0042話
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「まぁ、こんなところか?」
「そうね、取り敢えずの目標と行動方針に関してはそんなところじゃないかしら?」
話を始めてから数時間。途中休憩を挟みつつも、ある程度お互いに決めようと思っていたことは話終えたらしい。
向かい合ったまま、お茶の残りを啜る音だけが部屋に響く。
「しかし、アンはまだ帰って来ないのか?出ていってから結構経つよな?」
「…そうね、パンも全部無くなっちゃったし…。どうしましょうか…」
「いや、お前は食べすぎだろ。自分の顔と同じ大きさのパンを何個食べたよ…見ているだけでも4つは食ってただろ」
「…うるさいわね…。しょうがないじゃない、良く分からないけどお腹が空くんだもの…」
そう言ってこれ見よがしに膨れるアン。ただその頬は怒りか羞恥かは定かで無いが若干赤く染まっている。
…いやまぁ、確かにあのお腹の何処に入っていくんだ、とは思ったけどそれを女の子に言うかね?普通。
「…それに、なんだか違う気がするのよ。確かに空腹は満たされるんだけど、これじゃないって言うか…」
「むぅ…その辺もアンが戻ってきたら聞いてみるか。流石に知識が無さすぎて何とも言えないし…」
「…呼んだかの?」
「おわっ!」
「ひぃっ!」
と、そんな会話をしていると家主のご帰還のようだ。
しかし、突然部屋の中に現れたアンの声に二人は驚き固まってしまっている。
「なんじゃ、折角帰還の報告に来てやったと言うのに…」
「あぁ、いや違うんだ。突然現れたからビックリしただけで、特に他意が有る訳ではなくてだな…!」
「お、お帰りなさい!今、丁度アンちゃんの話をしてた所だからタイミングが良すぎてビックリしちゃっただけなの…!」
「…それなら良いのじゃが」
二人の態度に悲しそうな表情を見せたアンに、慌ててフォローを重ねるオロスとエリ。それに対して、若干不満そうな素振りは見せるものの納得したような返事を返すアン。
…いや、突然話題にしていた人物が現れたら驚くのは普通だろうに…。それとも態とこんな態度をとっているのか?
ほっと安堵の息を吐く二人の影で、見えないようにこちらに向かって舌を少しだけ見せるアン。確信犯である。
「では、気を取り直して…と行きたい所じゃが、その前に茶を淹れてくるでの。少し待っておれ」
「「あ、ありがとう(ございます)」」
それだけ告げると、二人の前に置いてあるカップを手に取り部屋を出ていくアン。
扉が閉まり、階段を下りていく音が聞こえた辺りでようやく二人の緊張が切れる。
「いや、突然現れるのは2回目だけど流石に驚いた…」
「そうね、いきなり部屋の中に出てきたから心臓が止まるかと思ったわ…あ、私達心臓なんてあるのかしら?」
「知るか…!まぁ、精神的に厳しいから流石に勘弁して欲しいがな」
「「はぁ…」」
口々にアンの突然の登場を愚痴るが、最終的にどちらからともなくため息がもれる。
…本当にあれはどうやってるんだろうな…?
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