0071話
「ほらほら、家の人も反省してるみたいだし、その辺にしてあげてね~? 」
「はぁ……本当なら貴方にも言いたい事はあるのですよ、アマーリエさん? 」
「あらあら―――」
大きなため息を吐きながらギロっ、とアマーリエさんを睨む隊長さん。そんな隊長さんにアマーリエさんは、困ったわねー……と言わんばかりに手を顎の辺りに当てて言葉を続ける。
「そんな怖い顔しちゃって……そんなんだから娘さんに『ぱぱこわーい! 』とか言われちゃうのよ? 」
「うぐっ……! しかし、それとこれとは……」
「それにこの前なんて―――」
「分かりました! もう止めるので勘弁していただきたい! 」
「あら? そうなの? 」
思わぬ所から娘の自分に対する印象を聞かされそうになり、一度目は何とか耐えたようだが、それ以上はさしもの隊長さんも諸手をあげて降伏する。その姿を見ると……あぁ、この人は娘さん大好きなんだろうなぁ……と言うのがすぐ分かる。
そんな、知られざる娘さんの本音を聞かされ少し落ち込んだ隊長さんに部下の一人が一枚の木板を持って近づいてくる。
「た、隊長……その……」
「ん? なんだ」
「いえ、旧知を暖めるのは構わないのですが、そろそろ入国審査の続きをしても宜しいでしょうか……? 」
「……すまない、失念していた」
「い、いえ! 後は書類の確認だけなのですが、お願いしても宜しいでしょうか? 」
「分かった……あぁ、その間に門は閉じておけ。今日はこれ以上入国者も居ないだろう。お前達も! 今日はここまでだ! それぞれ引き継ぎを行い各自解散! 復唱! 」
「「はっ! 本日はここまで! 各自引き継ぎを行い解散! 以上です! 」」
「宜しい! では、各員行動を開始せよ! 」
「「はっ! 」」
号令一下、周囲で待機していた隊員達がそれぞれ行動を開始する。それを見届けた隊員さんがオロスの元へとやってくる。
「待たせてすまない」
そう言って、手に持っていた木板をこちらに渡してくる。オロスがそれを受け取り眺める。何か書いてあるようだが……分からん。いや、書いてある事が分からない、んじゃなくてそもそも文字が読めない。
それはオロスも同じだったのか、頭にハテナマークを浮かべ唸っている。それに気付いたのか、隊長さんが捕捉してくれる。
「それは、君達の入国を認める仮証だ。これを持ってギルド登録を済ませ、10日以内に近くの詰所までその仮証を返却しに来てくれ」
「10日以内に返却されない場合は?」
「その場合は追加で滞在した日数毎に交易共通銅貨5枚がかかる。支払えなければ全財産没収の上奴隷落ちとなるが……まぁ、普通に登録して返却して貰えれば良いだけだから気にする必要は無い。以上だが、他に質問は? 」
「紛失した場合はどうなる? 」
「その場合は、期間内外問わず追加で銅貨5枚の支払いが発生するが、その程度だ素直に申し出てくれれば大したことにはならん。他には? 」
「いや、大丈夫だ」
「そうか」
隊長さんは、それだけ言うとまたコンラート夫妻の元へと戻っていく。それを見てオロス達も馬車へと戻っていく。
「じゃあな、暫くはこの街にいるつもりだからその内飯でも食べに来い」
「あぁ、アマーリエさんのご飯は絶品だからな。非番の時にはご馳走になろう。それと―――」
「あぁ、それなら―――」
その後も暫く話し合っていたのだが、どうにも小声で話していた為、聞き取ることが出来なかった。まぁ、知り合い同士積もる話もあるのだろう。
そうこうしていると、馬車が走り出す。門を潜ると、そこは別世界。もう、日も沈んでいると言うのに幾つもの飯処?だろうか、店内から明かりが漏れ、喧騒が外まで伝わってくる。
道路も固く舗装されており、今までとは段違いだ。また、道路も一定の距離で灯りが接地してあり、暗い夜道を照らしている。
……ここが境都……。
その光景を、ただただ呆然と走る馬車から見下ろしていた。
いつもお読み頂き有難う御座います。
昨日は投稿できず申し訳ありませんでした。
今後暫くは、昨日のように投稿出来ない日もあると思いますのでご了承下さい。




