第14話 ステータスが終わってる
有鱗族 リュカ Lv1
■演者
愚者Lv0
■階級
・怖いトカゲ女
・住所不定無職
・変質者
・タイキッカー
・"New"クレーマー
■所属
なし
■称号
なし
■装備
ダウジングペンデュラム(魔力+2、運+8)、初心者防具セット一式(防御+10)
■能力値
HP 95/95
※基礎能力値計算で (力+防御+(俊敏÷2))×10
MP 124/124(155)
※基礎能力値計算で(魔力+魔防+(器用÷2))×10
力 2
防御 5(+10)
俊敏 5
器用 15
魔力 3(+2)
魔防 5
運 15(+8)
■最大装備重量4.5kg
重量が最大の80%を超えると俊敏が1%ずつ下がり、最大で20%落ちる。
※基礎能力値計算で力+(防御÷2)
■最大所持アイテムボックス重量5.5kg
重量が最大の80%を超えると器用が1%ずつ下がり、最大で20%落ちる。
※基礎能力値計算で魔力+(魔防÷2)
■技能
・ダウジング
落ち着け、クールなれ橘 百合香。寛ぎのカフェスペースで怒りを爆発するのは良くない。……普通は1つだけの階級が5つある事は非常に由々しき事態だ。本来ならそこに話の主軸を持ってくるのだろう。しかしだ。それは無理な相談だ!なぜなら私の階級が意味不明で殆ど悪口だからだ!!……あっ限界だわ。
「ロイヤルミルクティーのソイミルクです。お熱いので――」
「誰が住所不定無職じゃあ!!!! ぶち殺すぞ!!」
「ひぇ……ううわーん!!街で有名な変質者のトカゲ女に怒鳴られましたぁーうぅ怖い。ずっと怖かったのぉうぅ助けてぇ!!」
「変質者のトカゲ女? おいお前今なんつった?そのハーフツインもぐぞ?? もぎちぎるぞッ!!」
「うわーん、もぎちぎられるぅー!!やめてぇ!!」
****
『警告!! あなたは『KAMMY’S COFFEE』の経営管理者権限によりこの店舗に入店出来ません。また何らかの形でスタッフや店自体に危害を加えた場合、自動的に通報されます。速やかにお引き取り下さい。』
澄み渡る青い空と激しく点滅する警告文のコントラスト。気がつくと私は地面に寝そべっていた。
「ふふふっあはははは!! ……私は貝になりたい。」
そのまま人の行き交う道路の真ん中で固く丸まり小さくうずくまっていると誰かが近寄って話しかけてきた。いや、話しかけて来る人はいっぱいいたがその者は勝手が違った。
「リュカ何してんの? なんかメッセージ性の強いパフォーマンスそれ?……っておい! 起きなさいよ!!無視すんなトカゲ女!!」
「だ誰がトカゲ女じゃあ!!!」
「いや、どう見てもトカゲ女でしょ!……何があったのよ?ったく汚れてるわよ。」
「うぅだるだる。あんた良い奴だな。ありがとう。」
「嬉しいけど、その略し方やめて! だるくって呼んで!!」
だるくは変態だが良い奴だった。それにじっくり見ると顔も可愛いしスタイルも日本人離れしてて、その胸とか……あっやっぱり好きになれそうにないわ。あの日のお下劣アクターがまだ尾を引いてるわ。
「危うく騙される所だった。このテキサスダブル肉団子バーガーが。」
「それもしかして私の事言ってるの!? 優しくした相手に余りにも酷くない??……でもそこが良いッ!!好きッ!!」
だるくのキモさのおかげで少し復活した私はとりあえず店の前を離れ、近くのベンチに腰を下ろした。するとだるくが隣に座り、心配そうな顔で話し始めた。
「ねえ本当にどうしたの? 大丈夫??」
「……ありがとう。今日は不運続きでちょっと気が立ってたみたい。さっきはごめんねだるく。」
「別にいいのよ。謝るくらいなら思いっきり臀部を蹴って欲しいわ。ゲームとはいえ友達なんだから。」
何の脈絡もなく割り込んできた気持ち悪い文章が無ければ本当にリアルの友達なれただろう。まあそんな所も嫌いではない。いつかリアルでその願いを叶えてやろう。
「その実は私の階級、なんか複数取得出来てどれも変なのばっかりなんだよね。うーん、口で言うのも嫌なんだけどトカゲ女、住所不定無職、変質者、タイキッカー、クレーマーの5つあるんだ。」
「なるほど、それが愚者の能力なんでしょうね。演者技能が1つでLv0のかわりに階級技能が5つ。スキルの数的には他の演者と同じって事ね。」
クラスを聞いても笑わないで真剣に答えてくれるだるくを少し見直した。たしかに通常は演者技能が5つ、階級技能が1つだから数は同じなのか。でもこのラインナップを見るにハズレ感が強いよね。それに上級者は実質5つの階級技能を使う訳だしアドバンテージもないな。
「ちなみに貴方の階級にはストックはあるの?」
「あーどうだろう。ちょうど5つだったからな、ちょっと待ってね!」
通常、階級には4つのストックがあってプレイヤーは非戦闘時に自由に変更する事が出来た。そしてそんなストックを含めて5つある階級は言動によって進化したり、時に混じり合ったり、レベルや装備によって変質したりして様々な階級に移り変わる。例えば剣士と魔術師のクラスを持っていた場合、どちらかを選び鍛えれば上位になるし、どちらも満遍なく使えば統合して魔剣士などになる可能性があった。ただ階級には熟達度を図る術はないため関連するスキルの数やレベル、あとはプレイヤーの感覚になる。
そして上級者プレイヤーはある演目をクリアする事で戦闘中に階級を変更し最大で5つの階級技能と同じく5つある演者技能を緻密に組み合わせて連続波状攻撃をしたりする。私もその1人だったが前のキャラはたまたま揃ったバフ効果のある演者技能や階級技能を重ねがけして刺殺狂のスキル 紅牙槍鬼閃でぶち抜くという駆け引きゼロのシンプル攻撃で緻密さの欠片もなかった。
さて、さっきの騒動で何か獲得してるんだろうか。
■階級
・怖いトカゲ女
・住所不定無職
・変質者⇒"New"かなりの変質者
・タイキッカー
・クレーマー⇒"New"論理破綻系クレーマー
・"New"出禁女
☆"変質者"はリュカの公共スペースでの言動とNPCの認知が一定値を超えた事によって"かなりの変質者"に進化しました。
☆"クレーマー"はリュカの店内での言動と店員NPCの好感度が一定値を下回った事によって"論理破綻系クレーマー"に進化しました。
※ストックは設定中の階級と入れ替えが可能です。
……嘘だろ。なんかコイツら進化してんだけど!? もうストックとかそれ所の騒ぎじゃないんだが!!何この『わたし街のやばい人集めて草野球チーム作ります!』みたいなラインナップ。これ私の内面を表してるの?? なんか己の深淵を覗いた様な気分だわ。ちょっとショック。
「どうだったの?」
「……ストックも出来るみたい。だるく、勘違いだと思うんだけど私ってもしかしてほんの少しだけ……変なのかな?ぐすっ」
「えっ……いや、まあうーんどうなんだろね。わ私は普通だと思うよ!気にしないで!!えっとほら、これ!あ飴ちゃん食べる??」
「……食べる。ぐすっ」
「おーよしよし、特別にみかんとイチゴの2つあげるから元気出してね。」
「……ブドウとミルク系がいい。ぐすっ」
「……あんた本当に落ち込んでる?? 私の事からかってないよね?よく見たら全然泣いてないけど。」
ごめんなさい。ちょっと優しくして欲しかっただけです。そして本当にありがとうだるく。あんたは大切な友達だよ。
「はーまったく仕方ないわね。ほら臀部のセクシャルガードを貴方にだけ限定解除したから景気づけにタイキッカーの実力をみせなさい!!」
やっぱり友達は保留。こいつは変態。多分、私よりおぞましい階級を保持しているに違いない。でもそんな彼女が気を使ってくれているのだ。ここはお言葉に甘えよう。そもそもタイキッカーはコイツのせいで取得したんだから、子を母体に返すみたいなもんだ。当然の権利といえる。
「では、くらえ母なる駄肉ッ!! 階級技能ギルティ・タイキック!!!」
「母?そそれって――あぎゃああああああ!!!――って痛ああああ!!! くっていうか動けない!? スタン?この姿勢のまま!?」
■階級タイキッカー
鋭い蹴りで的確に急所撃ち抜くタイキックの申し子。
☆階級技能 ギルティ・タイキック
HPやMPなどの何の代償もない代わりにダメージはゼロで何故かとてつもなく痛いと錯覚する対人専用の臀部に放つ蹴り技。突き出した臀部にクリティカルするとスタン効果がある。
「はははっずっと私のターン!!続けてギルティ・タイキック!!!!」
「何その悪魔みたいなスキル!? あぎゃあああああ!!!!――っでも……ありがとうございますッ!!」
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