0011話 side オーク
今回は彼視点です。短め
気配、正直自分がそんな事を考えるなど予想だにしなかった。だが、これは本物だ。視線ですらその圧倒的な気配を前に動かす事が出来ない。
だけど動かなければいけない、とも思う。何故なら自分の隣には護ると決めた少女が居るのだから。
元々このような状況で、自分自身が五体満足で生きていられる。と思うほど楽観主義ではない。だが、せめてこの未来ある子供だけでも救いたい、それが??となる時に自分で決めた道なのだから。
まだあの圧倒的な気配を撒き散らす少女は動こうとしていない。これはチャンスなのだろうか、今行動を起こせれば隣に居る少女を助ける事が出来るかもしれない。だがどうすれば良い?
飛び掛かって行って、その間に少女を逃がす?もっとも愚策な気がする。この少女相手に時間を稼ぐ等と、端からできる気がしない。それに、例え時間を稼げたとしてこの隣で怯える少女は果たして動けるのだろうか…。
では交渉か?しかし、交渉の材料となる物は一切無いのだ。強いて言うならばこの背にある黒焦げの蟻の脚くらいであろうが…。そんなものを欲しがる酔狂な者など居るとは思えない。
であるならば…最終手段しかないか…。他の2つに比べればまだ勝算はあるだろう。だが最悪一瞬で終わる可能性もある。しかし何時目の前の少女が動き出すか分からない以上時間は掛けていられない。なれば行動あるのみだ。
硬直している体を無理矢理に動かそうと試みる。すると、指先辺りから徐々に動けるようになるのが分かる。慌てて動かすのではなく、動かせた指先を中心に徐々に動きを広げ、自らの体を掌握する。
前に出る、二人の視線が此方に集中するのが分かる。威圧的な気配が更に強くなったような気がする。間違えただろうか…。だがもう迷っている暇は無い、既に賽は投げられたのだ。
俺が取る最終手段――――
膝を地に着け、それに合わせて掌を大地に着ける。
それは―――――
額が大地にめり込むような勢いを付けて叩きつける。
――――土下座だ!!
「どうか見逃して頂けないでしょうか!!」
「「――――は?」」