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0021話

またきゅぅぅぅ、と可愛らしい音が部屋の中に響く。


「―――飯じゃと?」


「…はい…。」


アンは「ふむ」、と唸り首を傾げる。


「オロス、お主もか?」


「いや、俺は小腹が空いたって程度だな。しかし、これしか食べてないからもっと腹が減ってても可笑しくないんだが…。」


そう言って取り出したのは明らかに中まで黒こげになっているだろう蟻の足束。


「…ふむ…。いや、オロスよお主は普通なのじゃ。お主達(・・)魔物は魔素が体の全てを構成しておる。故に本来なら飲食は不用、空気中の魔素を取り込むだけで活動することが可能じゃし、飲食は主に娯楽に過ぎん。」


「…え?俺達飲食不用だったのか?…絶対必要だと思って慌てて水場を探した意味は…。それに、最悪死ぬ覚悟もしてこんな旨くもない物まで口にしたってのに…俺の覚悟っていったい…。」


アンの発言に、己の行動を全否定されたオロスがその場で蹲りいじけだす。…いやまあ、知らなかったのだからしょうがない、とは思うが…。しかしそうか魔物の体は魔素で構成されてるのか。


「知らんかったのか?と言うか、儂にはお主達が空腹感を感じているのが不思議なんじゃがのう…。しかし、エリの空腹感はどういう事かの…?」


またしても「うーむ」と唸って考え込んでしまうアンに今度はエリから声が掛かる。


「…あの…、今お主達(・・)って言った…?…え?私も魔物…なの?」


「うーむ…ん?その通りじゃが?最初に会った時にも言ってたと思うんじゃが?」


「……言ってないわよ!確かに低位の魔物と勘違いした、とは言ってたけどそこに私も入ってるなんて思わないでしょ!?」


声を荒げながらアンに詰め寄っていくエリ。その目は若干血走っているように見える。そして、今まで大人しかっただけに、その唐突な変化にアンも戸惑っているのかアワアワと視線をあちこちにやっている。


「…う、うむ、それはすまんかったの?」


エリはアンの様子に気が付きもせず、大きな声でひたすらわめき散らしている。


「―――――――――!!」


その言葉は最早何を言っているのかさえ聞き取ることができず、ただキンキンと頭に響いてくる。


アンはそんなエリにオロオロとタジタジな様子。


オロスは何時の間にか部屋の隅に移動して膝を抱えている。


…うむ、カオスだ…。誰か収拾してくれ。


いつもお読み頂き有難う御座います。

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