0076話
「ご馳走さまでしたー!! 」
「はいよ、お腹一杯になったかい? 」
「うん、すっごい美味しかった! 」
「そうかい、そりゃ旦那も喜ぶ」
食べ始めはややしんみりとした様相だったエリだが、食べ終える頃にはすっかり元気を取り戻していた。その様子を見て、心配そうな表情を浮かべていた周囲も笑顔でそれを見守っていた。
「で? あんたら今日はどうするんだい」
「俺達は、キャッシャーの坊主と一緒に冒険者ギルドで護衛依頼の完了報告。その後、商業ギルドに行ってこいつの開業関係の処理だな」
「なるほど、そっちの人の事は聞いてなかったけどご同業かい」
「いえ、私は雑貨類や魔術具の売買が主なので……それに、一からの開業ですからお邪魔になることは無いかと」
「そんな事気にしちゃいないよ。ただ……そうだね。魔術具関係も取り扱ってるなら商品も持ってきてるんだろ? 」
「ええ、それは勿論」
「なら、後で見せてくれないかね……色々と入り用ではあるんだけど、中々見に行く暇が無くてねぇ」
「構いませんとも。今回お世話になったことでもありますし、特別特価でお売りさせていただきますよ」
「そりゃ助かるよ。で、オロス達は? 」
「俺達も、取り敢えず冒険者ギルドに行って加入手続きだな。その後は……特にこれと言って決まってな―――」
「あ! だったら私お店のお手伝いしたい! 」
「と……言うことらしいので、終わり次第こっちに戻ってきて何かお手伝いさせて貰えれば」
「あいよ、コキ使ってやるよ」
そう言って乱雑にエリの頭を撫でる熊……もといサロメ。最初は嫌そうにしていた物の、肉球の感触が気持ち良いのか目を細め次第に頭を寄せていくエリ。
……熊の肉球も気持ちいいのかな……。
―――――――――――――――
そんなこんなで、取り敢えず予定の決まった一行は揃って冒険者ギルドへ向かう。勿論、キャッシャーさんの馬車を使って。
ガラガラポクポク、と音をたて道を進む馬車。大きな道を進んでいるのだが、次第にその道も人で溢れていく。
「はいよー! 今朝取れ立てのウガの実だー! 新鮮で美味しいぞー! 」
「コカックの串焼きはどうだいー! 秘伝のタレで浸け焼きしてあるコカックは絶品だぞー! 」
「幸運のペンダントだ! これを着けたら戦場で必ず生き残れるって噂のアクセサリー、今なら銀貨1枚で販売中! あっ!言ってくれれば紐の長さはこっちで調節できるぞー! 」
「パン工房の屋台販売だよー! 全部さっき焼き上がったばかりだ! 是非買っていっておくれー! 」
道の脇では様々な屋台が軒を連ね、所狭しと並んでいる。基本は飲食物の販売が多いようだが、アクセサリーや魔術具、果てはちょっと怪しい曰く付きの代物を扱うお店まで……。
まるで祭りのような騒がしさに思わず目眩を覚える。……あー外を眺めたいと思ったけど止めておこう……。正直、色々と処理することが多くて、昨日以上に頭がパンクしそうだ。
そえして、視界を馬車の中だけに切り替え待つこと暫らく。馬車が停車し、幌を開け放たれた事で目的地に辿り着いた事が分かった。
「おら、着いたぞ」
「やっとか……あてて……」
「うぅ……凄い外が気になったよぉ……」
「まぁまぁ、後でいくらでも寄れますから」
それぞれに感想を述べながら降りていく面々。そして、目に入ったのは巨大な建物。昨日泊めて貰ったサロメの飯処も、元宿屋と言う事で大きくはあった。
……しかし、これは―――
「ようこそ、冒険者ギルドへ」
おどけた調子のコンラートに誘われ、巨大な扉をくぐる。
……これが、冒険者ギルド―――
いつもお読み頂き有難う御座います。
遅くなって申し訳ありません。




