0039話 sideアン
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「はむはむっ…んぐっ…。…ぷはー!ごちそうさまでした!」
「うむ、お粗末さまじゃ。」
オロスを部屋へと運び込んでから少し時は進み、いつものごとくお腹を鳴らすエリにご飯を提供し、現在は丁度食事が終わった頃。
空腹が満たされ満足したのか、表情を緩め幸せそうな顔をするエリを見ていると、不思議なことにこちらまで満たされていくような感覚を覚える。
「ほれ、アメでも食べるか?」
「ありがとう。…じゃあ…これ!」
そう言ってこちらが差し出したアメを一つ摘まむと口に頬る。そして、先程よりも更に頬を緩めるエリの姿にとてもほっこりした気分になる。
(うむうむ、中々に貴重な物じゃがこの表情を見れただけでも充分じゃな。さて、儂も一つ…)
そう心の中で一人ごちると自分もアメを一つ摘まみ口に含む。一舐めするごとに、口の中でくどいくらいに砂糖の甘さが広がっていく。が、それが良い。
(これじゃ、これ…。うむうむ、やはり甘味は良いのぅ…。)
一舐めする毎に自らの頬も緩んでいくのが分かるが、それを止めようとは思わない。互いに無言のまま口の中にある甘味を堪能し尽くした。
やがて、甘味による一瞬の幸福を味わった後、食後のお茶を楽しんでいると対面で横たわっていたオロスが起き上がる。
「…うぁっ…。…あれ?ここは…。」
「うむ、お主達が寝泊まりしている部屋じゃ。お主が家の前で寝落ちていた様なのでな、勝手ながらここまで運ばせてもらった。」
「…ん?んー…。あれ…でも…」
「そうなのじゃ。」
どうやら寝起きでまだ頭が回っていないらしいオロスの様子に無理矢理言葉を被せ、その先を封じる。
(まったく、そこでお主が話してしまえば儂が先程黙っていたのが無駄になってしまうじゃろうに…。)
それでもまだ何かを言いたげにしていたので、キッと視線に力を込めて黙らせる。
「そう…なのか…。すまない、ありがとう。」
「うむ、以降気を付けよ。」
それでようやく理解したのか謝罪と礼を述べてくるオロス。まぁ、視線がかなりぶれていたが。
「さて、ようやくオロスも目覚めたようじゃし、儂も行くとするかの。」
「え?どこか行っちゃうの?」
「うむ、少々野暮用があっての。なに、腹が減ればここに、先程のパンが入っておるからそれを食べれば良い。」
そう言って、先程まで食べていた黒いパンがいくつか入った袋を掲げ テーブルの上に置く。
「いや、多分飯の心配じゃ無いと思うんだが…」
「ん?なんじゃ、儂の心配をしておるのか?」
儂とオロスの言葉に同意するようにコクコクと頷くエリ。
(なんじゃ、やけになつかれておるのぅ…。)
「それなら心配無用じゃ、危険など無いしすぐに戻ってくる故な。それに…」
「「それに?」」
「儂なら多少の危険があったところで何の問題にもならんしの。のぅ?オロスよ。」
少し語気を強めてオロスへと視線を向ければ、自分が眠る前に起きたことを思い出したのか青ざめた顔でコクコクと頷くオロスの姿。エリの方は良く分かってないのか、そんなオロスの様子を見て首を傾げているが、まぁ問題ないだろう。
「うむ、分かって貰えたようじゃし、儂は行くぞ。留守を頼んだぞ。」
「…あ、行ってらっしゃい…。」
それだけを言い残し部屋を後にする。
(さて、取り敢えずアレがどうなったか確認ぐらいはせねばな。)
―――体を空間に溶かしその場を離れる。
いつもお読み頂き有難う御座います。
今回は投稿が遅れ申し訳ありません。




