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0036話


―――――――――――――――


暗い闇の底から浮上していく。まるで何かに引っ張られるような感覚が体を支配する。


(…んっ…。)


頭にかかっていた靄が晴れていくのを感じる。


(…そうか、俺はアンにお願いして眠らせて貰っていたんだっけか…。ん?睡眠じゃなくて、催眠状態だったか?まぁ、何でも良いか…。さて…で、ここはどこだ?)


思考がクリアになると同時に視界も戻ってくる。が、目に入るのは見渡す限りの暗闇。


(…あれ?あの部屋じゃない?じゃあ洞窟の中か?それにしては静かすぎる様な…。)


確か、眠りについたのはアンが居住している部屋の一室だったはず。そして、そこからオロス達が移動したにせよ、そこから離れることの出来ない俺は、オロス達に必然的に連れられる筈…だよな…?


だと言うのに辺りは見渡す限りの暗闇、そして一切の音が無い空間。…ここは一体何なんだ?


突然の事態に頭が混乱する。思考はさっきから空回りを続けるばかりで一向に現状の確認が出来ない。


自分は一体どうなってしまったのだろうか…不安と焦燥に押し潰されそうになる。


その時、突然頭の中に声が響き渡る。


『おお、目が覚めたか。どうじゃ?よい夢は見れたかの?』


知った声を聞き、先程までの不安が解消される。


(良かった、目が覚めたらいきなりよく分からない所に居たからちょっと混乱したよ…。)


『それはすまんかったのぅ…。まぁ、お主の願いを叶えるためには必要な事だったんじゃ。許してくれ。』


(いや、それは俺からお願いしたことだし良いんだけどさ…。)


『そうかそうか、それは重畳。』


(それで、どうやったらここから出られるんだ?それにここは一体…。)


『少し待っておれ、今ちと立て込んでおるでな。』


(え…ちょっと!?)


アンはそれだけ告げると突然黙りこくる。


ただ、先程までの様に、目が覚めたらいきなりよく分からない所に居る、と言う訳では無い事が分かったのでどこか安心している。


…しかし、アンが“取り込んでいる“って俺が寝ている間に何かあったのだろうか?



―――――――――――――――




それから暫く経過して、ようやくアンの声が聞こえてきた。


『すまぬ、待たせたのぅ…。いやはや、あやつめ存外根性を見せおる。』


(?よく分からないがもう出られるのか?)


『うむ、すぐに出してやろう…。ほれ。』


(うわっ!?)


言うが早いか、突然何かに引っ張られるような感覚を覚えた、と思ったらもうそこは見慣れた洞窟の中であった。


…しかもここはアンの家のある広場か?


突然視界が切り替わった為に、思わずキョロキョロと辺りを見回してしまう。


…あれ?そう言えば、ここに居ると言うことはオロスも外に居るのか?


疑問に思うままその姿を探すが、どうにも見当たらない。…はて?


『どこを探しておる。下じゃ、下。』


まだパス、とやらが通じたままだったのかアンがそう声をかけてくる。


慌てて下を見ると、そこには荒い息を吐き倒れ伏すオロスの姿が―――


(なっ!?)



―――一体俺が寝ている間に何があった…。

いつもお読み頂き有難う御座います。

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