんだよ。)

(ふーん、そういうことにしておいてあげる。)


さて、一区切りついたところで、楓ちゃんの勉強を見てみるか。俺は、楓ちゃんのところに行き、


「クーン」


あ、楓ちゃん、今寝そうになってたぞ。ちょっと足を甘噛みしてやろう。


「あはは、ラッキー、やめてくすぐったいよ。琴美ちゃん、助けて」


「はーい、ラッキー、楓も反省してるから辞めましょうね。ご褒美に、ソファに上げてあげる。多分、ラッキー、怒ってるんじゃないの。勉強中寝るなて。」


「えー、問題が難しいんだよ。」


どんな問題やってるんだ。ほうほう、なかなか難しいですね。けど、こないだ教えた公式を応用すれば、すぐに解けるぞ。教えてあげようと足を動かそうとしたら、猛烈な寒気を感じた。その方向を向くと、


(ラッキー〜、貴方は今なにをしようとしたのかしら?)

(ひっ、あの有希ちゃん、これはですね。つい出来心で。)


(言い訳はよくないわ、ラッキー。)

(はい、以後、気をつけます。)


「ラッキー、テーブルの上に乗っては駄目よ。こっちにいらっしゃい。」

「ワン」


琴美ちゃんが、不思議な顔で俺を見てきた。


「おー、ラッキーて有希の言うことは、すぐに聞くよね。」

「うー、今は私が飼い主なのにー。」


「みんなー、昼食が出来たわよ。」


なんか、有希ちゃんの言うことに逆らったら駄目な気がする。

お、このタイミングで桜さんが来てくれた。


☆☆☆


昼食後、また勉強か、今も昔も一緒だな。

午後4時になって、琴美ちゃんと有希ちゃんが帰るみたいだ。


「本当にお世話になりました。ラッキーについては、祖父と祖母に相談してみようと思います。」


「私も、レオ・リルを絶対飼いたいので、なんとか---説得します。」


「ワクチン接種が全部終わるのに2ヶ月あるから、焦らないでいいわよ。」

「そうだよ。それまで、私がきっちり見ておくから。」


「「それじゃあ、ありがとうございました、失礼します。」」


(じゃあね、ラッキー。)

(うん、迎えに来るの待ってるよ。)


そうして、琴美ちゃんと有希ちゃんが帰って行った。


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