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0020話

「…おはよう…。」


調度起きた所だったのか、エリがオロスへと朝の挨拶をしていた。その目は若干とろんと潤んでおり、まだ眠いのか時折上体がうつらうつらと舟を漕いでいる。


「…おぅ、おはよう。」


対してオロスは既に起きて少し時間が経っているのか、横になっていたソファーを立ち部屋の中を物色していた。


「…あんた、いくらなんでも他人の家の中を許可もなく物色するのはマナー違反よ…。」


オロスの不用意な行動を咎める様に声を上げるエリ。


「いや、この本棚にある本が気になってな…。」


「だとしても、よ。今は好意で良くしてもらってるけど、あんたの行動一つで今後の相手の対応も決まるのよ。少しは自重なさい。」


「す、すまん。」


オロスの言い訳は、ますますエリを不愉快にさせただけのようだ。眠そうだった瞳が少しずつ見開かれ、(まなじり)がつり上がっていく。


「そうじゃの。それに男が無遠慮に女の部屋を物色する、と言うのも宜しくないの。」


ドアの外からアンの声が響く。ガチャリ、とドアが開いていきお盆の上にお茶を人数分のせ入ってくる。


「あ、いや…。すまなかった。」


「うむ、それでも良い。」


そう頷きながら応え、部屋のなかに入ってくる、と部屋の明かりが灯る。…地下室の時にも思ったけど、どうなってるんだ?


「さて、おはよう。昨日は良く眠れたかの?」


アンはエリの対面に座り、お茶を置いていくと、そう声をかける。


「はい、お陰様でゆっくりと疲れを癒すことができました。ありがとうございました。」


「た、助かった。」


エリが礼を言いつつペコリと頭を下げる。と、慌ててオロスも頭を下げる。


「良い良い、ただ寝床を提供しただけで、そこまで畏まられる程の事はしちゃおらんよ。」


がアンは気にした風でもなく、ヒラヒラと手を振りお茶を啜りながら応える。


「…ずずっ。さて、あまり急ぐわけではないがな、一応今後どうするか早めに決めておくと良かろう。」


「いや、それなんだが、昨日は疲れてたのか早々に寝ちまってな。できれば少し二人で落ち着いて話す時間が欲しいんだが…良いか?」


「お願いします。」


「あぁ良い良い。儂としては何日居てもらったところで提供できるのはこの部屋と茶ぐらいじゃしの、ゆっくりと考えれば良かろう。」


それだけ言うと、用はすんだとばかりに立ち上がり部屋を出ていこうとするアン。


「では、儂は下に()るから何かあれば呼ぶと良い。」


「あ、あの!」


「ん?なんじゃ?」


アンが部屋を出ようとするのをエリが呼び止める。


「あの―――」



その顔に浮かぶのは羞恥、だろうか?



「泊めていただいた身としては大変申し訳ないのですが―――」



もじもじとする様はその容姿と相まって実に可愛らしい。



「ご飯頂けないでしょうか…。」



ぐぅぅぅ、と可愛らしい音が部屋の中に響き渡った。

いつもお読み頂き有難う御座います。

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