0012話
今日も少し短めです。
――――っは!
彼のあまりにも突然な行動に先程まで恐怖すら忘れて思わず思考がフリーズしていたようだ。他の二人も驚いたのか唖然とした顔で土下座を見つめている。
…と言うか、この状況で土下座って…。いやまぁ、なに振り構ってられなかったのだ、とは思うのだが…。土下座って…。
「―――っは!」
白衣の少女が、彼の突飛な行動からようやく再起動したようだ。顔を俯かせ肩を震わせ始める。…まずいな、機嫌を損ねたか…?
その挙動を感じたのか、彼も全身に冷や汗を浮かべ始める。
「………くっ」
…くっ?
「くぁっははははは!」
顔を上げたと思えば突然に笑いだす白衣の少女。目の端に涙を浮かべる程に笑い転げた後、話し出す。
「いや、すまぬ。主の事を笑ったのではない。気を悪くするでないぞ?ほれ、もうよい。いつまでそうしておる、立ち上がると良い。」
突然の事に肩をびくつかせながら彼は立ち上がる。その顔には浮かぶのは…困惑だろうか?
「低位の魔物と勘違いしてもうた。嫌な思いをさせたのぅ、すまぬ。」
そう言って頭を下げる少女に、彼はどうしたら良いのかオロオロするばかりである。
「さて、こんなところで立ち話もなんじゃ、中で少し話でもするとしよう。茶ぐらいは出すぞ。」
それだけ言い残し家に向かって踵を返す少女。それに慌てて追従しようと、後ろに居る少女へと彼が声をかけようとするが…怒濤の展開についていけず、まだ立ち直っていなかったのか目を見開いたまま棒立ちの少女。
「お、おい。大丈夫か?」
彼が肩を揺すりながら声を掛けることでようやく現実に戻ってきたのか、少女の視点が彼へと定まる。
「――――ぇ?えぇ、大丈夫よ…?で、何…?」
「いや、あの娘が話がしたいから家にあがってけ…って」
「…?あぁそう…。じゃあ、お邪魔させて貰いましょうか…?」
しかし、未だに色々と飲み込めていないのか、ぼぅ、としたまま家に向かって歩いていく少女。
「って、おい。ちょっと待てよ。」
それに合わせて彼もその後を追っていく。
さて…どうなるのやら…。