0030話
洞窟内にあるアンの家(正確にはここは借家らしいが…)の一室。先程アンが“来客”だ、と出ていってから凡そ10分ほどだろうか?
アンが出ていった時にはオロオロしていた二人だったが、今はソファに座りアンの持ってきてくれたお茶を啜りゆったりモードだ。
「ずずっ…ふぅ…。しっかし来客って誰だろうな?こんな洞窟まで来る、って事は仲が良い知り合いか?」
「…ずずっ…。知らないわよ…。アンちゃんって“龍”何でしょ?なら同じ“龍”なんじゃない?それよりこの地図よ…。何これ?私の知ってる地図って、もう少し詳細な物だった気がするんだけど…。」
そう言って机の上にある地図と言って、アンが持ってきた物を指差すエリ。
それは、一目見ただけで今にも崩れてしまいそうな質感の紙に、直線を引いただけで国境を示したのか、やたら雑な物であった。
一応各国の名前などは記載されているし、主な都にあたる部分には丸で囲みがあり、その都市の名前も書かれてはいるが道やその他の地形については一切記載がない。
…確かに言われてみればそんな気もするなぁ…。
「それなぁ…。でも実際これが地図だ、って言うならそう言うことなんだろ。」
オロスも同じ様に感じているのか、ため息を吐きながらも地図(らしきもの)を隅々まで見て、その位置関係を頭に叩き込もうとする。
地図によるとこの大陸は円形に近くて、南北に大きな国が1つずつ。それぞれが凡そ大陸の4分の1近い領土を持っていてかなり力のある大国なのだと思われる。
そして東には大小合わせて凡そ7つ程の国があり、西側には国名の記載がない。
…と言う事は西側は完全にフリーな土地なのだろうか?何故南北の大国は、ここに領土を拡張していない?それともそれが出来ない理由がある?正直記載されてる事が少な過ぎて、これだけじゃ分からない事が多すぎるな…。
暫く二人とも無言のままに地図を眺め続ける。
…北の大国は“ザガラット聖王国”と言うらしい。首都に当たるのは恐らくこの“聖都ジャバハール“だろう。聖王国、と言う事は宗教国家なのだろうか?対して南にあるのは“ナガレス帝国”首都は“帝都ナガレス”こちらは帝国と言うくらいなのだから帝政なのだろう。まぁ、普通の政と帝政との違いなんて、よく分からないが…。
そうこうしていると部屋のドアが開きアンが姿を表す。
「いや、待たせたの。ちと時間が掛かってしまったわ。」
「「お帰り(なさい)。」」
「うむ、ただいま、じゃな。…こんな挨拶など何時振りじゃろうかのぅ…。」
そうしみじみと呟くアン。…来客はもう良いのだろうか?
「来客とやらはもう良いのか?」
と思っているとオロスも気になったのか、俺の思ったことと同じ質問をアンにする。
「来客?…あぁ、あれか。問題ないの。丁寧にお帰り願った、と言う所じゃ。」
少し思案した後、思い出したかのように告げるアン。…若干“丁寧”って部分が強調されてる気がしたが…気のせいか?
「お帰り願ったって…。知り合いじゃなかったの?」
「あんな知り合いが居たら堪らんのぅ…。まぁ、大した手間でも無かったから良かったがの。」
不思議そうに訊ねるエリに、事も無げに返すアン。
…まぁ、アンがそう言うなら本当に大した手間では無かったんだろうな…。いや、なんとなく、だが。
「さて、では先程の続き、と行く前にお茶がもう無いか…。少し待っておれ、今淹れ直してこよう。」
そう言うとカップをお盆に載せ、また部屋を出ていくアン。
…また少し待機か…。
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