ストレートに言う彼女は僕の前だけ可愛い
主人公の名前:暁日向
ヒロインの名前:渡辺春香
僕が通っている学校「東東京高校」には、学年一…いや、学校一とも言えるくらいの完璧美少女がいる。
そんな彼女の名は渡辺春香と言い、まるで花が咲いたかのように綺麗で美しい見た目をしている。
彼女にスポーツをやらせるとミスする事の方が珍しいし、勉強面でも五教科中で二・三問しか間違えない程の高得点を取っている。
そんな彼女はやはり人気でよく告白もされるが、
彼女には一つ欠点があり、告白されると、
「好きです!俺と付き合ってくれませんか!」
「あなた自分の顔見たことないの?そんな顔でよく告白出来たわね。その勇気だけは褒めてあげるわ。」
などと言って、思った事や言いにくい事もそのまま伝えてしまう為「直球姫」と言われている。
また彼女の髪型は丁度ストレートなのでそこからも来ているのかもしれない。
そんな彼女はやはり友達が少ない。
女子にはそういう事はないらしいがそれでも美しさ故に嫉妬心などから新しい友達は出来ないとか。
あと、普段無表情でいる事が多いから怖がられてらのかな?
まぁ僕は連絡事があれば話す程度だから関係ないが。
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二年生になり初めての席替えで僕は渡辺さんと隣の席になった。しかも、窓際の後ろの席だったのでもうこれから良い事無いだろうなと思いながら窓を眺めてたら声をかけられた。
クラスメイトの人が「次移動だよ」と言ってくれたのかと思ったら直球姫こと、渡辺さんからだった。
驚いて固まっていると
「移動しないと遅れるけど」と言われてその時僕は、
「あ…ありがとう」としか返せなかった。
隣の席になってから渡辺さんは、時々僕に挨拶してくれたり、急に先生に当てられた時にはこそっと答えを教えてくれる事もあった。
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段々それが当たり前になってきたある日の昼休み、
僕はお昼ご飯を食べようといつものように屋上に行ったら、いつも空いてるはずの椅子に渡辺さんがいた。
屋上には二人用の椅子が一つしか置かれてないので、
どうしようか悩んでいたら、
「あっ、やっと来てくれたわね」
と声をかけられてしまった。まさかあの学校一の美少女が僕に言ってるとは思わないので周りを見てみるが渡辺さんと僕以外は誰も居なかった。
「…貴方の事よ、暁日向くん」と、
名指しで呼ばれてしまった。
何もしてない筈だけど、何かしたかなぁ…
「ご飯食べないの?」
「えーと…椅子が一つしか無いしどこで食べようかなぁと…」
「何言ってるの?一緒に座って食べれば良いじゃない」
と言われ思わず口開けたまま驚いていると、
「何口を開けて呆けているのよ。早く一緒に食べてくれないと在らぬこと言いふらすわよ」
と言われ、そんな事されたら学校生活が終わってしまうので「失礼します」と言って隣の席に座った、んだけど…ヤバイ。家族以外で女の人とは関わってないので女の子特有の匂いだけで頭がショートしそう…
そういえば、今日家にお札持ってくるの忘れたから小銭しかなくてパン一個だけなんだよなぁ…と思っていたら、
「それだけでお腹空かないの?」
「今日小銭しか持ってきてなくて、これだけなんだよね…」
「じゃあ…あーん」
と少し恥ずかしそうに卵焼きを僕の方に向けていた。
戸惑っていたらいつのまにか口の中に入っていて、甘い匂いが口いっぱいに広がっていた。
それからの事はあまり覚えていない。
気づいたら自分の部屋のベットで横になっていた。
妹から、帰って来て早々夕食も食べずに寝ていることに心配されたが、そんな事は気にならない位昼休みの事を思い返してた。
――――――――――――――
あの後渡辺さんのお弁当を半分程食べてようやく我に返った僕は、今度材料費を返す事を言ったら渡辺さんからは払わなくて大丈夫と言われたが流石にそれは気がひけるので払うと言ったら、
「じゃあ材料費払う代わりに私が言う“お願い”二つ聞いてくれる?」
と言われたのでその“お願い”聞いてみたら、なんと彼女の口から次のようなお願いを言われた。
「まず一つ目のお願いだけど…連絡先を交換して欲しいの 」
「僕なんかので良ければいいけど…」
交換したはいいけど、同じ共通の話題とか無いだろうし…どうして交換したんだろう?
「二つ目のお願いを言う前に…一つ質問なんだけど、暁くんは普段お弁当作ってもらってる?」
「えぇと…たまにお弁当作って貰うけど、殆どは食堂のご飯かコンビニとかで買った物かなぁ…それがどうかしたの?」
「じゃあ二つ目のお願いだけど、貴方のお昼ご飯を私に作らせてもらえないかしら?」
「じゃあ材料費はコインで送ってね」
「全然大丈夫だよ。私がしたい事だから!」
と言われてしまった。
でもなんで僕にこんなに尽くしてくれるんだろう。
「ねぇ渡辺さんなんで僕に…『キーンコーンカーンコーン』」
「もうお昼休み終わってしまったわね…
また明日ここでね〜」
「あ〜…うん、また明日」
――――――――――――――
と言う感じだった。
それにしても、この僕が学校一の美少女とお昼ご飯を食べれるなんて思わなかった。
過去の自分にこんな事言っても信じないよ。
だって今でも幻覚か何かなんじゃないか疑っているし。
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はぁ。今日から渡辺さんと一緒にご飯を食べるのか…
そりゃ、雲の上にいるような人とご飯を食べることに不満はあるはずない。
しかし男子から人気があるから、もしバレたらと想像しただけで胃が小さくなる。薬とか買おうかなぁ。
と思っていたら屋上に着いていた。
「あっ、やっと来てくれた!」
なんて笑顔で言われるとそんな事もどうでもよくなる。
「ほらほら早く食べよ♪」
いつも無表情なのに今日はどうしたのだろうか。
「やっと一緒にご飯食べれるね!」
「えっ?」
今渡辺さんやっと一緒にと言っていたけど、その口振りからして過去に何処かで会ったことあるのだろうか。
でもこんな綺麗な人と会ったら忘れないと思うけど。
「ねぇねぇどれから食べる?」
さっきの事聞きたかったんだけど…
まぁ後で聞いてもいいか。
「卵焼きかな」
渡辺さんの卵焼き凄く美味しいんだよなぁ。
「わかった。はい、あーん」
うん、やっぱり美味しい。
母が作ってくれる卵焼きも美味しいが、渡辺さんの卵焼きはもっと美味しい。何か美味しい秘訣でもあるのだろうか?とか思ってたら
「無くなってた…」
まぁそりゃ卵焼きはメインではないからニ〜三個くらいしか入れないと思うけど、なんだか名残惜しいなごりおしい。
「卵焼き好きなの?」
「うーん、普通かな?
渡辺さんを好きなんだと思う。」
「ふぇっ!?そ、そうなの?」
「うん。渡辺さんの卵焼きに心が惹かれるというか…まぁ、そんな感じ?」
「…ふーん。そっかそっか。喜んでくれたようで何よりだよ」
と言われたが、さっきまで嬉しそうな顔してたのに一気に無表情になってしまった。
何か変なことでも言ってしまったのだろうか?
でも自覚してないのに謝っても余計嫌われるよなぁ。
『キーンコーンカーンコーン』
タイミング良くチャイムが鳴ってくれた。
問題の先延ばしになるが、授業中にでも考えておこう。
―――――――――――――――
と思って授業中ずっと考えてたが、何も思いつかなかった。
『コイン』
ん?誰からだろう。丁度家に帰ったタイミングでコインが来た。コインって何かって?知らないのか?
世界的に使われてるメッセージアプリだよ。
って誰に向かって言ってんだ。
で、誰からだ?
『告白されたのかと思ったから、少し怒ってしまったわ。空気を悪くしてごめんなさい。』
『こっちこそ紛らわしい事言ってごめんね。』
『じゃあ、また明日ね。』
良かった、もう怒ってないみたい。
でも告白じゃなかったから怒るって…
もしかして…
いや、でも今までそんな素振り見せなかったし、
気のせいだよな?
―――――――――――――――――
ふ〜。やっと昼休みか。
今日のお弁当は何が入っているんだろう?
「お〜い。日向くん!」
えっ?その声は、
「わ、渡辺さん!?」
「も〜。″渡辺さん″じゃなくて、春香って呼んでって言ってるじゃんー」
「えっ、そんな事言われたこと…」
「ほらほら、早く行くよー」
「渡辺さん!」
「あー、ごめんごめん。早く日向くんに会いたかったからさ、教室にまで来ちゃった。」
「えっ?それってどういう事?」
「まぁまぁ、はやくご飯食べようよ。」
「ま、待って!その前になんで皆の前で名前呼びしたの?」
「ん?だって、私達友達じゃないの?」
「でも、今まで呼んでなかったじゃん?」
「んー、前々から名前呼びしたかったんだけどそのタイミングが無くて、もういっそ皆の前で呼べばいいかなーって。嫌だった?」
「嫌じゃないけど…」
男子からの目線が…
「まぁ気にしなきゃいいじゃん?はい、あ〜ん」
むぐっ。物理的に口を塞がれた。
異性の友達同士でも名前呼びが普通なのかな?
でも急に名前呼びされたからちょっとドキッとしちゃった…
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あれ?最近教室に来てくれてたんだけど…
まだ5分しか経ってないし、授業が長引いてるのかな?
『ごめんなさい。先に屋上に行っててください』
『了解!』
久し振りに一人で屋上に来たなぁ。
あっ、渡辺さんもう来た。
「ごめんなさい!遅れてしまって」
「ううん大丈夫だよ。授業が長引いたんでしょ?」
「あっ、えーとその…断りに行ってたの」
ん?なんで言いづらそうにしてるんだ?
「勘違いしないで欲しいんだけど、告白を断ってきたの」
あっ、そうか。
最近告白された話聞いてなかったけど、春香はモテるもんなぁ。
でも告白の話を聞いた途端急に心がモヤモヤしてきた。
これが恋なのか?それとも病気?
うーん。帰ったら妹に聞いてみよう。
――――――――――――――――
「お兄ちゃん、それはね…」
「な、なんだ?やっぱり病気か?」
「恋に決まってるじゃん!」
えっ?これが恋なのか…?
「てか、お兄ちゃん今まで誰かを好きになった事無かったの?私からすればその事にびっくりだよ…」
今の時代は恋しない子の方が少ないのか?
「よし、早速明日告白しよう!」
「えぇっ!?でも春香は僕の事好きじゃないだろうし…」
「はぁ。お兄ちゃん、女の子は気軽に男の子に名前呼びなんてさせないよ。」
やっぱり友達でも異性だと女子に名前呼びはさせないのか。
「でも春香は友達同士だと普通みたいな言い方してたから、勘違いじゃない?」
「どうしてそんなに告白したくないの?
告白すれば相手の子絶対OKすると思うよ」
「だって振られるかもしれないじゃん…」
「お兄ちゃんより恋愛経験のある、しかも同じ女子が言ってるんだよ?それに仮に振られても経験は積んだいた方が良いよ」
たしかに、同じ女子だもんな。
「よし、じゃあ告白するよ」
「うん!その意気だよ!」
「でもどうやって告白するの?」
「あのね…そういうのは他人の力を借りるより、自分で考えて告白してくれた方が嬉しいんだよ」
そういうものなのか…
―――――――――――――――
「そう言えば春香ってどこに住んでるんだ?」
「◯◯丁◯◯番◯◯号よ」
「えっ、そうなのか!?僕の家に近いね!」
「あら、そうなの?じゃあ早速今日一緒に遊ばない?
いつも此処でしか話せないし」
「いきなり家に行って親は大丈夫なのか?」
「あぁ、それなら大丈夫。私の両親いつも帰ってくるの遅いから」
僕の両親も帰ってくるのが遅いし、なんだか境遇似てるな。
「じゃあ行ってもいいか?」
「もちろん!あっ、嫌いなお菓子とか無いよね?」
「うん。でも無理せず買わなくて良いよ。」
「あっ、お菓子常備してあるから大丈夫よ」
それなら良かった。
――――――――――――――
「うわぁ…」
めちゃくちゃ高い。
何がって?もちろん彼女の家がだよ!
「何階まであるの?」
「三十階」
ほぇ〜。そこらのビルなんて目につかなくなりそう。
「?早く行きましょう。」
最上階だ。
でも目の前に扉があって廊下が見当たらないんだけど…
「どうしたの?早く入りましょう」
取り敢えず入った。が、広い。広すぎる!
もしかして…
「渡り廊下無いの?」
「渡り廊下???」
あっ、その反応は無いな。てことは
「この階全部春香の家?」
「そういう事になるのかしら?」
「そこのテーブルにでも座ってて」
と言われたが、広すぎて落ち着かない。
「お待たせ。適当に食べて」
って言われたけど、全然〝こんなの″じゃない。
むしろ僕なんかにこんなの出して良いのだろうか?
左から、マカロン・トリュフチョコレート・クッキーが置かれていた。
「あっ、まだ冷蔵庫にプリンあるから食べたかったら言って」
春香は甘い物が好きなのかな?
というかそうじゃなきゃこんなにお菓子ないよね…
更にお菓子を乗せてるお皿も絶対高いやつじゃん…
「?良いよ。気にせず食べて」
「じゃあ…いただきます。」
サクッ
「!?」
美味しい!
塩が入ってるけど、それがクッキーの甘さを引き立ててる!
妹にあげたら大喜びだな
って、そういえば連絡入れてないな。
「ごめん、ちょっと妹に連絡入れるね」
「ひぃひょぉー」
『ごめん、今昨日言ってた子の家にいて、帰るの少し遅くなるかも』
『了解!告白ちゃんとするんだよー』
帰り際にサラッと言うか…
「ごめん、お待たせ」
「全然大丈夫!っていうか、妹さん居たんだね!」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「うん。因みに私は兄が一人いるよ」
ほぇー、なんか一人っ子のイメージ強かったけど兄妹居たんだ。
「お兄さんはモテるの?」
「週五くらいのペースで告白されるとは言ってたわよ」
つまり、一日に一回くらい告白されてるのか。
どんな人なんだろう。
――――――――――――――
「今日は楽しかったよ。突然だったけどありがとう」
「またいつでも遊びに来て良いからね」
「じゃあ、また明日。…好きだよ、春香」
「ふぁっ!?」
こんな感じで良かったのかな?
「お母さんとお兄ちゃん…」
「えっ?」
オカアサントオニイサン?
僕もだけど、目の前にいるお二方の方がびっくりしてる。お母さんが
「えっと…少しお話良いかしら?」
「アッ、ハイ」
終わった。初対面の相手が娘に告白してるとか印象悪すぎでしょ…
しかも春香に告白したから気まずい…
――――――――――――――
「えっと、まず自己紹介からしましょうか。
私は渡辺穂乃果で、こっちが」
「渡辺蒼太です。」
蒼太さんは爽やかオーラが凄い出てる。
穂乃果さんは清楚美人だ。
「あっ、僕は…」
「貴方のことは知ってるわ。」
「えっ?」
「春香が毎日貴方のことを喋ってるから」
「そうなんですか?」
「えぇ、それは嬉しそうに」
「ちょ、ちょっとお母さん言わないでよ!あっ」
マジか。
「それより貴方は春香と友達?」
娘からの抗議をスルー出来るって凄いな。
「はい」
「そう…ありがとう」
「えぇと…なぜお礼を言われるか分からないんですが」
「貴方のおかげで春香の笑顔が増えたの。しかも強がってるけど、本当は友達いないし。だから学校に登校するの嫌そうだったけど、貴方の話をするたびに学校に行くのが楽しそうで…本当にありがとう」
「いえ、そんな…」
「それで本題なんだけど」
ゴクリ
「春香、貴方の気持ちは言わないの?」
あれ?
「えっ、私?」
「そうよ。振る、振らないにしても返事をあげないと可哀想じゃない」
「じゃあ、お母さん達一回外に出てって」
「「どうせ後で聞くんだし良いじゃない(じゃん)」」
「いいから出てって!」
「えっと、その、ここここ告白の返事なんだけど!」
「はっ、はい!」
「その…ぃ…ょ」
「えっ?」
「だーかーらー良いよ!付き合ってあげる!」
「ぇと、宜しくお願いします」
「「おめでと〜う!」」
「お母さ〜ん?聞き耳立ててたでしょ!?」
「聞き耳立てちゃ駄目とは言われてないよ?」
「あの春香のお母さん」
「何?」
「僕の家お金持ちじゃないですけど、大丈夫ですか?」
「ん?どういう事?」
「えーと、春香は許嫁とかいたり、お父さんが反対したりは…」
「日向くんは心配性ねぇ〜。あの人は春香が本当に好きな人なら基本的に誰でも良いって感じだし、許嫁なんかいたら既に追い出してるわよ?」
「あっ、そうですよね。」
「それより日向くんのご両親にご挨拶したいから、空いてる日教えてくれる?合わせるから」
「はい!もちろんです」
まさか春香と付き合えるとは思わなかった。
もちろん色々な人から嫉妬されたりしたけど、好きな人と一緒に過ごせているとそんな事気にならない。
沢山思い出作ろうな、春香。
私にとってこの小説は初めての作品です。
中学生ながらに頑張って書いたので、ここまでお読みいただけるのはとても嬉しいです(*>▽<*)
急に話が吹っ飛んだり、おかしい所も沢山あったと思います。
それでもここまで読んでくださりありがとうございました!