表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/43

出発の時

作戦開始前に、四人は試験官から魔法道具を渡された。


イーキュライザーという金属製の杖だ。


試験合格者に贈られる予定だったが、安全を期して今装備することになった。杖の頭についた玉は、見る角度によって4色に変化する。


「正直、水晶の中の状況がどうなっているか分からないわ。私の魔法はみんなを送り出すことはできるけど、私自身を送ることはできないの。だから何かあった時に守ってあげられない。 イーキュライザーは優れた魔法道具よ。使用者のイメージを具現化できる。もちろん個人の能力にもよるわけだけど。水晶の中に足場がなかった時には中での移動はこれに頼ることになるわ。場合によっては簡単な魔法も使用できるかもしれない」


捕らわれた右半身を水晶外に出せるか分からなかったため、水晶内で回復することも想定して俺も行くことになった。


もはや動くこともままならぬほど俺は弱ってきており、トラムに背負ってもらう。トラムはこの中で一番背が高く、体格もいい。四人は杖の柄を握ってその感触を確かめたり、重さを計るように上げ下げした後、準備はできたという風に目を合わせて肯き合った。


頭の上で束ねた髪を直して試験官が言う。

「よし、それではみんな、いくわよ。水晶の前に横一列に並んで」


試験官は並んだ俺達のうしろにまわると、両手の平を背中に向けて上げた。そしてぽつぽつと何か唱え始めると、その両手は明るい光を灯した。

光が大きくなるとともに俺達の前方の影も伸びた。試験官の集中力の高まりを表すかのように。


そうしてしばらくして、試験官の口にする呪文がまるでテープを早送りしたように急に速度と高さを上げた、次の瞬間、

俺達は真っ暗な空間に放り込まれた—バラバラに宙を舞っていた。


そこは足場も重力もない真っ暗な空間で、まるで宇宙のようだけれど星や隕石の類はない。しかし不思議とお互いの姿はちゃんと視えている。


そして辺りを見渡す間もなく、俺達は水晶の中に転送されたことを確信した。


—そいつが居たからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ