とあるカミサマの物語
とあるカミサマがいた
そのカミサマはいつも一人ぼっちでした。
そのカミサマは何でも生み出す事のできるチカラを持っていました。
そのチカラをおそれたニンゲンたちはそのカミサマをころそうとしました。
それにオコッたカミサマはチジョウのニンゲンたちを根絶やしにして、なんでも壊せるチカラを得ました。
『こんなチカラ欲しく無い、僕はみんなと一緒にいたいだけなんだ……』
これがそのカミサマの本音でした。
でも、した事は取り返しの付かない事でした。
ですがすぐにニンゲンたちは繁殖して数を増やしていました。
隠れていたとおもわれるニンゲンたちは同じことを繰り返しました。
滅び、戻り、滅び、戻り…………
そんな中、そのカミサマを理解するカミサマが現れました。
美しい、女性のカミサマ。
見た目は子供にしか見えない。
だが、一人ぼっちだった自分を理解してくれたそのカミサマに、カミサマは恋に落ちました。
彼らは相思相愛、結ばれました。
ゆっくりお茶を飲み、話し、遊び、愛し合う。
………………そんな平和な日々は、嵐の前の静けさでした。
燃えゆく家。
割れる皿。
流れる愛した者だった物の血。
カミサマは泣いた。
泣き叫んだ。
体温の下がり続ける肉塊を抱きかかえながら。
『何故、こんなことになった』
『ただ、平和に暮らしたいだけなのに』
『ただ、愛する者と居たいだけだったのに』
終に感情を抑えきれなくなったカミサマはチジョウのセイメイを消し去った。
DNAの一片も残さず。
完全に。
カミサマは最後の行動に出た。
『別世界に居るはずの彼女の転生体を探そう』
彼は自殺し、記憶を受け継いだままの転生を繰り返した。
これはとある一人ぼっちのカミサマの物語。
何度探しても見つからない、少女を探すカミサマの物語。
もう一度、君に会う為の物語




