03 赤の他人
抹消サイトのメールが送りつけられたきた。
噂を聞いたばかりの私は、さっそく抹消サイトに名前を打ち込んで行く。
やってみようと思ったのはただの興味だった。
本気でサイトの効果を信じてるわけじゃない。
でも、この恨みは、この感情は本気だ。
この名前の人間など消えてしまえと思ってるし、罰が当たればいいとも思ってる。
書き込む名前の相手はすれ違った他人。
ついこの間までまったく知らなかった人間だったし、これからも接点はないと思う。
でも、その相手は許せない事をした。
すれ違いざまに私にぶつかってきて、私が使っていた大切な楽器を踏んで壊したのだ。
長居年月使って来た大切な楽器だったのに。
クラブ活動や大会でも、いつでも一緒だった。
だから私はその人の名前を書き込むのだ。
なぜ名前を知っているのかって?
それはその人はテレビで見た時に気づいた事。
その人は、有名人だっのだ。
でもマイナー。
ものすごく多くの人が知っているというわけじゃないから、町中であった時でも気が付かなかったんだけど。
うん、確認。
間違いない。
帽子やサングラスで見た目を誤魔化していたけど、私にぶつかってきた時に一瞬だけとれたから。
この人だ。
本名じゃないけど。
元々効果なんて信じてなかったから、気休め。
さあ、消えて。