ねこの話
ねこ好き
僕はね、猫が好きなんだ。
彼はいつも唐突に話し出す。いつもの事なので私は気にせずに唐揚げを齧る。
猫を飼っていたこともある。言ったことあったっけ?
名前はトマト。僕が物心つく前から一緒にいた猫。僕はね、彼女が大好きだったよ。枕にしても起こらないし、尻尾も触らせてくれる。
私はふーんと言い、カフェオレの缶に口をつける。
でもね、向こうの家は猫が好きじゃなかったんだ。
あっ、父親の実家の方ね。
お母さんは僕と同じで猫好きだよ。
向こうの家の人はね、子猫を殺すんだ。
トマトは叔父の車に牽かれて死んだ。トマトの子のウニたちは、風呂敷に包まれて、叩きつけられて、海に流されたんだ。
私はかわいそうという気持ちよりも、気持ち悪いと感じた。猫を殺すという行為よりも、彼が話しているこの状況にである。
何でこんな話したのかって言うとね、昨日さ、光っている白猫にあったんだ。バイト帰りにね、いっぱいの猫と子猫をつれてね。痩せた犬もいたよ。
私は彼が何を言っているか理解できなかった。
光った白猫は言ったんだ。お前は助けてやるが、あっちは駄目だ。お前の姉と妹も駄目だって。僕に姉がいたことは知らなかったけど、素直に駄目なんだなって思った。その時は何も疑問はわかなかったよ。
私は混乱していたが、何を言ってるんだ?と、素直に聞いた。
だからさ、猫の話だよ。でね、その白猫と話してたら色々教えてくれたんだ。トマトは天国にいるからここには来れないとこと。流された子猫たちは僕の周りに居たいらしいとか。あとね、僕には普通の猫はよってこないんだって。猫好きなのにね。
彼は話したいことを話終えたというように、満足した様子で水筒に口をつける。
私は本当にそんなことあったのか、と念を押して聞いた。
やだなぁ。本当にそんなことあるわけないじゃないか。昨日ね、電車の中でみた夢だよ。いつもと違うとこに座っちゃったからそんな夢をみたんだね。きっと。
だからさ、冗談だにゃー。
私はどこからが冗談かはわからなかったが、聞く気はなかった。
小さな部室のなか、にゃーと、何かがないた。
ねこ好き