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0070話


オロスがフードを外し、衆目にオロスの顔が晒される。


「っな! お、オーク!! 」


「「なんだと!? 」」


目の前で先ほどまで穏やかに対応していた衛兵が驚き、武器を掲げる。その声に合わせて周囲で別の対応をしていた衛兵達も呼応するように武器を手に取る。


だが、オロスは何もしない。ただその場で目の前の相手を見つめ続けるだけ。周りの様子の変化にワタワタと慌てるエリだが、そんなオロスを見て何か考えがあるのか、と落ち着きを取り戻す。


「静まれっ! 何事だ! 」


ドンッという衝撃と共に怒号が壁の内部で反響する。声の主は先程からコンラート達の対応をしていた犬の獣人。部下達の動きを察知し一喝。すぐさまこちらへと駆け寄ってくる。


周りで武器を構えていた衛兵達も我を取り戻し、慌てて構えていた武器を降ろす。


「何があって武器など構え……成る程、そう言うことか」


「た、隊長! お、オークが―――」


「全隊! こちらと距離を取って待機! 」


「「「はっ!」」」


「しっ、しかし隊長! 」


「うるさいぞ、命令が聞こえなかったのか」


ゾクリ……特に声を張り上げた訳ではない。だが、底冷えする様な声に、関係ない筈なのに思わず背筋が凍る様な感覚を覚える。それは向けられた当人の方がより強く感じたようで、ピンと立った耳を畳ませてスゴスゴと後方に下がっていく。


そうして、静まり返った暗がりの中で見つめ合う二人。が、それも長くは続かず……先に沈黙を破ったのは隊長と呼ばれた獣人だった。


「すまない、私の部下が失礼をした。然るべき処分をするのでこの場は許して頂けないだろうか」


「いや、別に何をされた訳でもないし構わない」


「そうか、そう言って貰えると……」


「それに―――」


「ん?」


「(二回目ともなれば)慣れたしな……」


「……そうか」


オロスの発言に何を思ったのか、沈鬱そうな表情を浮かべ俯いてしまう隊長さん。次に顔を上げた時にはキッと、全く違う場所へと視線を向けている。その視線の先にはコンラート夫妻の姿。


「コンラートさん! 何故前もって教えて頂けなかったのです!? 最初に一言言って頂ければ彼らの事は私が確認しました! 」


カチャカチャと音をたてながらコンラートに詰め寄っていく隊長さん。……んー? コンラートさんと知り合いだったりするのか?


「い、いやだってお前があんな他人行儀な対応するからつい……な? 」


「つい……ではありません! それで何かあったらどうするつもりだったのですか! だいたいあなたはいつもいつも……! 」


「わ、悪い! 悪かったって! 」


そこから始まる隊長さんのお説教。その剣幕の前にゴブリン相手に果敢に攻め込み、巨斧を振るっていたコンラートさんもタジタジとなっている。


見慣れた光景なのか、アマーリエさんはコンラートさんの隣で“あらあら、うふふ”と懐かしむように微笑んでいる。……と言うか、やっぱり知り合いだったんだな。


―――それから小一時間ほどそのお説教は続いた。

いつもお読み頂き有難う御座います。

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