0072話 side 隊長さん
(あの二人が来たこと、近い内に王には報告をせねばならんか……面倒な事にならなければ良いのだが……)
走り去る馬車を確認し、この後起こりうるであろう騒動を予感してため息を一つ。普段と同じ門の中から眺める美しい街並みも、今は霞んで見える。
(……また、私が巻き添えを食うのだろうなぁ……)
しかも、今回は別の問題も抱えているから更に面倒だ。“鬼子”……正直また面倒な者を拾ってきてくれた、と思う。が、アレ自体には何の罪もない。責められるべきは我々や、為政者達。又、それに連なる各機関の代表達だ。
そんな事は知っているし、理解もしている。だが、何故この時期に……とは思わずにいられない。無論、あの人達からすれば、それが当たり前の事であり。又、あの人達なりの責任の取り方なのだ、とは思う。しかし―――
つらつらと独白を続ける中で、引き継ぎを終えた部下達が続々と集まって来るのを感じとる。振り返れば、既に業務を終えている筈なのに綺麗に整列し、こちらの指示を待つ部下達。これも、あの人達の教育の賜物だろうか。等と考えると思わず苦笑が漏れる。
「隊長! 総員、引き継ぎを終え、本日の業務を終了致しました! 」
「本日もご苦労、各員体を休め明日の業務に臨むように」
「「はっ!」」
「では、解散! 」
「「お疲れ様でした! 」」
「いやー終わった終わったー」
「おい、この後飲みに行くか? 」
「いや、家はかみさんが待ってるからな」
「んだよ……付き合い悪いなぁ……あ、お前は? 」
「いえ、自分も彼女と―――」
解散を言い渡すと同時、既に日常へと浸りきっている部下達を見て、また苦笑が漏れる。何も常に気を張れ、等とは言うつもりも無いが。せめて、自分の前でくらいもう少し緊張を保てないものか。まぁ、切り替えがしっかり出来ているのなら、特にこちらから言うつもりも無いが。
そんな喧騒の中、副官を務める男がこちらへと向かってくるのを確認する。白い毛並みも艶やかに、長い耳をピョコピョコと揺らしこちらへと駆け寄ってくる小柄な男。
「隊長! 各員の引き継ぎ詳細のご報告に上がりまし……隊長? 」
小柄な彼がピョンピョンと跳び跳ねる様子を見ていると……こう、なんだ? 思わずガブッ、と行きたくなると言うか。いや、イカンな。彼は色々な面で頼れる副官ではあるのだが、こう、ふとした瞬間につい物理的にかぶりつきたくなると言うか―――
「あのー……隊長ー! 隊長? た・い・ちょー!? 」
「……はっ! うん? 急に大声なんて出してどうした? 」
「いや……もう良いです。それより、各隊員の引き継ぎ上がってますけど確認をお願いしても? 」
「分かった、いつも済まないな」
「いえ、これが自分の仕事ですので! 」
そう言ってピョコピョコ跳び跳ねもと来た部屋へと戻って行く彼の後を追い、執務室へと入る。
(さて、早く仕事を終わらせるとしよう―――)
いつもお読み頂き有難う御座います。
ちょっと長くなったので二分割




