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0044話


…今何て言った?体をやる?つまり、俺に肉体を作ってくれるって事か?いや、そんな事できるの?


いかん、突然のアンの発言に思考が纏まらない。


「そう、慌てるでない。ほれ、こっちじゃ」


アンの移動に合わせて俺の視線も動く。…恐らくまた何か良く分からない理屈で引っ張られてるんだろうなぁ…。


そうして部屋の隅にある棚の前で立ち止まると(おもむろ)に右手を上げる。すると、どうした事か棚がガコッと音をたて少しだけ宙に浮く。そしてまるで扉の様に奥に向かって開いていく。その先には、更に奥へと続く道が部屋を照らしているのと同じ明かりが灯っている。


「ほれ、行くぞ」


(もう好きにしてくれ…)


こちらを気にせず、ズンズンと進んでいくアンに何かを言うのは無駄だと悟りもうどうにでもなれ、と自棄になる。


そんなこちらの心情を知ってか知らずかアンの歩みは止まらない。どんどん道を進んでいくが、灯りが道を照らしているにも関わらずその先までは全く見通せない。…一体どこに向かってるんだか…。



―――――――――――――――



通路に入ってからどれ程進んだのだろうか?結構な時間をアンに引かれるまま道行きを見守っているが、まったく目的地とやらには到着しない。


(な、なぁ、何時になったら着くんだ?)


「なに、もうすぐじゃ。そのまま待っておれ」


思わず訊ねてみるが全く相手にしてくれず、口をつぐまれてしまう。


…はぁ、まぁ着けば分かるか…。


それから暫くして、壁に掛けられている灯りとは全く違う輝きが視界に入ってくる。


(あ、あそこか?)


「お主にも見えたか。そうじゃ、あそこが目的地じゃ」


(で?あそこは何なんだよ?なんか青白い光が見えてるが…)


「…ふむ。まぁ良かろう。あそこは隔離部屋なのじゃ、あそこで起こった事は例え神であろうと観測する事はできん」


目的地が見えてきた事で、漸く話してくれる気になったのか歩みを止めぬまま簡単にアンが説明をしてくれる。


…それにしても神にも観測されない隔離部屋って…俺何されるのよ…。


(隔離部屋?何でまたそんな所に行く必要があるんだ?)


「…色々と事情があるのじゃ。女の秘密を詮索する奴はモテぬぞ?」


(…うっ…はい…。)


気になって聞いては見たものの、アンの返しに思わず黙ってしまう。


…いや、別にモテないと言われて黙った訳じゃないぞ?ただ…うん、何となく!そう、何となく空気を読んで黙った方が良いかなって思っただけだから!決してモテないって単語に過剰反応した訳じゃないから!


そんな、誰に聞かれるわけでもない一人相撲を脳内で繰り広げている間にどうやら件の部屋に到着したらしい。


…しかし…これが隔離部屋?


そこで目にしたのは行き止まりになっているただの広間であった。強いて言うならば足下に見える青白く光っている何かだが…それは円を幾つも重ねた様な模様に、円周上に沿って文字のような物が直接地面に彫りこまれており、更にそこへ何かを流し込んであるのか地面とは別の光を放っている。


(な、なぁ?これが隔離部屋って奴なのか?その割りには扉とかも無いし、強いて言うならこの足下の変なの以外変わったところなんてどこにも無いぞ?)


「お主が気にする必要は無いじゃろうに…。まぁ、お主曰(いわ)くその足下の変なのが重要なのじゃよ。時間もあまり無いしの、それだけ分かれば良いじゃろ?では、始めるぞ」


(お、おう?)


どうやらアンにもそれを答える余裕は無いらしい。


…それにしてもこの足元のが重要…ね…。良くわからん!それにしても始める、って言われても…


(な、なぁ…始めるって言ってもよ…俺はどうすれば良いんだ?)


「何もせんで良い。そこでリラックスしておれ」


(わ、分かった…)


言われるがままに心を落ち着け、ただその場で待つ。


…まぁ、言われてみれば何かしろ、って言われても何も出来ないんだよなぁ…。


そうして、良く良く考えてみれば、今のままでは何か言われても何も出来なかったことに気がつき冷静になっていく。


突然良く分からない所に連れてこられた事や、言っている事のスケールの大きさに気が動転していたようだ。冷静になってみれば周りを見回す余裕も生まれてくる。


広間を見回すが、灯りが設置されている以外オロス達が通っていた洞窟内と特に変わった点は見られない。恐らくアンの言葉通り、足下の変な模様以外は重要では無いのだろう。


それと同時にアンの事も視界に入る。目を閉じて何やら集中しているのか、ブツブツと呟いているが声が小さくてよく聞き取れない。


そうして、暫くすると視界に黒い靄がかかり始め段々と思考が曖昧になっていく。


(あっ…これは…)


先日の時と似たような感覚。ただ一つ違うのは何かに包まれているような暖かさを感じる事だろうか。


視界が全て閉ざされると意識が遠ざかっていく。


『目が覚める頃にはお主の魂も新たな肉体に定着しておるじゃろう。』


―――ただあたまなかにアンのこえだけがひびいてくる―――


『その時にはオロス達も起きる頃合いじゃ。まぁ、どう行動するのかはお主次第じゃがな。では、よい眠りを―――』


―――いしきがとおのく―――アンのこえもきこえなくなって―――

いつもお読み頂き有難う御座います。

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