162話 特定被注視癖とサプライズホラー
今回の話は性描写はありませんが、人によっては不快な気持ちになるかも知れないフェチ描写が含まれます。
そういった表現が苦手な方は読み飛ばしを推奨します。
史菜と一緒に灰川事務所に入り、お茶などを出してからソファーに座る。座り方は普通にテーブルを挟んで対面してる状態だ。
「今が8時過ぎだから、市乃の配信はあと1時間って所だろ。それまでゆっくりしてってくれ」
「はい、ありがとうございます灰川さん」
昼間にあった事は口には出さない、思い出せば強く記憶に残ってしまう可能性だってある。
このまましばらく雑談でもして時間を潰し、その後に送って行けばいいだろう。
「灰川さんって甘い物がお好きなんですか? もし私を気遣ってお店を選ばせてしまったなら、申し訳なかったのですが」
「俺も甘い物は好きだぞ、たまに凄い食べたくなるんだよな」
「そうなんですねっ、良かったです。さっきのお店も美味しかったですし、今度、市乃ちゃんにも教えてあげたいです」
「史菜も美味しい店があったら教えてくれよな、今は色んな店があるもんな~」
そんな会話をしつつ、史菜はジっと対面に座る灰川の目を見ながら笑顔で話してる。そうなると自動的に灰川の目も史菜を見ながら会話してるのだが、ここまで史菜を注目して会話したのは初めてだった。
今までは道を歩きながらとか、誰かが混ざって会話してたり、何かしらの目的があっての会話で史菜をそこまで意識してない会話だったりしたのだが、今は違う。
目的がなく単に会話してるという状況であり、視覚に向ける集中度合いが普段より高めなのだ。つまり史菜という子の解像度が上がって見えてる。
「少し暑いですね、上着を失礼しますね」
「ん? エアコンの設定下げるか? その方が良いだろ」
「い、いえ、それには及びませんので」
そんなに暑いか?とも灰川は思うが、史菜はクリーム色のロングスカートで、上着は柄物のホワイトTシャツの上に少し濃いめの水色のパーカー・カーディガンを着てるから、少し暑いのかもしれない。
肌の露出が非常に少ない服装で、涼し気ながらも日焼けをしっかり防げるコーディネートだ。
そのコーデから史菜はパーカー・カーディガンを脱いでホワイトシャツの姿になるが、特に変な事はない落ち着きのある服装だ。
「暑かったらいつでも言ってくれよ、エアコンの設定下げるから。暑い思いなんてさせたくねぇしさ」
「お気遣いありがとうございます、でも下げ過ぎたら灰川さんが寒いと思いますので」
「別にそんな事ないけどな、それで前の仕事で固まってないコンクリートの中に同僚と一緒に落ちちゃってさ~…」
特に気にせず会話を続けるが、普段はあまり見ない史菜の薄着姿が新鮮な感じだ。普段からハッピーリレーでも外で会った時もロングスカートと長袖スタイルだったから、なんだかレアな光景である。
Tシャツから伸びる史菜の細くて白い腕は、思えば今まで見た事がなかった。綺麗だなと感じつつも、特に視線がそこに行く訳でもない。別に腕フェチという精神性は灰川は持ち合わせてなかった。
だが普段は人前で脱がない上着を取ったという事は、それだけ信頼して慕ってくれてるのだと灰川は思う事にする。それは素直に嬉しい事だし、信頼してくれるのは有難いことだ。
「史菜って服のセンス良いよなぁ、落ち着きのある可愛さの服を選ぶのが上手っていうかよ」
「…! そ、そうでしょうかっ? 灰川さんにそう言って頂けて嬉しいですっ♪」
改めて史菜を見ると『しかし可愛い子だな』と灰川は思う、綺麗な黒髪のロングヘアに清楚でありながら柔らかな笑顔が凄く可愛い。
性格も奥手なのに意外な所での大胆さもあり、それが配信にも良い方向で発揮されてる。その大胆さは灰川と一緒に居る時は『北川ミナミ』としてではなく『白百合史菜』として発揮される。
内気なのに自分に対しては大胆というのは男心をくすぐるものだ。現に史菜は灰川以外の男性には面と向かったら、一部の例外を除いて必要以上の事が喋れないくらいの性格になる。さっきも四楓院の護衛グループとは早奈美以外とは挨拶くらいしか出来てなかった。
何かを喋らなければならない時は、白百合史菜というよりは北川ミナミとして話してる雰囲気すらある。ビジネス上では問題ないが、この先もそれが続き過ぎると苦労しそうだ。
「灰川さんの服も私は好きですよ、飾らない感じの良さが出てる気がしますっ」
「お世辞でも嬉しいぞ、スーツは安物で私服は値段が安いので決めてるからな、はははっ」
「そうなんですか? では今度に一緒に服を買いに行きませんか? 灰川さんの女性の服の趣味も気になります」
「止めとけ、止めとけ、俺は服のセンス無いんだから、変な絵柄のシャツとか選んじゃうって」
そんな会話をしつつ依然として史菜は灰川の目を見据えて、灰川もそれに応じて目を合わせて会話する。そうなると自然と史菜の容姿やルックスに目が行く事になり、灰川の目と頭に史菜の全体像や印象像が強く刻まれる事になる。
つまり今まで意識して無かった部分も見えて来るという事で、灰川の目と脳裏にある白百合史菜という女の子の像の精神的な解像度が上がる事に繋がる。
史菜は市乃よりは背が高いが、それでも灰川から見れば小さく見えるとか。容姿も非常に整ってるし、顔立ちは綺麗さと可愛さがどちらもあって、史菜が共学に通ってたら男子から告白されてただろうなとか。
微笑んだ時の笑顔の柔らかさが可愛い、たまに長い髪が前に来てしまった時に掻き分けるのは人差し指と中指なんだなとか、そういう細かな仕草にも無意識的に目が行っていた。そして何より……男だったらどうしても目が行ってしまう部分がある。
それは上半身に位置する部位で、史菜のは市乃よりは控えめだが、体の細さや本人の雰囲気もあり、良い意味で主張の少ない可愛いサイズに映る。
「…ぅぅ……やっぱり灰川さんとはいえ…、恥ずかしいかもしれないです…っ」
灰川が本能的に向けてしまった視線に史菜が気付き、少し小言を漏らしたが灰川には聞こえない小さな声だ。
別に特別な何かが見えてる訳でもないし、史菜のシャツは厚めの生地だから肌やシャツの下に着用してる物が透けて見える訳でもない。
至って普通の夏の服装だが史菜にとっては慣れない服装だから、恥ずかしさが出て顔も赤くなってきてる。しかし……。
「……んっ…、ぅぅ………っ、がんばります……っ」
史菜は正面の灰川からしっかり見えるよう、男性が見たいと思うであろう部分の視線を遮る腕を、頑張って下に降ろした。スマホを持つ腕を下ろし、顔が赤くなりそうなのを我慢して少し横に視線をずらし、そこが灰川に見えるよう勇気を出して頑張った。
史菜としては灰川以外の誰かにこんな事をするなど考えられない行為だが、肝心の灰川は。
「そういや、この前見たホラー映画がさぁ」
「は、はい、ホラー映画ですねっ」
灰川は別に変った所なく会話を続けて史菜も少し慌てて応じる。灰川としては本能としてそこに目が行ってしまっただけであり、実はそこまで気にしてない。そもそも厚手のシャツを着てるのだから何も問題はないのだ。
これはもはや視線誘導であり、史菜はそれが好意を持つ灰川に対して精神の高揚もあって頑張ってやっている。しかし流石に無意識という訳では無く、これには史菜の精神性も多く関わっている事象だ。
今の方法で効果が無いと感じた史菜は、もう少し進んだ作戦に出る事を決めた。本人としては、これでも相当に頑張った方なのである。
「ところで灰川さんは最近は漫画とかアニメは見られてますか?」
「漫画は結構見るんだけど、アニメは時間が無くてなぁ~。あ、でも史菜が出たアニメは見たぞ」
「ありがとうございますっ、そういえば最近こんなサイトを見つけたのですが~…」
そう言いながら史菜はスマホを片手に灰川の座るソファーに移動してきて隣に座る。特に咎める理由もないし、別に高校生の女の子に隣に座られた程度で狼狽えるメンタリティでもない。
史菜としても灰川の隣に座るのは嫌な事ではないし、服装が普段と違うため緊張はあるが問題なく行動できた……と自分では思ってる。
しかし今の史菜は緊張と頑張りと、普段は意識しない勇気のせいで、親しい人にしか分からない程度だが雰囲気がいつもと少し違う。
「他にも色んな情報サイトがありまして~~……」
「おおっ、便利なサイトだなっ」
今の史菜は精神がプラスの方に寄っており、灰川に対してだけは少し大胆な行動になれる状態だ。しかしその事に対する感情への自覚が薄く、自分が普段しないような事を灰川に対して何故やってるのかの根本原因を理解してない。
何故そのような事をしてるのか、それは史菜が異性を強く気にするようになり芽生えた精神が影響してる。
特定個人に対する被注視癖、この場合は灰川から見られたい、灰川からの視線を感じたいという欲求が心の中に出来てしまってるのだ。
好きな人の視線を集めたいと思うのは自然な心の流れだが、史菜は今まで恋らしい恋というものをした事がなく、そういう感情の制御が上手くない。
感情制御技術の偏りは若い者にはよくある事で、灰川も以前に感情制御に失敗してキレ散らかした。史菜にも形は違えどそういう部分があるのだ。
「こ、このサイトは凄く便利なんですっ、灰川さんも良かったら見てみて下さい」
「おう、どれどれ」
体が密着してる訳では無いが、膝先などは少し当たる程度には距離が近い。目線の少し下から軽く見上げるように話すことに、灰川は史菜に思わぬ可愛さを感じてしまう。
いつもとは違う距離感、互いの温度が伝わるか伝わらないかという物理的な距離は、心の状態もいつもとは違くする。
特に史菜は灰川に対する想いが2人きりという環境、近い距離とさっきからジっと目を見てる影響から、今まで自分でも気付かなかった眠っていた『灰川さんに視られたい』という精神性も呼び起こされて鼓動が早くなってる。
「流行りの情報のまとめサイトかぁ、色々あるけど便利だよな」
「はいっ、そ、それにっ…こういうサイトもありまして…っ」
好きな人に見て欲しい、近くに居たい、もっと話したい、そんな気持ちが混ざり合って感情がどんどん今までに感じた事がない方向へと向かって行ってる。
15歳ともなれば物心は付いてる年頃だが、精神的には未熟な年齢でもある。だから間違いも犯すし、感情が制御できない時もある。
史菜はVtuberとしてしっかり活動してる子だが、そこ以外の部分の精神が未熟も良い所なのだ。
配信で視聴者から好かれる事に意識を割いてきたが、自分が誰かを好きになった時の事を真面目に考えたことが少なく、その反動から自分的には大胆な行動に出てしまってる。後から顔を真っ赤にして枕に埋めてジタバタしそうな感じの行動だ。
流石にもう自覚してる、灰川の前だと精神が大胆になってしまう。それなのに自分ではどうしようもない……もし今の状況で灰川に『見せて』と言われたら、どんな行動を取ってしまうのか。
そんな好奇心ですら止められない、そして史菜は灰川との会話を続ける。
「便利そうなサイトだけど、スマホだと見えにくいな。少しページ全体をずらさないと、ちゃんと見えないのは面倒だよなぁ」
「っ…! ぁぅ……もっとっ…がんばらなきゃ…っ」
「ん? どうした史菜?」
ここで史菜の精神の高さが頂点を振り切り、普段だったら絶対に言わないようなことを口走らせる。その言葉は灰川以外の人には絶対に向けられない言葉であり、灰川以外の人に言う事など史菜には想像すら出来ない言葉だ。
史菜は左手でスマホを持って膝に手を置き、右手でTシャツの首元に細い指を添えた。顔が熱くなり、目に今の感情が籠るかのような雰囲気になっている。
「は…灰川さんっ…、そ…その……っ」
「なんか顔が赤いぞ史菜、風邪でも引いたか?」
「やっぱり…少しずらした方が…っ、灰川さんはうれしいでしょうかっ…? 灰川さんにっ…見えやすいでしょうかっ…?」
少しずらせば隣に座る灰川から中が見えてしまうだろう、もし中にある水色のものも一緒にずらせば……。
史菜は配信を通して自分という存在の見せ方をよく学んでいて、それは物質的なことだけでなく感情に訴えるタイプの見せ方も学んでる。
実生活では使った事が少ないし、使おうと思った事はない。だが灰川に対しては『見せる』という事に大胆さが加わり、彼に向けて配信で学んだ事を発揮する心が存在し、灰川にだけは見て欲しいという気持ちも大きくなる。
「…………」
なんだか史菜の様子がおかしい、けれども何もしてないし失礼な事を言った訳でもない。
史菜が好意を持ってくれてる事は知ってるが、今は一緒にスマホで流行情報サイトを見ていただけだ。確かにスマホの画面をずらせば見えやすいだろうなとは思う、ついでに水色の広告バーも一緒にずらせば更に画面が見えやすそうだ。
「あっ、そういや新しい怪談を仕入れたんだよ! 良かったら聞いてくれないか?」
「えっ??」
灰川としては情報サイトは便利だが、そこまで興味を引かれる情報は無く、なんだか変な雰囲気を無くすために怖い話をいきなり始めた!
サプライズホラー、それはあらゆる雰囲気やムードをぶち壊し、全ての精神を鎮火させる魔法の理論だ。
会社の植木鉢
Aさんは一般職で会社に勤めてる女性で、普通に出勤しては普通に帰る日々を送っていた。
会社も特に普通の企業だが、前から少し気になる事があった。それは同僚がたまにオフィスの隅に置いてある、人の身長くらいの木の植えられた植木鉢を凝視してるのだ。
「その植木鉢って何かあるの?」
「えっとさ、何か気になるって言うか…ちょっと不気味じゃない? 私以外にも見てる人が偶に居るしさ」
Aさんには普通の植木鉢にしか見えなかったが、ある日に一人で残業した日の事だった。
何故か落ち着かない、どこからか見られてる気がする。オフィスには誰も居ないのに、そんな気持ちになって気味悪く感じていた。
そんな中で『なんでこんな気分になるんだろう?』と思い、周りを見渡してみると植木鉢が目に入った。
そういえば同僚が不気味と言ってたっけと思い出すと、今まで何も感じなかった植木鉢が少し気味悪く見える。
「あれ? え…?」
その木の植えられた植木鉢の後ろは壁しか無いはずのに……下りの階段がある。そんなはずが無い、下の階も知ってるが階段なんて存在してないのを見てる。
恐る恐る近づいてみると階段に電気は点いておらず真っ暗で、不気味過ぎて降りる気にはなれない。Aさんは怖くなって仕事は明日に回し、そのまま帰宅した。
翌日に同僚にこの話をしてみると『Aちゃんが疲れてたんだよ~』と見間違いだと言われたが、同時にこんな話を聞いた。
この会社はホワイト企業なのに退職者が偶に出る、その理由は『行方不明による解雇』という内容だそうなのだ。
Aさんは興味を持ってしまい、今も残業ついでに調査しようとしてるらしく、今の経過は定かではない。
「こんな話なんだけど、史菜はどう思うよ? 俺としては割と良い感じだと思うんだけどさ」
「えっ、あっ、はいっ、私も良いと思いますっ」
史菜は灰川の話で精神に落ち着きを取り戻し、自分の中の得体の知れない精神の高揚ゲージが正常に近い状態に戻ってくのを感じた。
史菜は『超好感個人指定型の被注視癖』とでも言うような精神性だ、幼い頃から両親は忙しくて満足が行くぐらいには構ってもらえなかった。
両親と遊んでる時にも仕事の電話などで中断される事があって、そんな忙しい両親に自分に付き合わせる事が子供ながらに申し訳なく思い、自分を前に出さなくなった。
両親に愛情が無いとかではなく、単にそういう家庭だったというだけで家族仲は悪くない。しかしそういう環境に置かれた反動からなのか、好意を持つ人から見られたい、構って欲しいという気持ちが折に触れて肥大化する心になってしまったのだ。
その好意を抱いた人は今までは両親と市乃だったが、最近は灰川も非常に強く含まれるようになっている。灰川は異性として見てるため今までとは精神の表出化の形が違い、今までに出会った誰よりも強い気持ちが向いている。
「そろそろ市乃の配信も終わったくらいだな、じゃあ行くか?」
「はいっ、灰川さんと色々とお話し出来て嬉しかったですっ」
「俺も楽しかったぞ、やっぱ若い子のエネルギーは俺みたいなのでも元気をもらえるな」
そこから三ツ橋エリスの配信が終わってる事を確認してから、市乃に今から向かうと連絡してタクシーを呼んで事務所を出る。
タクシーはすぐに市乃のマンションに到着し、灰川も史菜を見送りにマンションの入り口まで着いて行くことにした。
「今日は色々とありがとうございました。また頼りにさせて下さいね、灰川さん」
「おうよ、何かあったら、何処でも何時でも遠慮なく頼ってくれて良いからな、特に緊急事態の時はオカルトだろうが何だろうが、一切の遠慮禁止だぞ」
「はいっ、ありがとうございますっ。とっても心強いです」
いつもの柔らかな笑顔でお礼と挨拶を言われ、元に戻ったなと灰川は落ち着く。
今の史菜は普段と変わらぬ様子だが、実際にはまだ少し精神の高揚が抜け切ってない感がある。
「ではそろそろ行きますね、あ、そうだっ。それと灰川さんっ」
「何か忘れ物でもした? 明日で良いならハッピーリレーにでも届けるけど」
最後にマンションに入る所を見届けてから帰ろうと思ったが、何かの要件で史菜が振り返った。
「事務所の机の鍵の掛かってない引き出しの右奥は、1週間開けないようお願いしますねっ♪ 灰川さんと私の約束ですっ」
「え? なんか入れてたっけ? ちょっと気になるんだが…」
そんなイタズラっぽい笑みを見せてから、史菜は市乃のマンションに入って行ったのだった。
灰川は渋谷駅から自宅に帰る道中で、たまに独り言を漏らしながら歩いてる。
「ヤバかった…なんか最近、皆が凄い可愛く見える…」
史菜が大胆な行動に出た理由の一つに灰川を取り巻く環境の変化という理由がある。
現在の灰川は周囲の複数の人物から強い好意を向けられてる状況であり、それは史菜も知っている。彼女たちは互いに気持ちを打ち明け合い、灰川の異性の好みを変えてしまおうと画策してるのだ。
灰川の異性の好みは特に大きな偏りはなく、同年代でも年上でも年下でも順当に優しい美人が好きという、誰でも言いそうなアバウトな意識しか持っていない。つまりそういう方面に今まで意識を向けて生きて来なかった。
今までモテた事がある訳でもなく、自分が格好いいとかイケメンだとか思った事もないし、霊能者として市民として普通に生きて来ただけだ。
そんな灰川の周囲の子達は、自分たちに目が行くように仕向けようとされている。それが本格的になってしまったら、ただでさえ彼女たちの良い部分を知ってる灰川は心を変えずに居られるかは疑問だ。
もちろん灰川はそんな事が起ってるなんて露知らずで、明日からも普段通りに生活していくつもりだ。
「まぁ良いや、今日は流石に帰って寝よっと!」
色々あったが今日も無事に終わり、明日も頑張ろうと決めて帰宅する。
ちなみに史菜が最後に言ってた事は疲れもあって寝たら忘れてしまい、翌日には頭から抜けてしまってたのであった。こういう男はモテないだろう。
センシティブに引っ掛からないよう書いたつもりですが、注意を受けたら削除します。直接的な事は何も書いてないので、セーフだと思いたいです。




