06 祖母と祖父
それから一年後。
四度目に見る抹消サイトに書き込むのは、祖父母の名前だった。
この間の、長い休み。
その時、久しぶりに田舎にある祖父母の家に行った。
何にもない田舎は嫌いだったけど、そんなに古びた家じゃないのが救いだった。
誰だって、汚れてるより綺麗な方がいい。
虫がはいってくるようなボロボロの家とかでも、埃まみれの部屋とかでもなくて助かった。
けど、そこで最低な事が起こった。
祖父母の住んでいる村の人達は、古い慣習やしきたりにとわわれていた。
女の子はおしとやかで、男を立てるのが良い、とか。
大人しく、清楚であるべきだ、とか。
そんな考えがあたりまえ。
皆が皆して、同じような事を言ってくるから、おかげで耳にたこができそうだった。
ちょっと言葉遣いが悪いだけで、何よ。
それだけならまだ我慢できたのに、お見合いまで薦めてきて、田舎に住む変な男を紹介された。
写真をみせてきながら、「人間は外見じゃないのよ」とか「絶対にこの人なら幸せにしてくれるから」とか。何それ。
ど~せ、村でいい相手を見つかられなかった可哀想な男なんでしょ?
いい人どまりで、何の刺激的な面もない、平々凡々なつまらない男なんでしょ?
そんなの、絶対、お断り!
だから私は、祖父母を抹消することにしたのだ。
「抹消しました」
やった。
そう思った途端、私の意識は途絶した。




