プロローグ 視えるってだけ
作者はそういう類にめちゃくちゃ詳しい訳ではないです。殆どどっかで見聞きしたことに自分なりの設定盛り込んでます。
上記を許せる方のみこのシリーズにお付き合いください。
昔から、本当に昔から。視えるだけだった。
浮遊霊、守護霊とか、生霊みたいなのとか、地縛霊とか、妖怪とか、怪異とか。
視えるだけだから何もできないし、何か困ってる人の力にもなれない。
言ってしまえば原因不明のことで悩んでいる人の”原因”が視えるだけ。
昔はなんで祓える力を持っていないんだって思ったことがあったっけ。今ではそんなことも思わないけど。
視たくもないモノたちが私の視界に映るのが私にとっての当たり前で。でも周りにはそんなことが当たり前の人はいない。会ったことがない。時々視えるって言ってた子はいたけど結局言ってること全部的外れで、何回そこにはいないって言ってやろうかと思ったか。
時折いるとこ指さしたりしてる子もいたっけ。まあ姿を聞いたら全然違ったけど。
それでも私が白い目で見られないのは、小さい頃の私が頑張ったおかげだ。聡い子だったようで物心ついてからの記憶の中では誰にも視えることを言ってこなかった。それのおかげで誰にも言わないが身に沁みついたのか今まで視えることが理由で人間関係が崩壊するとかそういうことに悩んだことはなかった。
それともう一つ救いだったのが、視えるだけってことだ。よく『視える人はそういうモノと目を合わせちゃいけない。気に入られてしまう。魅入られてしまう』と聞くが私は目を合わせても何もなかった。ただ向こうも目を合わせるだけ。害を与えてこない。まるで道端に落ちてる石みたいな、はたまた同族と思われているか、だ。
なんにせよ害を与えてこなければ視えようがぶっちゃけどうでもいい。幼いころは目で追ったりしていたが今では追わないようにできるようになった。時々異形すぎて驚くこともあるけど心の中だけに留めることができるようにもなった。おかげでお化け屋敷には一緒に行きたくないといわれるようになってしまったが。
視えなくなりたいと願うこともしない。これが私の当たり前だと飲み込んでしまえば何も思わなくなった。