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0052話


―――――――――――――――


「むぐむぐ…っんく。…ぷはっ!ごちそうさまでした!」


「いや、最後まですまんな」


「何、気にするでない」


場所は変わってオロス達が寝泊まりしていた部屋。部屋に入ってみれば案の定、と言うかアンの言った通りグーグーとお腹を鳴らすエリが待っていた。


そのまま食事となり、丁度食べ終わって現在は食休みにアンの淹れてくれたお茶を飲んでいる。…あっ、ちなみに俺は食事中にオロスの影に潜り込めた。


「ズズッ…ふぅ。さて、オロスよ出ていくのは構わんのじゃが旅の準備等は出来ておるのか?」


「?」


「あっ…」


「…まぁ、そうであろうな。仕方無い、少し待っておれ。」


そう言って立ち上がると虚空へと手を伸ばすアン。そして、どこからともなくテーブルの上にドサドサッと音をたてて色々な物が出てくる。かなり大きめのリュックに、何かが入ってると思わしき巾着が三つ。水を入れる皮袋に、片手持ちの出来る鍋等々…凡そ旅に必要と思われる物が次々と出てくる。


極めつけに藁紐で括られた毛皮がテーブルの脇に落ちる。


「おいおい…こんなに良いのか?」


「構わん、どうせ貰い物で儂には不用じゃしの。それと…これじゃ」


ジャラッと音をたててテーブルに置かれたのは、他とは少し違う意匠の入った巾着袋。


「それは?」


「その前に…流石に出しすぎたの。先ずはこれを片すぞ」


そう言って見る先のテーブルにはこれでもか、と積まれた大量の荷物。ため息とともにオロスがリュックに詰めていく。


…しかし、あれだけの量の荷物どこから出てきたんだ?いやまぁ気にしても仕方無い、とは思うんだが…。


途中、覗き込んでいたエリの口の端に涎が垂れていたので恐らく保存食か何かが入っていたのだろう。


「うし、こんなもんだろ」


「うむ、少し出しすぎたか、と思ったが器用に詰めるもんじゃな」


「おう、こう言うのは気合いで詰め込めばなんとかなるんだよ」


「その代わり、後で大変そうだけどね…」


そう言ってエリの見る先には、今にもはち切れそうな程パンパンになったリュックがあった。ただ、毛皮だけは入らなかったのかリュックの脇に藁紐で結ばれている。


…いや、気合いって…それにしてもこの豚リュック、中身取り出せるのかよ…。


「っし、で?これは?」


「うむ、お主達文無しであろう?じゃから…ほれ」


そう言って巾着の口を開けると銀と銅、金属独特の光沢を持つ硬貨が出てくる。


「これは“交易共通貨“と言ってな、各国が独自に発行している物とは違ってどの国でも一定の価値を持つ貨幣じゃ。まぁ、どこに行こうとも金と言うものは必要じゃ、何も言わず受けとれ」


「…すまない。いや、ありがとう」


「うむ、取り敢えず普通に町中で生活していても一月は過ごせる筈じゃ。その後は自分達でなんとかせい」


「それでも助かる、本当にありがとう」


「うむ、それとじゃ…これは儂からの餞別じゃ」


そう言ってアンが取り出したのは、昨日準備していた黒一色のガントレットとレガース、そして指輪。ただ、昨日とは少し違い部屋の明かりを反射して怪しく輝いている。



いつもお読み頂き有難う御座います。

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