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0013話

「さて、そこで座って待っておれ。今茶を淹れてくる。」


「「お、お構い無く…。」」


案内された家、客間へと通された二人はソファーの上で、まるで借りてきた猫のようにお互い身を寄せあっていた。…まぁ、あれだけ力の差を見せつけられた後だとこうもなるか…。


家の作りとしては扉を開けるとすぐそこが通路になっており、左右に扉が一つずつと下への階段があった。その内の左側が今いる(恐らく)客間でもう一部屋が寝室だろうか?そして、今お茶を淹れてくると言って階段を降りていく音が聞こえたので、キッチンが地下にでもあるんだろうか?


暫くの後少女が片手にお盆を持って部屋に戻ってくる。


「すまん、待たせたの。ほれこんな場所じゃ、大したもんでも無いが喉も乾いておろう、味わって飲むと良い。」


「「あ、有難う御座います。」」


そう言って少女は二人の目の前に木製のカップを置くと、テーブルを挟んで対面のソファーに腰かける。


そして、そんな少女の一挙手一投足にびくびくする二人。


そんな二人を見てとってか、再度少女が声をかける。


「まぁ、最初に手を出そうとしたのは儂じゃからあんまり偉そうな事は言えんが、取り敢えず、今お前らをどうこうしようとはしておらんから安心せい。」


「はぁ…それも、そうですね。あなたなら、何時でも私達を好きにできそうですし。」


息を一つ吐き姿勢を正すし話始める彼。…と言うかさっきまでと口調が違いすぎないだろうか?まぁ、格上の人に対しては当然…なのかな?


「お主、口調の割りには発言が挑発的じゃのう…。」


「…お気に触りましたでしょうか?」


「良い良い、本当の事じゃしのう。それと、砕けた口調で良いぞ話をする時にそれでは肩が凝りそうじゃ。」


「しかし…。」


「良い、と言うたぞ。それでも改めぬのならば…」


そこまで言うとちろり、と視線だけを彼の隣に居る少女へと向ける。


「分かった!分かったから…それだけは止めてくれ!」


「うむ、それで良い。」


少女な態度に安堵し安堵し肩を降ろす彼。そして当の本人は何が行われたのか良く分からない様子で首を傾げる。


「さて、ようやく落ち着けたようなのでな。幾つか質問させてもらうぞ、良いか?」


少女の問いに彼がこくり、と頷く。


「ではまず、言葉を使い思考ができる、と言うことはお主たち特異個体じゃな?なぜ、こんなところにおる?」


「…?特異個体?それは俺たちの事で良いのか?」


「こちらの質問なんじゃがのう…。まぁ良い、その質問の答えは、はい、じゃな。」


一拍の間を開けて少女が話し出す。


「取り敢えず、お主に限って言わせてもらうならば…。本来オークと言うものは村落を作り、群れの中で意志疎通を図る程度なら出来ないことは無い種族じゃ、しかし、今のお主のように他種族の異性に対してそう知的に対処している事自体がありえん、と言い切れる。そして、オークと言うのは先程も言ったが群で行動する魔物じゃ。故にそのように単独で行動し他種族の異性を連れて襲うでもなく、あくまで保護しておるかのような立ち振舞い、と言うのは低位の魔物では有り得ん。それが儂の結論じゃな。」


「それと低位の魔物と特異個体を分ける境界線、と言うのは割と曖昧じゃが。獲物を前にして理知的に振る舞えるかどうか、と言うのは割と一般的な分け方じゃしな。」


「…。」


そう言い切る少女に対し、彼は無言となってしまう。


「さて、取り敢えずこんなところで良いかのぅ。良いならばこちらの質問にも答えてくれるとありがたいのじゃが…。」


「…。」


暫しの沈黙。


「ふう…。最初から話そう。俺は――――」


そして、意を決したかのように一息吐くとこのこの洞窟で覚醒してからの出来事を話始める。

いつもお読み頂き有難う御座います。

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