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0016話

「ズズッ…。ふぅ…。して、お主達今後どうするつもりじゃ?」


新たに淹れてきたお茶を啜りながら少女(アン)彼等(オロスとエリ)に問い掛ける。


「ズズッ…。ほぅ…。ん?どうするって言われてもな…。取り敢えず水場を探してたらここに来たわけだし、ここから先はノープランだけど…。何かあるのか?」


「いや、特に何かあるわけではないがの…。」


「じゃあまたどうして?」


「いや、なに。お互い名付けあった仲じゃ。そんなお主達の今後が純粋に気になった、と言うだけじゃよ。」


「なるほど?」


それに疑問符を浮かべながら頷く二人。その反応に理解していない、と思ったのかアンは説明を続ける。


「まぁ、強いて言うなら“試練”を受けるお主達が気になる。と言うのが正直なところじゃな。」


「“試練”…か…。」


「あぁ“試練”じゃ。まぁ、“試練”はお主達が例え何処にいようと関係がない。故にそれまでお主達が何をするのか、と言うのに興味があっての。」


「…何処に行くのか、じゃなくて何をするのか…ね。」


「そんなもの知らないわよ…。いきなりこんな訳の分からない状況に放り込まれて…。今はちょっと考えづらいわ…。」


「そう…だな…。すまんがその答えはもう少し考えさせてくれるか?」


そんな問いに二人は現状を把握するのに手一杯だと答え、考える時間が欲しいと告げる。そんな二人にアンは手を振り応える。


「うむ、良い良い。どうせ次の“試練”まで時間も余っとるじゃろうしの。何も無いところじゃが暫くここにいるとええじゃろ。ベッドは余っとらんから、このソファーで寝起きしてもらうことにはなるがの。」


「いや、有り難いんだが…良いのか?」


「気にするでない。どうせこんな穴蔵の中じゃが、儂の魔素の影響で低位の魔物は近づかん筈じゃしの…。」


「助かる。」「ありがとう。」


そう言って頷き、更に泊まっていけとまで言ってくれるアンに、動揺しながらも感謝を告げる二人にひらひらと手を振って応える。


「ではの、もう良い時間じゃろ、お主達は疲れもあるだろしゆっくりと休むと良い。儂は隣の部屋におるからの、何かあれば呼べば良い。」


「何から何まですまん…。」


「良いと言うておろうに律儀じゃのう…。」


そう言い残すと少女はカップを回収し部屋を出ていく。…何にしてもこんな洞窟の中だが寝床が確保できたか…。彼等の今後を見ることができる、と言うのは良かったのか悪かったのか…。まぁ彼等を見ているのは退屈ではないから良かったとするか。


オロスがソファーを立ち、エリの正面側へと座り直す。


「さて、取り敢えず、アンの善意ではあるが寝床も確保できた。今は寝て今後の事は起きてから考えるよう。」


「…何であんたが仕切ってんのよ…。まっ、良いけどね。おやすみ。」


それだけ言うとオロスに背を向け、横になる。それを見てオロスもソファーに横になると二人とも余程疲れていたのだろう、数分もせずに寝息が聞こえてくる。


…さて、俺も今後の事は気になるが今は彼等を見守るとするか…。



―――――――――――――




…二人が寝入ってから数時間、視界と意識だけの私は何をするでもなく部屋の中を眺め時間を潰していた。しかし、この二人が起きているときはまだしも、眠ってしまうと暇だな…。


そんな事を考えていると部屋の扉がゆっくりと開く。…はて?何か忘れ物でもしたのかな?


入ってくるのは勿論アンと二人に呼ばれる少女だ。その手には獣の毛皮を張り合わせたようなタオルケット?だろうか。


二人を起こさぬよう、ゆっくりとかけていく。そして顔を上げ――




――視線が合う。



一瞬の緊張。体もなく、ただ見るだけの傍観者。それが私の筈だ、なぜこの少女はこちらを見ている?それとも唯の勘違いか?


しかし少女の視線がこちらを捉えている気がしてなら無い。


少女は口許に笑みを浮かべ口を開く。


「しかし、こんなものまで連れているとは…。こやつらほんに面白いのぅ…。なぁ、そう思わぬか?」


いつもお読み頂き有難う御座います。

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