近づく影
あれから一週間がたった。起きた事が衝撃的すぎてすぐには信じられなかった。白虎は相変わらずうんともすんとも言わない。今日も一人で学校に向かう。
「ヤッホー」
ピカソが急に話しかけてきた。
「うわっ何ですか?」
「何ですかじゃないわよ。あれからどうなの?白虎」
そのあとに続いて美希が出てきた。
「それがまだ僕に心を許してくれなくて…」
「敵はいつ来るか分からない。急いでね。」
「はい…」
そう言って僕は学校へ向かった。
教室に入ると賑やかだったクラスが一瞬静まる。そして何事もなかったかのようにまた賑やかになる。あいつのせいだ。このクラスの独裁者勝俣陽一年の頃からだ。勝俣が何か言えばそうなるのだ。その時だった。
下からガラスが割れる大きな音がクラスに鳴り響いた。
(敵はいつ来るか分からないから急いでね。)
僕は下の階へ走った。
「新しいヒーローはここか?探すの面倒くさいのう。使い魔召喚。ムネモシュネ。探せ。」
「そこまでだ!」
「ほう、探す手間が省けたのう。お前が白虎の主人か?」
「だったらなんだ!」
「青島伊吹。私たちの仲間にならんか?」
「何を言ってるんだ?…」
「簡単な話だ。私
たちは四神を探してる。お前が初めての四神使いなのだ。一つ四神を召喚すると他の四神も集まってくる。」
「嫌だ…」
「あ?」
「嫌だ!!」
「四神を使うにはエネルギーが必要でのう。エネルギーを分けてやる。そのかわりこちらへ来い。」
「人から貰ったエネルギーで強くなりたくなんかない!!」
「それじゃあ力で奪うしかないのう。やれムネモシュネ。」
ここで終わるのか?頼む少しでいいから助けてくれ、白虎!!!
「使い魔召喚も出来ないお前に私が負けるわけないのにのう。」
(わしの主人に触れるんじゃない!!!)
(なんじゃコイツ、白虎を召喚していないのに強さが変わった!?)