表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配信に誰も来ないんだが?  作者: 常夏野 雨内


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

342/344

342話 心霊連鎖写真

 土曜日の朝早く、灰川は佳那美とアリエルを連れてドラマの撮影現場に来ていた。今日は佳那美の母の涼子も同行している。


 場所は都内の公園で、佐嶋が演じる主人公の海翔とリエルが演じるレックス、RIKAM演じる主役の伊都美とエイミが演じる藍那が出会って揉めるシーンだ。


 今日は制作会社とかは交えていない撮影で時間も午前中と短い、公園の撮影使用許可も午前で終わってしまうためNGとかは好ましくない。


 ドラマは映画と違って撮影期間が短いため、NGとかを連発すると不興を買う。そうならない演技力を持った役者が好ましいとの事だ。


「ゲームって言ったらアーケードかハードかPCで出来るのが一番だろ! TCGなんかハードゲーよりマイナーだ! そうだろ海翔兄ちゃん!」


「おい止めろレックス君! TCGは凄い大会とかいっぱいあるし、活躍してる人も多いんだよ」


「伊都美お姉ちゃんはフォロワーいっぱい居るんだから! プロゲーマーなんて今はいっぱい居るじゃん!私はその男の人のこと知らない!」


「ちょっ、藍那も止めなさい! プロゲーマーと揉め事とか嫌だから!」


 海翔や伊都美たちは公園で出会って、下らない事からケンカっぽくなるという作中での初対面のシーンだ。そこから海翔と伊都美、レックスと藍那の関りが出来るという場面である。


 カメラも何台も用意され、音声のガンマイクも高価な機材を持って来てる。スタッフも潤沢でベテランが多く、ロケ車両なども不足なく回してもらえた。


 このドラマはOBTテレビと複数の有力スポンサーが本腰を入れて制作するものであり、費用も潤沢で恵まれた撮影環境だ。


 何か困った事があればスポンサーに言えば驚くくらい簡単に金を出してもらえるし、普通だったら許可が通らないようなロケ地とかも取れてる。


「佐嶋さん、RIKAMさん、お疲れ様でーす! エイミさん、リエルさん、凄く良かったです!」


「ありがとうございます、少し休ませてもらいますね」


「あ、私はメイク直しお願いします、メイク車使いますね」

 

 メインキャストの撮影にはメイク車、化粧をするためのロケ車両も来ているという手の込みっぷりだ。近くの駐車場にまとめて停めてある。


「リエルちゃんとエイミちゃんも風でヘアメイクが乱れちゃったね、ちょっと直させてもらえるかな?」


「はーい! お願いします、三浦さんっ」


「はいっ、ボクもお願いします!」


 ユニティブ興行の2人もメイクスタッフに連れられてメイクを直しに行き、そこに佳那美の母の涼子が同行していった。


 佳那美の母はアマチュア劇団に入っているが演技力などは明らかに佳那美が既に上らしく、撮影に関して何かを言う事はなかった。純粋に娘がどのような仕事をしてるか見守りに来たと言うような感じだ。


 灰川としては初対面の時の印象があったため、佳那美の母はモンスターペアレント気質があるんじゃとか思ったが、そういう事はないらしい。実際にハッピーリレーに佳那美が所属していた時も、事務所に何かを言って来る事はなかったそうだ。


「佐嶋ちゃんの演技も良くなったし、RIKAMちゃんの演技力も前より上がってるねぇ。エイミちゃんとリエルちゃんもメチャ良い演技してくれるし」


「子役の2人は吸収力が凄いですよね! 長セリフもいけるし、聞いてた通りの逸材ですよ」


 時宗監督とメインカメラマンが話している内容が灰川にも聞こえて来る、褒める内容ばかりで鼻が高い気分だ。自分が出演してる訳じゃないけど。


 実は最初はエイミとリエルはドラマ仕事どころか演技仕事が初めてという事で、監督と脚本家と台本製作者が話し合い、2人に長いセリフを喋らせないよう台本を組んだ。


 長いセリフは慣れてないと不自然さや違和感のある喋りや演技になってしまいがちなため、長セリフは演技に慣れてから入れる予定だった。才能があるのは分かるが、最初からそれは無理だろうとの判断である。


 しかし2人の演技は監督たちの予想を良い意味で裏切り、本当は入れたいと思っていた長いセリフを入れる方向に考え直したりしたなんて事もあった。


「灰川さん、お疲れ様です。今日は砂遊ちゃんは来てないんですか?」


「お疲れ様、佐嶋さん。今日はってか砂遊は連れて来ないって、ドラマと関係ないんだから」


「はぁ…また砂遊ちゃんと話したいですよ、今はネットトラブルでモシィちゃんも見れないし…。せめて写真だけでも送ってもらえませんか!?」


「ダメだって、Vは顔とか極力は外に出さないんだから」


 灰川はスタッフ達が周囲に居ない場所に移動して話し、佐嶋が先日の礼を言ったり、やっぱり砂遊が最高に可愛いとか言ったりしていた。陰キャ女子が好きなのは役霊魂とか関係無かったのかもだ。


 佐嶋はあの後に一度だけ六本木のバーで芸能人仲間と一緒に綺麗な人達と飲んだそうなのだが、まったく楽しめなかったそうだ。


 どんなに綺麗な女性と話しても楽しくない、やっぱり陰キャ女子が好みだ、理想を言えば灰川 砂遊ちゃんと詞矢運モシィちゃん、そんな気持ちが凄く強く芽生えてる。


「まあ、でも自分が理想を通して砂遊ちゃんやモシィちゃんを見てる事くらい分かりますよ、これからは一ファンとして配信とか楽しく見させてもらいますね」


「配信とかもネットワーク障害が解決したら再開するから、時間がある時にでも見てあげて。気楽に視聴してもらえたらモシィもありがたい筈だよ」


「そうですね、配信アーカイブは隙間時間にリピートして見てますし、スマホとか触る時にも動画の音声をイヤホンで聞きながらやってますよ、はははっ」


「うわぁ…かなりのマジファンだねぇ…。程々にしときなよ」


 そこからも休憩の合間にリエルとエイミの演技力は凄いとも言われたり、ドラマ撮影でマネージャーが出演者やスタッフに接する上で気を付けた方が良いことなんかを聞かせてもらったりした。


 佐嶋のマネージャーの水谷とも挨拶したのだが、水谷は会社と電話をしていたりとかで今日はそんなに話していない。


 佐嶋はすっかり詞矢運モシィのファン(中の人含む)になってしまったが、ファンと演者の適切な距離を嫌という程知っている人物だ。自分の理想を過度に重ねる事もないし、そこら辺は強く弁えている。


「そろそろ撮影再開ですね、じゃあ行って来ますんで」


「ウチのエイミとリエルの演技に合わせてくれてありがとうね佐嶋君、撮影よろしくお願いします」


「ははっ、それ逆かもですね。レックス君、いやリエルちゃんは俺の方に合わせてくれてるんじゃないかって気がしますよ」


 佐嶋は若いがしっかりと演技が出来る俳優だ、その実力は監督を始めとしたスタッフや共演者が認める所であり、ファンの多さがそれを証明している。決して顔が良いだけの大根役者じゃない。


 しかし何か佐嶋の雰囲気に元気の無さがあるというか、絶好調とまでいかないような雰囲気があるのだ。


「あの、灰川さん。撮影終わったら少しだけ話を聞いてくれませんか? ちょっと聞いて欲しい事があって」


「えっ、あ~…まあ、ちょっと夕方から予定があるから、いつ用が出来ても大丈夫なように渋谷で話すとか出来るなら良いよ」


「じゃあお願いします、俺は時間は空いてますんで。ネットトラブルの影響で今日の仕事はバラシになったんですよね」


 こうして撮影後に佐嶋と話す事になり、ドラマ撮影は再開された。


 公園でのシーンはしっかり撮れて、エイミとリエルもとても良い演技を披露して褒められたのだった。しかし褒められただけではなく、要所では『表情の動きを抑えて』『振り向くタイミングが早い』などのディレクション(撮影指導)なども入っていた。


 それも2人は学びつつ、ここではこうした方が良い、こういう場合はこうした方が場面が引き立つ、などの学びも得て行ったのだった。




「灰川さん、今日は撮影同行させて頂きありがとうございました」


「いえ、子役の母親なら現場はいつでも同行可能ですから、また佳那美ちゃんの仕事が気になったらいつでも言って下さい」


「灰川さんっ、今日はお母さんも一緒で楽しかったよっ、えへへっ」


「お、じゃあ今度から涼子さんに来てもらえるようにする? 俺もその方が安心だしね!はははっ」


 涼子はしっかりと娘の演技を見届けて満足し、佳那美も母に自分の雄姿を見てもらえた事に上機嫌になる。だが涼子も仕事をしているため、そんなに同行は出来ないとの事だった。


「じゃあ夕方にパーティーがありますんで、涼子さんもいらして下さい」


「はい、お誘いありがとうございます。佳那美は夕方までに学校の宿題を済ませておきなさいね」


「えー!? お母さんヒドいよー!明日やるもん!」


「カナミは宿題をまだやってなかったんだね、ボクはもう終わらせちゃったよ、くふふっ」


 今夜は夕方の6時から親睦パーティーがあり、ユニティブ興行も参加の運びになっている。


 今の時間は午前11時であり、撮影がとんとん拍子に行ったこともあって空き時間はある状態となった。


 灰川はパーティーのプランニングには関わっておらず、ユニティブ興行の代表として参加者の前で少し話す言葉の内容を用意しておけと言われた程度だ。


「じゃあハイカワ、ボクはパーティーまで休んだり台本練習したりゲーム練習したりするから、また後でねっ」


「やることいっぱいだな、役者って大変な仕事だ」


「大変でもないよっ、ようは楽しめるかどうかさっ! ボクは楽しいからアクターのレッスンも苦しいとは思ってないよ、くふふっ」


「そうか、なら良かったぜ! 俺は佐嶋君と会いに行くから、また後でな」


 こうして灰川はアリエルを事務所の横の自室に帰らせ、佐嶋と会う事になっている渋谷駅近くのビルの中にある個室のある喫茶に向かったのだった。




「すいません灰川さん、お時間使わせちゃって」


「気にしないでよ佐嶋君、こっちも空き時間なんだから丁度良かったさ」


 その喫茶はビルの5階にあり、普通の店よりは高そうな感じがするが一般的な域を越えないくらいの店である。佐嶋は何度か来てる店らしく、落ち着いて話せるし個室もあるので雑誌のインタビューとかにも使われるらしい。


 佐嶋はサングラスと帽子を被って身バレを防いでいるがイケメンっぷりは隠しきれていない。ここには自分の車で近くの駐車場まで来たらしく、騒ぎとかにはなっていないようだった。


 佐嶋はネットの人気者である配信者やVtuberとは別格の知名度を有する俳優だ、視聴者登録400万人を超える自由鷹ナツハですら彼の知名度には及ばない。


 彼は個人のyour-tubeチャンネルもあり、配信も動画投稿頻度も少ないのに登録者は100万人近い数だ。これはナツハの4分の1以下の数だが、それでも一般的な知名度では佐嶋の方が遥かに上である。


 灰川と佐嶋はコーヒーとかアイスティーとかを注文し、そのまま話が始まった。


「それにしてもさ、俺なんかに話って何? 金貸してって話は聞けないよ、俺あんま金とか持ってないから」


「い、いや、今は金には困ってないですって! 前は税金が翌年に来る事とか知らなくて使いまくって、事務所の社長と先輩に土下座して借りたことありましたけど!」


「冗談のつもりだったけど、それマジかぁ、そこら辺は事務所は教えてくれなかったんかい」


「翌年に来るってのは教えられたんですけど、まさかあんな金額が来るとか思いませんでしたから。税金の書類が来た時は目の前が真っ暗になりましたよ」


 佐嶋も金で困った時はあるらしい、今はその時の教訓で散財は程々にという気持ちで生きてるそうだ。それでも一般人と比べたら相当にリッチな生活だろうし、程々にしてても港区で気軽に遊べる稼ぎはあるようだ。


 俳優や芸能の仕事だけでなく、後援者から金銭をもらったりファンクラブ収入やメンバーシップ収入なども多いのだろう。


 しかも彼らのような芸能人は、金持ちの後援者から車とかマンションとかもらったりする事があるとも聞いている。それらも課税されるので、気付いたら税金でパンパンになってたなんて事もあるらしい。


 人気と知名度のある者はそういう所も上手く立ち回れなければいけないのだろう、そういった部分は顔や名前を隠して活動するタイプのVtuberとは違った世界なのは灰川でも予想が付く。


「それでなんですけど、実は役者の後輩から変な写真が送られて来たんですよ」


「変な写真? 俺に相談ってことは面白い写真って訳じゃないよね、心霊写真?」


「そこら辺を見て欲しいんですけど、とりあえず見て下さい。この写真なんですけど」


 佐嶋は先日に俳優人生が終わる程の究極のスランプと言える状態を灰川に解決されて、灰川の霊能力の事を信じるようになった。オカルトを全て信じるような事は無いが、少なくとも灰川兄妹は信じている。


 灰川とは性格の相性とかも良いらしく、短期間で気軽に話したりする仲になっていた。今はマネージャーの水谷も同席しておらず、事務所が引き抜きとかはしないのを信じている証左だ。


「これって3人で撮影した写真? 場所は誰かの部屋?」


「はい、後輩が役者仲間の部屋で飲んだ時の写真なんですが」


「変な部分はないね、パッと見で心霊っぽい要素はないけど……なんだコレ? スゲェ不気味な感じがする」


「そうなんですよ、後輩はSNSに上げるために3人で写真を撮ったそうなんですけど、こんな不気味な感じがする写真になっちゃってるんです」


 その写真は俳優活動をしている3人が写されたものだ、撮影者も後輩の知り合いだそうで部屋には合計で4人が居たことになる。


 写ってる3人は笑顔であり、普通に仲が良い役者仲間という感じだ。撮影場所である後輩の役者仲間の部屋はワンルームで、窓はカーテンが閉められている。


 テーブルの上には缶酎ハイとか発泡酒とかが並び、仲良しグループが楽しそうに飲み会をしてる光景、陰鬱な状況でもないし幽霊も写ってない。


 気味が悪い要素などない、夢を追う若者が楽しく過ごしている一枚な筈なのに、何故か分からないが気味が悪いのだ。


「この真ん中の茶髪の男が高校時代の後輩なんです、事務所は違うんですが役者をやってまして、周りに居るのは後輩の役者仲間ですよ」


「けっこう売れてる役者さんとか? 俺はそういう方面ってあんまり知らなくてさ」


「売れてるとは言えないですね、演劇方面でたまに声が掛かるってくらいで、オーディションとかも落ちまくってるって言ってました」


 写真に写ってる者達も同じらしく、上を目指して頑張っている俳優とのことだ。そういった話を聞いてもこの写真から感じる不気味さの正体が分からない。


「写真を消したりとかしなかったの? 佐嶋君もだけどさ」


「その写真、最初のものじゃないそうなんです。元々は別の写真を撮った時に気味悪いなって思ったそうで、そこから何を撮影しても気味悪いって感じる写真が撮れるようになったって言ってました」


「なるほどね、この写真が問題なんじゃなくて、こういう写真が撮れるようになっちゃった事が問題ってわけか。何を撮影しても謎の気味悪さが出てしまうと」


「実は…こういう写真が撮れるようになってから後輩が体調が悪くなったり、誰かに見られてるような気になったりして、塞ぎ込む寸前みたくなっちゃってるんですよ」


 灰川はスマホに表示されている写真を霊視するが、不吉な霊力は感じられるが詳しくは分からない。


 佐嶋のスマホに入っている写真は灰川の霊力に触れても不吉な霊力は霧散しない、これは元の問題を解決しなければ意味がないという事だ。


「後輩って連絡取れる? これだけだと俺じゃ判断しきれない、でも他人に送られた写真なのに気味悪い霊力が出てるから、割と危ない状態かもしれない」


「灰川さんに会う直前にも電話したんですけど出なくて…それに今ってSNSとかアプリはダウンしてるし、もう2週間くらい連絡は返って来てないです」


「マジか、ちょっと本当に危ない状態なのかもな…」


 佐嶋は後輩が本当に心配らしく、灰川にどうにか出来ないかと言う。しかし灰川にはこの写真が何なのか、何故に普通の写真なのに気味の悪い霊力が出てるのかが分からない。


 高校時代には『佐嶋先輩が憧れの役者です!』と言ってくれて、卒業後も自分も先輩と並べるような役者になろうと頑張っていたのを知っている。だから佐嶋はその後輩が心配だし、これはオカルトっぽい感じがしたから灰川に相談を持ち掛けた。


「……仕方ない、砂遊を呼ぶか。ちょっと待ってて」


「えっ、砂遊ちゃんにも見てもらえるんですかっ? それなら心強いですよ!」


 この場での佐嶋は砂遊を呼ぶ事になっても浮足立つ事は無かった、そのくらい後輩の事が心配なのだ。


 佐嶋にとって砂遊は理想の陰キャ女子だが、同時に頼れる霊能者という見方もしている。かなり年下の女子ではあるが、先日の件を感謝しているし敬ってもいるのだ。


「もしもし砂遊? 今日って夕方のパーティーのために渋谷に来てるだろ、今から少し来れないか?」


『うへぇ、マジかぁ~、今は朱鷺美ちゃんも一緒だからムリだよぉ~』


「藤枝さんも一緒なの? それなら丁度良いや、一緒に来てもらえない? 霊感知が強い人に見て欲しい物があるんだよ、実は佐嶋君の後輩が写真絡みで心霊っぽい事に~~……」


 結局は砂遊と藤枝が来てくれる事になった、感知力は灰川より2人の方が上だから頼りたい。アリエルは佐嶋とは共演者の仲であり、あまり霊能関係で関わらせてしまってはダメだと感じたので呼ばない事にした。


 朋絵は今日は土曜日だが学校に行かなくてはならない用事があるらしく、今は砂遊たちと別行動だ。


 藤枝も砂遊に頼まれてユニティブ興行の職員として少しだけパーティーに参加という事になっているため、砂遊と行動を共にしていたらしい。




 ほどなくして砂遊と藤枝が到着し、佐嶋に軽く藤枝の紹介をしてから話に入った。


「お兄ちゃん、これ心霊連鎖写真だよ。キモイなぁ、うししっ」


「…え…っと…っ、…砂遊ちゃんの…言う通り……です…」


 砂遊と藤枝は渋谷駅の近くに居たため数分で来れた、どうやら本屋とかに行ってたらしい。


「えっ、これがそうなの? そういや言われてみれば、いつだか聞いた特徴に当てはまるような…俺は初めて見るぞ」


「初めてだと分からんよなぁ、私は前に実家で見たことあったんだよねぇ~」


 砂遊は灰川が実家を出た後に、功にオカルト相談に来た客が持って来たモノを見た事があった。


「お兄ちゃんってさぁ、霊力がバカ高いから心霊絡みで本気で怖い目にあったことないんだろぉ~? だから勘が働かない事が多いんだよねぇ、うししっ」


「…ぁの…っ、…心霊関係で……本当に怖い目にあったことがない人は……、感知力…低い人が多い気が…、…します……」


 砂遊は過去に電話に関係した心霊現象で非常に怖い目に遭遇した事があり、藤枝もそこそこ心霊絡みで怖い思いをして来た。


 それだけが霊的な感知力が高まる要因となった訳ではないが、霊や呪いに対する恐怖心なども高い感知力を持つためには、ある種の恐怖心が必要なのかもしれないと言われている。


 灰川もこれまでにオカルト絡みで怖い思いはしたのだが、それは霊や呪いに対する恐怖というよりは、危機的状況や事態対処の難しさに対する怖さだ。霊や呪いを怖がるのとは少し違う。


「佐嶋さん、私と朱鷺美ちゃんから説明しますねぇ。この後輩さんは心霊写真に関係する怖い事が起きたりする怪奇現象に遭遇しちゃってますよぉ」


「…これは……呪いとか…恨みとか関係ないはずです…、…運が悪かった……んだと、おもいます…っ…」


 運が悪い、ただそれだけで大変な目に遭ってしまう事は世の中にはある。それはオカルトでも同じ事だ。


 佐嶋の後輩に何があったのか、どのように運が悪かったのかは分からない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ