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第171話 道中


 野宿。


 ということで、僕たちはこの場で休むことになった。一応簡易的なテントは持ってきているので、それを僕とエイラ先輩で組み立てた。


 そして寝ることになったのだが……僕は別に寝る必要はないので良いと言ったのだが、休んでおいた方がいいということで寝ているのだが。


 どうしてか、僕が真ん中になっているのだ。


 今の並びで言えば、キャサリン、リアーヌ王女、僕、先輩となっている。


 キャサリンはかなり隅の方で横になってもう、もうすでにいびきをかいている。一方の僕は両腕をリアーヌ王女と先輩にがっしりと掴まれている。


「あ、あの……その、どうして腕を掴むんですか、二人とも」

「私は抱き枕がないと寝れないので」

「私はリアーヌからユリアを守るためよっ!」


 と、僕の後ろにいるリアーヌ王女を睨みつける先輩。


 一体何がどうなっているんだ……と思っているが、二人ともしばらくすると寝息を立て始める。


 だが僕の腕を掴んだまま寝てしまったので、身動きができない。本当は二人が寝た後に外にでも出ようと思っていたのにそうすることも叶わない。


 ということで僕はただぼーっと上を見ながら、これからのことを考える。


 これから先に行くのは、サキュバスの国だ。一応人間には敵対していないということだが、結界都市に閉じこもってからは全く交流はしていない。


 だからこそ、僕は手放しでキャサリンの言葉を信じているわけではない。


 あのエルフの村のように、他の魔族に支配されている可能性もある。そして僕ら人間を陥れるためにキャリンを派遣した可能性もゼロとは言えない。


「うーん。むにゃむにゃ……もう食べられないわよぉ……」


 ボリボリとお腹を掻きながら、そんな寝言を言うキャサリン。


「……」


 そんな姿をリアーヌ王女越しに見ていると、どうにもキャサリンが刺客の類だとは思えないが油断大敵だ。僕は人類を代表してこの場にいると言うことを忘れてはいけない。


 と、そんなことを思っていると急にパチリと目を開けたリアーヌ王女と目があう。


「……ユリアさん、寝れないのですか?」

「まぁ。と言うよりも、リアーヌ王女も寝る必要はそれほどないでしょう?」

「まぁそうですが。こうしてみんなで横になるのは、夢だったんです」

「確かに、ちょっとキャンプ気分でいいものとは思いますが」

「……気を張ってくれているのは分かります。でも少しゆっくりしたらどうですか?」

「いやそう言うわけにも……」

「そこはユリアさんらしいですね。分かりました。おやすみなさい」

「はい……」


 そう言うとリアーヌ王女は逆方向を向いてしまう。その瞬間、後ろからぐいっと引っ張られる。


「うわっ!」

「……ううん……うぅん……」


 それは先輩が思い切り引っ張ったものだったが、どうやら起きているわけではなくただ寝相というか、その類のものだったらしい。


「……僕も寝ようか」


 そうして僕もまた少しの時間だけ、眠りにつくのだった。

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