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主に恋愛している短編集(連載作品以外)

あなたのおならは臭すぎる

掲載日:2018/08/25

「あなたのおならは臭すぎる。」


 個性ともいえるような臭さは彼のものだった。


 そっと潜み、水面に浮かぶクラゲのように、

気が付いた時には私の鼻に漂う彼のおなら。


 おなら、()放屁(ほうひ)、ガス。


 いろんな呼び方があるけれど、

彼のを言うなら、やっぱりおならかな。


 いったい何を食べれば、そんなおならが出てくるのか。


 子供の頃から不思議だった。





 小学校で初めて嗅いだ彼のおなら。


 嗅ぎたくて嗅いだわけじゃない。


 彼の隣に私がいた。


 彼の周囲に私がいた。


 同じ教室で彼がおならをした。


 何かが破けるような音がした。

何かが通り抜けるような音がした。

音もなく広がっていく時もあった。


 みんながみんな、彼を見た。


「あなたのおならは臭すぎる。」


 風船が破けるような、

車が走り抜けるような、

急に花畑に立たされた時のような、


 彼は少し恥ずかしそうに、愛想笑いをしていた。


「あなたのおならは臭すぎる。」





 小さな頃から臭かった。


 大きくなっても臭いまま。


「あなたのおならは臭すぎる。」


 おならは我慢できない彼だけど、

からかわれても我慢できていたね。


 からかわれても我慢していた彼だけど、

おならは我慢できていなかったね。


 酔っ払ったサラリーマンに絡まれた時も、

不良たちに絡まれた時も、

あなたはおならを我慢できなかったね。


 酔っ払ったサラリーマンも、不良たちも、

あなたのおならを我慢できなかったね。


「あなたのおならは臭すぎる。」





 小さな頃から臭かった。


 大きくなっても臭いまま。


 いったい何を食べれば、そんなおならが出てくるのか。


 子供の頃から不思議だった。



「ママー、パパがまた おならしたー。」


 まったく、何を食べてもそんなおならが出てくるのか。


 我が子を抱き上げて彼に言う。



「あなたのおならは臭すぎる。」



 彼は少し恥ずかしそうに、愛想笑いをしていた。


「あはは……ごめんね。」

「いいのよ。」

「パパ臭いー。」


 私も この子もつられて笑った。

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